西暦9413年、既にヒトの世は終わりを告げていた。
かつて栄華を極めた人類に代わって街を闊歩するのは、進んだ科学技術の残滓、アンドロイドや実験動物達。彼らは「妖怪」の名を借り、世界に新たな秩序を生み出していた。世界は新たな住人を迎え、回っている。
かつて浜辺に打ち上げられていた人魚の死体を食べ、不老不死になった人間の少女マイカ。彼女は動乱を生き残り、自身が食べた人魚の幽霊と共に、スラム街と化したトーキョーの一角でよろず屋を営んでいた。
不死であるはずの彼女に死の予言が下る時、この終末の街に隠された謎が姿をあらわす。
微SF×妖怪。異色で奇妙なファンタジーの世界をお楽しみください。第五回書き出し祭り総合五位。