木こりの少年フルールが生まれたときから、生活の一部として身近にある【モモイロの木】
暖炉や風呂、食事の薪、テーブルや椅子やベッドなど、フルールがそれを目にしない日などない。
フルールは知らなかった。モモイロの木はその美しさから非常に高価な木材として知られており、そんな高価な木材を薪として使う家庭など、世界広しといえど、自分の家だけなのだということを。
フルールはこれも知らなかった。モモイロの木には女性を惹きつける魅了の効果が微量に含まれており、長年モモイロの木の煙を浴び続けた結果、自らもまた魅了体質になっていることを。