日々の生活を退屈と思いつつ、何か行動を起こすわけでもなく過ごしていた尊はその最もな理由をしっていた。何をやっても本気になれず、何をしてもすぐ冷めてしまう。そんな尊は高校２年となり、花の高校生活を楽しむわけでもなく日々をただ過ごしていた。 　そんなある日、帰寮途中に駅のホームで謎の人物と出会い、異世界へと飛ばされる。 　その世界では、尊は自分の得たかったと心から望んでいるものを得て、日々を楽しく、笑いながら過ごせていた。 　運命の日を迎えるまでは――。 -----------------------------------------------------------------------

　鹿島　黎<カシマ　レイ>はある日事故に会い、他界する。視界が閉ざされ、訪れた暗闇。その暗闇が明けた時、レイは異世界の小さい村で生を受けていた。 　異種族に、剣と魔法。見たことも無い植物や生物、営み。そのすべてがレイにとっては新しい事で、彼の生活を彩った。 　そして年月を重ねたある日。村長の使ったたった一回の治癒魔術が全てを変える。 　レイには眼で見た魔術、耳で聞いた詠唱文を聞くだけで、その魔術を「模倣」することが出来た。 　――ただし、本人が望む効果かどうかは別として。