薄い自我だけを持って流れるように生きていた自分を愛してくれた男、セイと結婚して数年。単調にも感じる日々を送る中で____ずっと変わらないと信じていた日常がセイの死によって崩れ落ちた。セイの後を追って歩道橋から飛び降りたら、何とそこは異世界だった。
セイの元へ行けなかったと悲しみに暮れる暇もなく「聖女様」に成り代わった少女は、自我を失った日々をまた送ることになる。そんな時少女は国王と対面することになり、その謁見の間にいた次期国王のセイドリックは___セイであった。見た目はセイなのに、けれど中身はセイではない。
セイとセイドリック。セイドリックはセイの生まれ変わりであった。セイドリックはセイであった頃の断片的な夢を見て、断片的な記憶を持っていた。
自分は誰なのだと揺れるセイドリックと、ただセイとの再会に焦がれる少女の物語。