レビューした作品一覧全30件
表題にもある「乙女ゲーム」という言葉。その響きからして、メルヘンチックで恋バナが散りばめられた、女子も大好きな公爵令嬢の物語……、を想像するのが常であろうが、それは「良い意味」で裏切られる。 過酷と言うには生ぬるい主人公アーリシアの生い立ち。孤児院での生活は凄惨という言葉が相応しい。だがとある出会いが彼女の運命を更に凄まじいものへと連れて行く。 自身の目的の為呼吸の様に人を屠るその生き様。まるでそれは感情を失った殺戮マシーンかの如く振る舞いだが、その宿命に抗い、または受け入れながら戦い続けるヒロイン。 それでも信じられる出会い、血縁との触れ合いから徐々に人の心を芽生えさせていく。 アーリシア(アリア)を取り巻く環境、各国の政略等、描写がとても詳細で丁寧。これを無料で読めるなんて中々ないかと。 最近の公爵令嬢ものに飽きてきた方、オススメです。
貴族の位は魔力に依存する、そんな異世界で有名貴族の十三番目の末っ子として産まれた主人公ソミュアも、これまでの兄弟姉妹同様、優れた魔力持ちだと期待されるが、「加護」という人の魔力を増幅させるだけというもの 期待外れだった彼女に父はせめて将来の政略結婚の道具にしようと、一応は離れながら婚姻できる歳まで育て上げる 一方名家の末っ子でソミュアと同じく「外れ」認定されたアラド。だがソミュアとの魔法とは相性抜群で…… 貴族ならではの仕来りや華やかな裏側に翻弄されつつも、お互い協力しながら生きていく事を選んだ二人だが、これから果たして幸せになれるのだろうか? 八十八先生の一人称というのも珍しかったのですがさすがこれまでも丁寧に作品を書いておられただけあって、とても読みやすい 個人的に異世界恋愛は苦手なのですが、そんな私でもこれからの展開が気になってしまう作品です
主人公銀条和也はアラサーのエリートサラリーマン。見た目良く仕事も出来るが、そんな彼にもただ一つ心残りがあった。 それは「青春を無駄にした」事。世間一般では恋多き時期であろうその時に、彼はひたすら勉学に勤しんだ結果、恋を経験する事叶わなかった。それが原因か中々こじらせている。 恋ってどうするの? と、周りにも聞けず悶々としていたある日、家に帰ると見た事もない恋愛ゲームを見つける。不可思議に思いつつも興味があった和也は起動してみる。 すると若返ってそのゲームの世界に入ってしまい、攻略しないとヒロインに殺されてしまうという。更にどういう訳か、ヒロイン二人は当たり前のように武器を持ち、和也を何度も殺してしまう。 命がけの恋愛ゲームという不思議な世界観と、テンポが良く読みやすく、先が気になってしまいます。 一話目が長いですが、それを超えるととても楽しく読めるかと。是非多くの方に読んでほしい作品です。
主人公戸崎幹成はとある深夜ラジオ番組に熱中していた。 そのパーソナリティ、トーマスフレアという若手芸人に然程興味がないが、それより気になったのは聴者から送られてくるネタハガキ。その番組ではそれが読まれ笑いにする、というのが定番だった。 そのうち戸崎がネタハガキを投稿するようになり、今ではそのネタハガキを読まれるNo1となっていた。因みにハンドルネームは「ザッハトルテ師匠」。 因みにこの番組、然程人気がある訳でもなく、今時の高校生がラジオを聴くという風潮も少ない事もあって存在自体学校では余り知られていない筈だった……。のだが。 久松里海という美少女との出会いで、戸崎の平穏だった日常がガラリと変わる。 ありがちな強烈キャラでもなく、またラジオにハガキで投稿という、良い意味で古臭い様子が妙に惹きつけます。 この二人の今後も気になりますし、先を読み勧めたくなる作品です。
俺は一体何をやってるんだ? と、文中主人公良和がそう疑問に思うシーンがありますがそれも当然。元々良和はいじめられっ子に復讐する為、異世界から悪魔を呼び出す予定がどういう手違いか、異世界でゴブリンに襲われそうになっていたスラムの少女を召喚してしまい、その世話をしているのですから。 しかし戻す方法がわからない良和は、アリシアと名乗るその異世界の女の子を仕方なく家に置く事に。 そして現代の事を一切知らないアリシアに、風呂やトイレの使い方を教えたり食事を与えたりと甲斐甲斐しく世話する良和。 見るもの食べるもの全て、無邪気に反応するアリシアに対し、徐々に仄かな想いが湧き上がる良和。 こんな、ありそうでなかったちょっと斜め上のファンタジー。よくあるチートものとは全く違い、ほのぼのとしていて楽しく読めます。 ありがち異世界ファンタジーに疲れた方、是非ご一読頂きたく。
