レビューした作品一覧全7件
精霊が身に宿るのが普通の大正浪漫風な世界にて、主人公は一切の精霊を宿しませんでした。しかもその生まれが最悪なことに、強力な精霊を宿すはずの華族でした。終いには放逐の憂き目を見ることになりますが、精霊を持たなかったのには理由があって……。 正直、導入はありきたりな復讐モノ、ざまあ系そのものです。ステレオタイプとしてのこの手の作品はあまり好みではないのですが、骨太な世界観がそれを補って余りあるほど良い! やや癖のある文体も世界観を形造る重要な要素です。 また、主人公はヘタに癇癪を起こすでもなく割と理性的なタイプであるため、必要以上に悪感情を刺激されることもなく、比較的すっきり読めるのも高ポイント! (そしてこれは余り大きな声では言えないのですが、ヒロイン的ポジションの女の子、永遠の女の子です。ロリコンのみなさん、こっちですよ……)
ファンタジーか学園ものかコメディかの三択で判断するならば間違いなくコメディ。それほど勘違いが光る作品です。 一孤児院に属する守銭奴少年は、精霊もかくやという美貌の少女と中身が入れ替わり、とある理由でそのまま学園に召喚されてしまいます。 そこから始まる守銭奴無双! 金に一途なだけなのに、何故か積み重なってゆく無欲の聖女の像。勘違いが、止まらない! 勘違いが勘違いを呼ぶ、至高の勘違いストーリー。 ざっとまあ、こんな感じです。 勘違い系が好みなら男女問わずブッ刺さること間違いなし。 しかし物語の質も舐めてもらっちゃあ困ります。オリジナリティに富みながら、ちゃっかり感動場面も用意されている辺り、作者様の力量が垣間見えますねー。
少年期、妙に大人の魅力を纏い始めた女の子にどぎまぎした記憶はありませんか? 男共がアホみたいに駆け回る中、一足早く肉体的・精神的に成長する女の子。両者の間に薄らと壁が生成されていく時代を、私はありありと覚えています。 いえ。 本作を読んでその時代を思い出したと表現する方が正確ですね。 本作は導入こそありふれた転生ものと変わりませんが、全体的な物語の質はもちろんのこと、幼いながら絶妙なエロティズムを持ったヒロインに魅了されました。 彼女が私の奥深くに眠っていた記憶を(多少の脚色を以て)想起させたのです。 文字数制限的にヒロインの魅力を語るだけでレビュー(笑)を〆ることになりますが、最後にこれだけは言わせていただきたい。 卑猥は無い。イイネ?
 なろうでは主人公最強ものが他を圧倒していますが、この作品もその例に漏れず主人公最強ものです。  八百長をしてコロッセオを追放された元チャンピオンは、ひょんなことから王女様に拾われます。連れられた王城は様々な思惑が飛び交う場所でした。何やら王女様にも秘め事があるようで……。  待ってほしい!  “ざまあ”、“俺TEEE”が思い浮かんで回れ右をしそうになったそこのアナタ!  まずこの作品を読み進めて気づくのは登場人物の愛らしさでしょう。特にメイド、アンタ最高だぜ! 主人公の傲らない性格にも好感が持てます。キャラに魅せられて「取り敢えず一章くらい読んでみるかー」となるワケです。  さらに読み進めると張り巡らされた伏線の数々と、その華麗な回収ぶりに驚かされます。スラスラ読めて、いつの間にかこの作品の虜にになっていました。天晴れです。  そんな作者様に、この拙いレビューをプレゼントっ!
いやはや、ここまで熱くなれる物語はそうありません。熱すぎて手に持つスマホがびしょ濡れになってしまいました。主に私の汗で。マラソンランナーをも思わせるこの様相が、たった一つの小説に起因するのですから驚きです。 読破直後にこのレビューをしたためているのですが、未だ興奮冷めやまず、手が震えているのが現状です。 作者様の才能を恐ろしく思います。豊富な知識に裏付けられた世界観と類まれな文才とが禁断のコラボレーションを催してしまったのが本作。彼ら彼女らの咆哮が、直接心に響きます。これ、読む覚醒剤ですよ、ホントに……。 胸に広がる爽快感、ジンとした幸福感。 素敵な物語を、ありがとう。 P.S. サチケルちゃんかわいい。デ・アレカシ。
恋愛はややこしい
投稿日:2019年2月21日
恋愛を甘酸っぱい言葉で書き綴った作品は数あれど、現代における恋愛のまどろっこしさや、ややこしさを上手く表現された作品はそう無いのではないでしょうか。 とは言え、上記の事柄を意識された作品が少ないのは仕方のないことなのです。 日常を文章にするのは意外と難しいものです。何の変哲も無い会話をとってみても、自分が書いたものを読み返すうちに「違う」と思うことは一度や二度ではありません。 作者様は、そんな描くのが難しい日常の中に恋愛を上手く馴染ませているのですから、その手のセンスをひしひしと感じます。 登場人物たちの行動、言動が複雑に絡み合い、主人公に影響を及ぼす様まで一切の違和感なく読める点も素晴らしいです。よく練られた物語構成だなと思います。 以上、あくまで素人の感想ですが、少しでも興味をもたれた方は是非読んでみてください。
『その無限の先へ』を読む際の注意点
投稿日:2018年11月2日 改稿日:2018年11月3日
このレビューを書き始めたとき『その無限の先へ』の素晴らしい点と読むに当たっての注意点を書き綴ろうとしたのですが、どうも文字数制限に収まり切りそうにないので注意点の方にフォーカスしたいと思います。 当作品の文体はラノベ調で、誤字脱字も少ないので文自体の読みやすさは折り紙つきです。しかし密度が高めで一話一話がとてつもなく長いです。正直に言うと私もその長さに圧倒されて一度読むことを放棄しました。いえ、問題だったのは長さだけではありません。世界観設定の綿密さ故、導入部分の展開もややスローペースなのです。 それから半年、私はなんとなく当作品を再び読み始めました。今回はトライアルダンジョン攻略まで読んでから判断しようと決意して。…ハマりました超面白い。 当作品を楽しく読むためのカギはいきなり導入部分にある説明回を乗り切ることです。あとはこのレビューのような高密度の文章を読む胆力があれば尚良しです。