「あなたが塔の魔女?」
「いかにも……僕が悪名高い塔の魔女だよ」
森の片隅にある古びた塔。
人食いの魔女が住むと言われるこの塔の頂上の小さな部屋。
その部屋で静かに本を読む少女に
まだ幼さの残る少年は、問いかけました。
少年の名前はヨルン。
救いを求め彷徨い、この塔へ辿りついた少年で、心が傷だらけでした。
魔女の名前は……。
救われる事を諦め、塔のてっぺんで永遠の時をただ静かに過ごす魔女と呼ばれる少女でした。
世界を拒絶した者、世界に拒絶された者。
深い森に囲まれた塔の頂上。
少年ヨルンは、ある日魔女に花を送ります。
魔女は寂しそうな笑みを浮かべます。
小さな窓と、安楽椅子と、本棚しかない、小さな部屋で、二人は出会い、静かに運命は動き出しました。
この物語は何年も昔にSSという方式で発表し、いくつかのまとめサイトに掲載された、
少年「あなたが塔の魔女?」
という作品のセルフリメイクです。
また、荒ら島さんの趣味部屋というサイトでも途中まで掲載しましたが、
今回、改めて小説という形式でこの場を借りて発表させていただく事にしましたので、何卒よろしくお願い致します。