ただの村娘だった主人公フラムは、魔王討伐メンバーに選ばれるも、彼女のステータスは全てゼロだった。そのためパーティを追い出され、しかも奴隷落ちしてしまう。 しかし運命的な出会いがあった。それは魂食いという呪いの大剣。奴隷商はそれでフラムを陥れようとしたのだが、そのおかげで彼女の唯一無二のスキルを知る事となる。 運命的な出会いはもう一つ。毒で顔を醜く侵された少女ミルキット。その存在もフラムにとって不可欠となる。 魂食いの能力による再生を駆使し、四肢を失いながらその激痛に抗うという不器用な戦い方で、多くの強敵を屠っていくフラム。そして彼女は、巨大な世界の運命の波に翻弄されていく。 GL要素ありですが、嫌いな私でも読めました。それより緻密に造られた世界観、各キャラの背景や個性、ストーリーが秀逸で、隙のない丁寧な作り込みに魅了され、つい読み込んでしまいます。 久々に出会えた良作です。
主人公悠介は健常者であるにも関わらず、ダウン症特有の外見のため周りから「特別扱い」をされる。 幼少の頃はその事に違和感を感じつつ、自分は他の人間と「違うようにできる」事に気づいた時、悠介は己の生き方を見出す。 高校時代、所謂ヤンキーと呼ばれる連中にもその「スキル」は有効だと気づいた悠介は、チートとも言える程効果のあるそのスキルを活用し、益々周りの優しさや思い遣りを利用する生き方を選択していく。 それはとても楽な生き方。だが当人の本質を誰も見ようとはしない。否、見せないからそうなってしまうのだが。 最終話、行動した「それ」はただ無垢で純粋な悪意から。自己肯定の出来ない生き様を顕した様な、自分勝手な行動。結果ヒーローになったのだろうけれど。 歪で、何処か共感できる不思議なリアリティを感じる物語。繊細な文章力と語彙力が、より一層読者を引き込みます。 お薦めです。
レビュー作品 魔除けの仮面
作品情報
プロボクサー本田史郎は、試合中の怪我が原因でしんでしまい、異世界へ転生する。 しかしよくあるチートものでも、貴族への転生ではなく、「奴隷」だった。 そしてよくある奴隷とも違う。拳闘士という、拳で戦う事を強いられた立場だった。 ロイムと名前を変え新たな人生を、前世で培ったボクサーの経験を活かし、拳闘士として頭角を現していく主人公。 不思議な事に、ロイム同様、前世の記憶を持った、しかもボクサー経験がある人物までも登場し、ロイムは前世同様、ボクサーとしての力を蓄えていく。 よくある異世界成り上がりとは違った、奴隷ボクサーという背景の、一風変わった物語。文章力も高くとても読みやすい作品です。 様々な美女との恋物語も散りばめられていて、飽きが来ず楽しめると思います。 お薦めです。
主人公神乃ヶ原天の両親は、共に超越者と言っても過言ではない程、人知を超えた存在。その間に産まれた子どもなのだから、当然その能力は受け継がれていたわけで。 誰もが羨む天性の才能。一切の苦労を必要とせず、幼少期から何でも出来てしまいこなしてしまうその力に、周りの(普通)は、徐々に畏怖から変化し忌み嫌うようになっていく。弱小故の防衛本能とでも言うべきか。 ただ、それでも天は溶け込もうと努力する。しかしある日を境に、普通とは相容れないと判断し、普通とは違う道を模索するようになる。 天才といえど人間的にはまだまだ幼く、不完全で危うい天が、日々成長していく様子を上手く書かれていて、更に鈍くさい幼馴染花との、甘酸っぱく時折泣ける掛け合いも、とても読み応えがあります。 主人公が天才、ヒロインが鈍くさい。このギャップを是非、多くの方々に楽しんで頂きたいですね。
元魔王だった父の跡を継ぎ、現魔王となった一人娘のエレナード。彼女は父親の計らいで箱入り娘として育てられたため、戦争とは無縁の生活を送っていた。 だが、一向に終わらない人族との戦争に疑問を感じ、幹部の一人に問いただすと、何と現在、圧倒的力を持つ魔族は、圧倒的数を誇り戦略に長ける人族に劣勢を強いられているという。 そこで、異世界=地球から「クラウゼヴィッツの戦争論」を入手した、と部下から聞き、それを元に戦略を立て直すエレナード。更に「孫子の兵法」までも獲得し使用するようになる。 途端、魔族の快進撃が始まる。脳筋で力任せに攻めていた魔族が、戦略を用い戦争する事で劣勢から立ち直る。胡座をかいていた人族達は、突然強くなった魔族達に驚愕する。 題名は難しそうですがとても読みやすく後書きに説明もあり、テンポも良くとても読みやすいです。 久々に良作に出会えました。多くの方に読んで欲しい作品です
主人公山田明は、空腹を満たすためウシガエルを捕えようとするも失敗し溺死。お粗末な理由で死んだ明は、よくある神様との邂逅をする。成る程よくある異世界転生?と思いきや、天界フェアなる抽選をするという。 それに運よく当選し得た能力は「アイテムの種」。しかも自称神様の猫まで一緒に転生してしまう。 この神様猫、転生するとただの喋る猫。でも可愛い仕草で人々を虜にし、そして猫じゃらし等には滅法弱い。神様の癖にうにゃんうにゃんしてしまっています。 そんな、不思議なコンビが織りなす異世界物語。ゲラゲラ大爆笑のコメディとは異なり、クスクス笑える楽しいお話が盛り沢山です。 テンポがとてもよく所々散りばめるお笑い要素や、先が気になる展開を含めて、さすが徳川レモン先生。つい楽しく読んでしまいます。 真面目に読み込むライトノベルに疲れた方。コメディタッチの癒しファンタジーは如何でしょうか?
