あの時、彼女が見ていた空は、僕が見ていた空と同じ空だったのだろうか……
35歳の蒼太は、妻が眠る病室で、十五年前の不思議な出来事を思い出す。
ーー十五年前 ーー
突然、蒼太の携帯に、謎の女性から電話がかかってきた。しかし彼女には記憶がなく、自分が何者かさえわからないと言う。
ただ、大きな月が見える見知らぬ森で、ひとりでいるということだけがわかった。
連絡があるごとに蒼太は、彼女に逢いたいという想いが募っていく。
ある日、蒼太は、自分が大きな月の見える森で彼女を捜す夢を見る。しかしそれは、夢というにはあまりにも生々しく、蒼太には現実であるかのように思えた。
果たして、大きな月が見える森は実在するのか? 蒼太は、彼女に逢うことができるのか?
そして、彼女は何者なのか?
蒼太と、彼が『ハルカ』と名づけた彼女との切ない物語が始まる……