本作品は文章も非常に読みやすいとは言い難く、最初はややとっつきにくいことは認めざるを得ない。しかしながら、あらすじを読んだだけでも異色の世界観が構成されていることがなんとなく感じられる。読み進めていくと、微細かつ濃密な描写が続き、読み手をその世界観の中に導いてくれる。ごまかしなく徹底した描写にこだわるがゆえにかえって難解に感じるところもあるかもしれないが、緻密な設定が背後にあるからこそここまで描写できるのだろうと思われる。また、序盤から超人的な能力を持つ主人公優城やカインの登場でここからさらなる展開は物語のスケールがとてつもなく壮大であることを示唆するものだろう。もう1人の主人公阿羅牙はまだ登場するところまで物語は紡がれてはいないが、超常の力を持つ主人公2人が活躍すれば今後極めて面白い作品になることが期待できる。