絶対的存在である勇者に裏切られパーティーを抜け出す事となってしまった魔法使いの主人公マグナス。しかし、彼にしか読めない文字で書かれた、”この世界を攻略する本”を得てから、人生は大きく変わる。 正に予知の如く先々の情勢や魔物の事が判ってしまうその不思議な本のおかげで、マグナスはどんどん成長していく。ゆく先々で出会う、権力や欲望に狂った人間達をも凌駕しつつ。 彼の目的は魔王を倒す事。攻略本を片手に、途中で出会う?殺戮メイドと共に旅を続ける様子はコミカルで時折シリアスで、そして人間の様々な愚かしい部分を、マグナスなりに看破していく様は、胸がすく思いで読んでいてスッキリします。 ヒロインアリアへの一途な想いから、多くの女性が寄ってきても侍らす事のない主人公にも好感が持てます。 テンポもよく読みやすく、その割に丁寧に物語が作り込まれていて、続きが気になる良作です。
三千年の時を経て復活した魔王。 その復活を、魔大国の実力者「七欲」が出迎え、歓迎される。 チートと言っていい程の力は、とある理由から衰えはしているものの、三千年後の世界では、それでも最強であった。 そして彼女は「ノア」と名乗り、人間や他の種族が暮らす国へ旅立つ。彼女の目的のために。 道中、矮小な人間がその能力に当てられ、驚愕したり、三千年の時代錯誤? からなる不思議ちゃんのような雰囲気を醸し出す主人公ノアの旅物語。テンポもよく個性的なキャラクターもあって、テーマはシリアスながら楽しく読めます。 とある登場人物の存在も気になりつつ、これからの更新が楽しみな良作です。
主人公の男子高校生六月春は、容姿端麗なとある女子生徒に告白される。だが、春は告白されるも自信のなさもあって断ってしまう。 その事が、春の高校時代を一変させてしまった。元々一人でいる事が多い孤独な春だったが、その出来事がきっかけで阻害されてしまう。言われないはずの噂まで広がってしまうも、春は本来の孤独症故か、自身への誹謗中傷を享受し、事なかれと日々を過ごそうとする。 だが、そんな歪な状況を周りが放っておかない。その件がきっかけで春には様々な人間関係が入り乱れるようになる。 誰がメインヒロインと成りうるのか、それさえも分からないまま話は進みますが、文章がとても丁寧に書かれている上、既に沢山のフラグが立っているのをどう回収していくのか、続きか気になってしまう良作です。 ありきたりの恋愛小説に飽きた方は、是非読んでみて欲しいですね。
前世で清掃駆除の仕事の最中、巨大なゴミが落下し圧死してしまい、異世界にやってきてしまった主人公ナオキ。 転生転移お決まりの、勇者となって魔王と戦うわけではないので、戦うための能力を授けられていないナオキは、異世界に来ても出来るのは前世と同じく清掃駆除。 ところが駆除の対象が魔物だったりするので、駆除するうちレベルが勝手に上がっていく。別に強くなりたいわけでもないのに、清掃駆除の仕事をしているだけで強くなっていくナオキ。 だが実は、ナオキがこの世界に来た理由がきちんとあった。その理由に従い、異世界でやるべき事をこなしていくナオキ。 奴隷を助けたり、女剣士や魔法使いや獣人とも縁があって、彼らと仲間となるも、相変わらず清掃駆除でドンドン強くなるナオキと、仲間達との冒険譚。 文章は淡々と進むも読みやすく、いつの間にか読破してしまいます。 世間一般的なファンタジーとは一線画す良作です。
レビュー作品 駆除人
作品情報
