神に授けられた魔法により人類は繁栄したが、時が経つにつれて感謝の念を忘れ、驕りに傾いていった。彼ら自身が魔法を発明したかのように振る舞い出したのだ。そうした振る舞いはやがて人間が魔法を発明したという偽りの事実を生み出した。その嘘が人々の間に広がり始めると神は姿を隠し、神託は絶えた。やがて人々が神の存在を疑うようになると、神話の類は作り話となった。二十五年前、変異種と呼ばれる怪物の出現は、人間の守護者の地位に辛うじて座していた神への信用にとどめを刺し、信仰の火は風前の灯火となった。この物語はそんな時代、神なき世において、ある青年が死へ向かう物語だ。
――目的のある旅の途中、青年は少女と出会う。何も言わない、無垢な少女と。