数多く読んで来ましたが、その中でも一話から最後までストレスなく読める小説の一つだと思います。
主人公の境遇が物悲しいシリアス成分もありつつ、
かといって敵を倒してスパッと勧善懲悪、という程でもなく。
(裏側では大変な事になっていると思いますが主人公目線では比較的あっさり描写)
おかげで読み手として過剰に憂鬱になったり苛々せずに、少しの悲しみと多くの楽しさで読む事が出来ました。
描写が細やかで美しく、食べ物も美味しそうで、南国の雰囲気をワクワクしながら楽しませていただきました。
小さな小川のように美しく地に足のついた恋愛描写も。
この世界には密猟も過剰伐採も公害も無く緑豊かに保たれるような、心穏やかな夢を見られる気がします。