とある日本の日常の一コマ。 ごく普通に暮らしていた家族は、意味も分からず異世界へと転移してしまう。そこは、獣の耳を持つ言葉が通じない人々が暮らす世界。 主人公の父親ヒロトと、小学生の男の子ハルとまだ三歳の女の子ハナが共に転移したのだが、ヒロトの妻であり二人の母であるナナミだけ逸れてしまう。 意味の分からない状況ながら、それでも子ども達の母親を捜す決意をするヒロト。そこから、全く情報の無い異世界での、彼らの生活と冒険が始まる。 多くの人々の助けを借りながら、ヒロトを含めた人間的に成長する様が読者を引き込みます。よくあるチート能力など皆無。それでも、ヒロトが日本の生活で培った能力と知識を用いながら、子ども二人と共に生き抜く様子に、つい声援を送りたくなります。 久々に読み込んだヒューマンドラマでした。是非この世界に浸って欲しいです。
ただの一村人の主人公ロイ・マグリス。だが、彼は何の因果か触れてはいけない魔界の扉に、妖精の悪戯だろうか、血を滴らせ触れてしまい、そして魔界へと落ちてしまった。 彼は過酷な魔界を何とか生き延び、しかもその世界で賢者と呼ばれる程まで出世した。だが、そうなった時には、既に百年の時が過ぎていた。 元の世界に戻る術を手に入れ戻ったはいいが、時すでに遅し。当然彼の家族は既にいない。それでも、自身の家族の痕跡を探すべく、彼は旅に出る。 そんな最強主人公と彼を慕うヒロインとの旅物語ですが、さすが徳川レモン先生、ありきたりな内容と思わせない文章力で、テンポが良く読みやすい。 二人の今後も気になりつつ、旅がどう展開するのか楽しみながら読める良作です。
活動報告。略して割烹(活動報告を割烹と言うのはつい最近知りました)。 読んで字の如く、自身の活動を報告する場なのですが、人気作家様はともかく、これから必死になって上位に食い込むべく、様々なアピールをする何かのツールが欲しい。そういう人は是非このエッセイをご覧下さい。 まるでホームページを作るかの如く、詳細な説明をされており、しかもテンプレートまでご準備されているほど至れり尽くせりな内容。そのおかげで初心者でも手を出しやすいよう、配慮されています。 本来ならなろう運営がやるべき事では? とまで思ってしまう詳細且つ有意義な内容。特に作品を投稿されている方は、一読必至かと。 そのうち私も勝手ながら利用致したく。皆様のなろうページを、このエッセイで学習しながら、彩あるものに変えていきましょう。
ネットレビュー大賞 応募レビュー 十五歳という若さながら、最上級の称号であるS級を賜り、ドラゴンキラー隊の隊長に任命される主人公ゼクード。 ドラゴンキラー隊は全て見た目麗しい年上の美女ばかり。女傑とも言える彼女達を束ねるには心許ない年齢であるゼクードだが、隊長として結果を残し活躍する事で、当初見下していた彼女達や、周辺国の猛者達までも信頼させる。 正に天災と言わしめんばかりの脅威であるドラゴンに立ち向かう若者と、非力で矮小ながら自らの生活を守るべく戦う人間達の物語。ハーレム要素もありシリアス一辺倒でないところも、楽しめるポイントです。 更新毎の話数は少ないのですが、想像力を掻き立てる文章力と、テンポの良さで、それが全く気にならないです。 人間達はドラゴンと言う圧倒的脅威、絶望から、どうやって希望を見出すのか。続きが気になる良作です。
ネットレビュー大賞 応募レビュー 異世界で勇者として戦い、魔王を倒したリノン。一方、現世界で普通の高校生として過ごしていた新田雄介は、異世界に通じる日記を通すという、不思議なやり取りをするようになる。それが日常となり、顔を合わせたことのない二人の間に恋心が芽生える。 その想いのおかげだろうか、二人は異世界を飛び越え、出会う事が出来る。リノンは異世界からこの世界にやってきて、雄介と共に過ごす事になる。 異世界から来たリノンにはこの世界の常識が当然一切なく、色々発見したり驚いたり、そのギャップが読んでいて楽しいです。二人の初々しい恋心がこれからどう発展していくのか、時折異世界に関するトラブルもありながら、すれ違いながら、進展していく様は、今後も気になる展開です。
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