表題にもある「乙女ゲーム」という言葉。その響きからして、メルヘンチックで恋バナが散りばめられた、女子も大好きな公爵令嬢の物語……、を想像するのが常であろうが、それは「良い意味」で裏切られる。
過酷と言うには生ぬるい主人公アーリシアの生い立ち。孤児院での生活は凄惨という言葉が相応しい。だがとある出会いが彼女の運命を更に凄まじいものへと連れて行く。
自身の目的の為呼吸の様に人を屠るその生き様。まるでそれは感情を失った殺戮マシーンかの如く振る舞いだが、その宿命に抗い、または受け入れながら戦い続けるヒロイン。
それでも信じられる出会い、血縁との触れ合いから徐々に人の心を芽生えさせていく。
アーリシア(アリア)を取り巻く環境、各国の政略等、描写がとても詳細で丁寧。これを無料で読めるなんて中々ないかと。
最近の公爵令嬢ものに飽きてきた方、オススメです。