レビューした作品一覧全31件
たつべえ様の『木星の陰陽師』は、まさに“陰陽ファンタジー”の醍醐味を詰め込んだ熱量の高い作品です! 一話から飛び込んでくる「お前は俺の子じゃない」から始まる衝撃の展開。そこから明かされる出生の秘密、神道・魔道・武道という三道の設定、そして龍を使役する主人公・龍穂の覚醒と、怒涛のテンポで物語に引き込まれます。 特筆すべきは、バトルシーンの臨場感と、神通術や式神による術式の“神秘感”。そして“木霊”が覚醒して鬼を倒すという意外性も胸を打ちます。 また、「賀茂忠行に命を狙われている」というサスペンス要素も絶妙で、陰陽師×バトル×陰謀という三重構造がクセになる面白さ。 現代異能モノがお好きな方、少年漫画的王道が好きな方には自信を持っておすすめできます!
“聖女に選ばれてしまった少女の運命”という王道ファンタジーのテーマながら、主人公ルヴィリアの繊細な心情が丁寧に描かれており、感情移入が止まりませんでした。 特に印象的だったのは、第1話・第2話でのハインケル殿下とのやりとりの機微です。幼き日の約束と現在のすれ違いが胸を締めつけ、彼の視線に潜む翳りにいち早く気づくルヴィリアの描写が秀逸。さらに、選別の儀における“自分の意思とは裏腹に運命に飲まれていく”展開がドラマチックで、否応なく物語に引き込まれました。 エミリアとのやりとりにも温かさと哀しみが込められており、主人公の孤独と決意がひしひしと伝わります。 「愛」と「使命」、その狭間で揺れるルヴィリアが、これからどんな選択をしていくのか……続きを読まずにはいられません。
どこにでもいそうな“平凡なサラリーマン”岩城亜久里が、突如として異世界に召喚される……そんな王道の出だしながら、「別に前世に未練も不幸もなかったんだけど!?」という主人公のリアルな反応がとても新鮮でした。 しかも、チート武器に封印されていたのは、なんと“元・魔王の女性”ソフィア。しかもツッコミどころ満載でお茶目なキャラなのが最高です。設定だけでなく、セリフのテンポや心情描写も読みやすく、気づけば一気に最新話まで読んでしまいました。 今後、“巻き込まれた男”と“封印されし最強魔王”の関係がどう進展するのか、とても楽しみです! 異世界ファンタジー好きはもちろん、「なろう系」のお約束にちょっと疲れた人にも刺さる一作だと思います。 応援しております!
この作品は、何気ない日常の風景に、繊細な感情の揺らぎを丁寧に差し込んだ、とても静かで美しい物語です。 絵を描くという行為に込められた記憶や想い。それを偶然見つけてしまった青年の戸惑いと、そこから生まれる人と人との距離感。その一つ一つが淡く、でも確かに胸に残る温度で描かれています。 言葉では語られない部分にこそ強く感情が宿っていて、登場人物たちの無意識な“間”や“沈黙”が、ときに言葉以上の深さを感じさせてくれます。 静かな余白の中に、読者自身の記憶や感情が染み込んでいくような、そんな読み心地の作品です。
崩壊した世界で、人々の心がまだ温かさを忘れていないことを、この物語は鮮やかに教えてくれます。 主人公・魅神氏の人柄がとにかく魅力的で、少女・霊架との出会いとやりとりには、不思議と笑いと癒しがあります。そして登場する特務隊の面々も、濃いキャラばかり!特に香呑葉姉さんと堅剛のやり取りは爆笑必至でした。 さらに、戦闘シーンの描写は「映像が浮かぶ」と言っても過言ではないレベルで、チェーンソーと触手の激突、焔添火の火花、月光に照らされるヒーローなど、一つひとつのシーンが脳裏に焼きつきます。 終末世界の中で、「誰かを救いたい」「誰かと繋がりたい」というテーマが根底にあり、読むたびに胸を打たれました。今後の展開にも期待しかありません!
