「狐に騙されたようだ」
彼を追いかけた警察官は皆、口をそろえて言う。
彼を義賊と呼ぶにはやや、正義感が足りない。
こそ泥扱いするには、その手口は鮮やかで華やかで、茶目っ気が感じられた。
怪盗?そんなものは小説や漫画の見すぎだろう。
その姿を見たという者は、髪の長いお尻の引き締まった女性だと言う。手錠を掛けたことがあると言う者は、白髪のじいさんだと。
太ったコンビニ店員が犯人と言われ追いかけると、そこには眼鏡をかけた、真面目なサラリーマンだったとか。セーラー服に身を包んだ女性を追うと、金髪の背の高い英国紳士にぶつかったり。
得体の知れない彼、いや彼女か?のことを警察内部では、フォックスと呼ばれるようになっていた。
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