桜塚千紗都は地球上には存在しない景色を接触した相手に見せる能力がある小学生だ。ただし、千紗都には相手がどんな景色を見ているか分からない。両親からはその力を秘密にするように注意されていた。
千紗都はクラスメートからいじめ(誰からも無視されている状況下にある)を受けていたが、一人の転校生(水谷楓)が友達となってくれる。楓は千紗都の秘密を受け入れてくれる貴重な存在となった。だが、楓もまた千紗都と友達になったためにいじめられるようになる。
ある日、楓が飛び降り自殺をし、千紗都はそれをきっかけに転校する。転校先において、千紗都はクラスメートたちと浅く広いつき合いをしていた。しかし、千紗都は公園で楓と同じく関西弁を話す中学生(福原紅葉)に出会い、お互いにその存在に惹かれてゆく。紅葉は絵描き志望で千紗都の見せる景色を何とか絵に描こうとする。
そうした中、前の学校で千紗都を一番いじめていた生徒(磯山)が千紗都の学校へ転校してくる。磯山は千紗都を脅してくるが、千紗都の力で逆に気が狂ってしまう。
自分の力を恐れた千紗都は紅葉から離れようとする。しかし、紅葉はいついかなる日も公園で千紗都を待ち続けていた。それを知った千紗都は雨の中、紅葉の元へ駆けつけ、なぜ自分をそこまでして待つのか問い詰め、真相を知る。
実際のところ、紅葉は中学生ではなく千紗都と同じく小学生で、いじめを苦にして不登校児になっていたのだ。そのきっかけは紅葉がクラスメートを裏切ったことだった。だから、紅葉は千紗都にだけは誠実な人間でありたいと思い、どんな日でも千紗都を待ち続けていたのだ。
そして、千紗都は紅葉にとって一番不幸なことは別れであることに気付く。
こうして、二人はお互いをより深く理解しあい、その絆を強固なものとした。
あらすじ了。
日常 青春 アニーク大賞 いじめ
読了時間:約44分(21,522文字)