レビュー作品 崩壊HAND
作品情報
調和の力――戦いに不向きとされるその魔法が、物語の中でどのように真価を発揮していくのか。序盤から丁寧に描かれる逃亡劇と、繊細な心理描写に引き込まれました。 圧倒的な恐怖の中で光を見つけるユリウスの姿。そして彼の前に現れる“影の存在”たちの言葉と魔法の在り方に、ただのバトルでは終わらない深いテーマ性を感じます。 文章は洗練されていながら、決して読みにくくなく、感情の流れに自然と身を委ねられるのが魅力。 読み進めるほどに、"王道"を超えて"骨太"な物語へと深化していく予感を抱かせる一作です。
 異世界に転移した育児パパが繰り広げるのは、バトルでも政治でもなく、生活クラフト×子育ての奮闘劇。スキル【ATM】や【パパゾン】などネーミングのユーモアに笑いつつ、子どもたちの命を思って必死に動く主人公に胸が熱くなります。  特にオムツやミルクといった身近な育児課題を、異世界の素材で解決していく描写が新鮮で、優しさとリアルが同居したファンタジー。切なさや希望、子どもたちの成長も丁寧に描かれていて、読むたびにあたたかい気持ちになります。子育て経験者も、そうでない方もきっと刺さる一作です!
VRが当たり前となった2055年の世界を舞台に、ゲーム好き高校生・義人の成長と戦いを描く本作。 ただの“ゲームもの”にとどまらず、現実の政治情勢や規制団体の動きまで絡めた硬派なテーマが魅力です。 MMORPGのサービス終了に胸を締め付けられ、ベータテストの高揚感に心を躍らせ、現実世界での政治の暗雲に不穏を感じる―― 読者は、義人とともに「仮想と現実を行き来する青春の戦場」を全力で駆け抜けることになります。 登場するVRシステムやARダンスゲームなどの設定も細部まで丁寧に作り込まれており、ゲーム好きにはたまらない要素が盛りだくさん。 一話ごとの情報量は多めですが、それが逆に世界観の濃密さと熱量に繋がっていて、次話への期待が高まります!
Dランクという「最弱」の烙印を押された主人公・ショウが、異能学園で次々とトラブルに巻き込まれながらも、自分らしさを貫き活躍していく姿がとても爽快です。 ガラの悪い先輩に絡まれたり、入学早々気絶したりと散々なスタートながらも、個性的で魅力的なキャラクターたちとの出会いがテンポよく描かれ、読んでいて飽きさせません。特にペロちゃんの軽妙な掛け合いと、生徒会長アリサの気品ある登場シーンが印象的。 「強さとは何か」「社会に出るとはどういうことか」というテーマにも触れながら、ショウのこれからの成長に期待したくなる、まさに“はじまりの一週間”の物語。今後の展開もとても楽しみです!
テンプレな異世界転移……かと思いきや、出てくるのは上半身だけの神様・ガイア!? しかも試練が「神の身体(肝臓)を拾ってくること」って、突飛な設定なのにテンポよく読ませる筆力がすごいです。 主人公の素朴なツッコミとガイアの軽妙さが心地よく、笑いとちょっぴり切なさが同居するやり取りがクセになります。 王道の中にしっかりとオリジナリティがあり、先が気になる展開。 このコンビ、ずっと見ていたくなります!
「異世界に行ったら戦って強くなる」そんなテンプレートを丁寧に解体しながら、新たな息吹を吹き込む物語です。 主人公の無気力な日常から始まり、唐突な異世界への召喚、そして勇者養成学校の“のんびりした危険さ”がユニークに描かれています。 特に印象的だったのは、モンスターたちの“絶妙に緩いのに命の危険がある”設定群。 サムライカマキリ、ダイオウゴマフアザラシ、そして爆発的スライム。 ネーミングセンスと解説文の秀逸さが、世界のリアリティを深めつつ、くすっと笑わせてくれます。 先生のテンションのアップダウン、ツッコミ役としての主人公の立ち位置、ちょっとした描写にも作者のこだわりが感じられました。 「チート勇者」ではない、新たな勇者育成物語の形。今後の展開に大いに期待しています!
