クロード・ファティールはとある目的の旅を続ける道中、皇都ファーラーンに一時的に拠点を置いて傭兵仕事を斡旋してもらっている白獅子獣人の男性である。
ある日傭兵ギルドから護衛の依頼を受けた彼は要人の商人とともに皇都を出発し、港町の方面へと順調に進んでいた。
ことが起きたのは雲のない月明かりが照らす夜。
商談があるから荷の警備を頼むと言われた彼はその荷の中から、手傷を負い意識の混濁した子供を救い出す。
「人身売買に手を貸す道理などない」と怒号を散らした彼に怯えた商人は、その子供は好きにしていいから見逃してくれと懇願する。
子供を抱え上げ、商人に向けて依頼の前金を叩きつけて彼は商人の元を後にした。
これは見知らぬ子供に己の過去を重ねた獅子の、生命の価値を再確認する物語。