三上陽子は転生した。
任務中、自爆ドローンの直撃を受けて殉職し、乙女ゲー「ティンクル・ウォーフェア~恋の鉄血宣言~」、通称「恋鉄」の世界に転生した。
彼女が生まれ変わったのは、恋鉄の主たる舞台、ハイランド王国の悪役令嬢ヴィヴィアンだった。
ハイランド王国は周囲を三つの大国に囲まれた小国だ。国力比は、自国7に対して120、150、100。第二次世界大戦における日本とアメリカの国力比が1対10~20であったことを参考情報として挙げておく。割と開幕から詰んでおり、しかして無理矢理転生を押しつけられた三上陽子はぶち切れた。絶対に平穏な一生を送ってやるぞと彼女は固く決意した。
この恋鉄の主たる登場人物は、物語冒頭で両親と妹を惨殺されてしまうメインヒーローの王子ウィリアム、
一族郎党を族滅させられた黒騎士ダグラス、
心を通わせた義実家を焼かれたアウトロー、ヴィンセント、
犯罪組織に捕まって男娼させられていたお色気枠の美青年ティニー、
そして、エルフっぽい見た目の少数民族出身で一族を民族浄化で亡くした元奴隷少女のヒロイン・ノルンなどだ。
みなそれぞれにとても重たい背景を背負っている。
そんな少年少女に全ての責務を押しつけて、陽子ことヴィヴィアンは、ぬくぬく貴族生活を送れるのか?
ヴィヴィアンの不可能への挑戦が今始まる。