ここではない場所、今ではない時──異なる次界でのお話を語り部が語ります。
まだ神々が身近に存在していた頃。
人々は土地を耕し、国を作って生活しています。
そんな中でも集団になると自然に溜まるのは人の心の澱。それらが溜まると、土地は痩せ、水は濁り、人の心は荒んでいきます。
それを何とかするために、数百年に一度、姫神子と呼ばれる、神の神子が降臨されるときがありました。
赤子で降臨した彼女が17歳になる年、母神回帰と呼ばれ、その土地土地の穢れを一身に背負い、剣士、魔道士二人の共とともに母神に浄化してもらう儀式に旅立つ義務があるのです。
訳あって、前回の時は完遂されなかった母神回帰。
ばら撒かれた澱の所為で土地はやせ、人々の心はすさみ、厳しい時代を過ごしました。
そのため、今回こそは完遂させる必要があるのです。
その姫神子をめぐる人の心。
友情、恋情、また不思議なもの達との出会い──姫神子は無事に母神の処にたどり着けるのか、母神回帰の真の意味は、その時同行者達の心象は…。