帝暦二千五十年、世界には人型兵器が存在していた。
TS、テラーズ・スティア。
身長数メートルの人型兵器。
背中、足に取り付けられた推進装置により、優れた機動性を発揮し、その大きさに見合った高火力の武器を操る地上兵器である。
地上兵器とはいえ、ブーストすれば地上から数十メートルも飛び上がることが出来るのであるから、その機動性は他の地上兵器を圧倒しているといえよう。
胸部に設置されたコクピットにあるレバーによって手足を、関節の一つに至るまで人間の体と同じように動かすことが出来る。
手で物を自在に掴むことも可能。その足で、ほぼ全ての地形で戦闘能力を発揮する。
そんな夢の様な兵器が存在していた。敵を駆逐するために。
パイロットたちはTSを操り、敵のTSを撃墜することを使命としている。腕を上げ、多くの敵を撃墜すれば報酬がもらえ、部隊での地位も向上した。
彼らは、戦うことが好きなのだ。
そして、その度合いが強い者が、エースパイロットと呼ばれるのであろう。
インシュヴァルツ。
彼もその中の一人であった。