レビューした作品一覧全2件
 気付いたらギター一本で異世界に、という衝撃の出だしの転移もの。異世界転移ものは、「転移した人間がその世界にどのような影響を与えるか」という内容が多いですが、この物語の主人公ことイッチーは音楽で世界を変えていきます。  異世界に下り立ったイッチーはひとりのエルフの少女を始め、様々な人々と出会い、自分の音楽を伝えていく、というお話。  特徴的なのが、「こっちの世界パート」が「異世界パート」の物語進行に合わせて挿入される構成で、我々と同郷である主人公側の人生背景密度が高く読み取れ、共感しやすい作りになっているところです。  シーン毎の情景説明が丁寧で非常に想像しやすく、既存のイメージに独自の由来説明を欠かさない。そのことが物語に「自覚性」を持たせています。  異世界だってこの世界と同じように地平が広がっている、そういう「世界」を求める人にオススメな小説です。
 何故、物語を書くのか。それは読まれるためだ。  自分の書いた物語をより多くの人に読んでもらいたい。  それが源泉であり、原点だ。  そして、『なろう』等ネットという場を拡散の土俵として選んだ以上、逃れられないものがある。  それは数字だ。  このエッセイでは自分の作品を読んでもらうために、その数字をどのように読み、積み上げたかが記されている。  「実際の人間がどのような習慣で端末を操作し、サイトに触れているか」という人間の行動原理に基づいた観察記録と、そこからどのような物語を立ち上げるか、という技術論。  このエッセイにある通り、人は「感情論」で作品を測る。このエッセイには感情と、それに基づく人間の行動がしっかり書かれている。  数字を積み上げるメソッドを逆算しても、自分の作品に影響が出るとは限らない。しかし、行き詰まった人は是非ともこのエッセイに触れて欲しい。