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これ以上なく心を揺さぶられた、最高の物語
投稿日:2017年6月19日 改稿日:2019年4月5日
この作品最大の魅力は、酷く現実的で、どこか温かみのある人間関係だと思う。 序盤の本を得ようとした際の身分の壁、代用品を作ろうとした時の物理法則の壁、印刷技術を作り上げた直後の情勢の壁、これらを超えるマインや周囲の創意工夫。 家族と離れ離れにならないように頑張り、繋がりを全力で保持する一家の絆。 クーデレでヤンデレでツンデレな魔王と女神の化身の、全然甘くないのに甘い雰囲気に染まり切ったやり取り。 自重を捨て去った火種兼火薬庫に振り回され、振り回されまいと逆に振り回す喜劇的な一幕。 現実は頭の中のように上手くいかないけれど、それを乗り越える強さと、その源となる思いやりと温かみ。 個人的な見解だけど、ここまで読者の喜怒哀楽を掻き乱し、それでいて読了後の幸福感を醸し出してくれる作品は、ほとんど無いと思う。 他の人も言うように、歴史に刻まれなくとも、是非読んで欲しい作品。