異世界転生という定番のテーマを「会社が請け負うサービス」という切り口で展開する、本作『有限会社異世界転生(エクソダス)』。そのアイデアの斬新さと、コメディとシリアスの絶妙なバランスに一気に引き込まれました。 主人公・湊徒くんのテンポよく転がっていくリアクションも魅力ですが、何よりヒロイン(?)の“谷間に挟んで鑑定する”占い師、理子さんのインパクトが強烈!登場するキャラはクセが強いのに不思議とリアルで、スルスル読めるのに内容は濃厚。 さらに転生のしくみ、魂の対価や「スキッパー/リンカー」といった用語設定も秀逸で、コメディの裏に確かなSF的骨格が通っている印象を受けました。 笑えて、ワクワクできて、ちょっぴり泣ける。 異世界転生モノに飽きた人にこそ読んでほしい、異世界転生の“次の一手”です。
まるで“東京喰種”の魂を受け継ぎながら、しかし確かな“あなた自身の物語”として立ち上がっているのを感じました。 序章から深く胸を打たれます。病室で語られた“光の物語”と、今や“夜の王”として蘇る主人公エンド(祐)の軌跡。 ただの異形成長譚ではなく、「進化」によって“人間性”が削れていくことへの苦悶や抵抗が圧巻です。 母との思い出が蘇る場面や、少女との対面で浮かぶ“飢え”と“良心”のせめぎ合いは、どこまでも生々しく痛ましい――。 特に第4話ラスト、「僕は“祐”だ」と叫ぶくだりは鳥肌ものでした。名前の持つ意味が、そのまま主人公の“心”を繋ぎとめている構成も見事です。 “孤独と赦し”というテーマが、これほど繊細かつ重層的に語られる作品は稀だと思います。 今後、どのように“夜”の中で“人間”を選び続けるのか、祐の物語を見届けたくてなりません。
世界観の提示が巧みで、文明が失われた後の閉塞感と、勇者という存在の“特別でありながら孤独”な立場が静かに、けれど確実に読者の胸を打ちます。 ベルの恐怖や葛藤がリアルで、彼の目線を通してリチャードの異質さ・強さ・そして不気味さすら感じ取れるのが秀逸。 それでいてリチャードの「助けてほしいと、言われたから」という一言がすべてを象徴していて、無感情なようで実は彼こそ“理想の勇者”であるという皮肉が美しい。 “勇者とはなにか”という問いを、剣戟ではなく、静かな佇まいで語らせる筆力に脱帽です。
異世界転生×巨大ロボットという、男の子の夢をこれでもかと詰め込んだ作品。 いきなりロボのコックピットに放り込まれ、操作もわからずパニクる主人公に共感と笑いが止まりませんでした。 中盤からは、転生した体に元々の少年の意識が残っていたり、頭の中で二人の会話が繰り広げられるという、王道からの一ひねりも。 テンポもよく、ユーモアとワクワクが交互に押し寄せてきて、あっという間に読了。 挿絵もクオリティが高く、ビジュアルからも世界観に没入できます。 今後の展開も楽しみです。ロボもの・異世界ものが好きな方は、ぜひ読んでみてください!
都市伝説や民俗学を題材にしながら、極めて生活に根ざした描写が印象的な作品です。 河童伝承を追って川を調査する「教授」の語りは、淡々としていながらもどこか詩的で、現代の片隅に息づく「異界」との接点を丁寧に拾い上げていくような雰囲気が魅力的です。 池の描写や、そこにまつわる民話の考察は非常にリアルで説得力があり、まるでドキュメンタリーを見ているような感覚になります。 一方で、帰宅後の「海」との会話や出産シーンには温かさが溢れ、民俗と家族が静かに交差する不思議なバランス感覚を楽しめました。 終盤の“分かれ道”の描写は、ただの道ではなく、「物語の分岐」そのものを象徴しているかのようで、今後の展開が非常に気になります。
まるで海外の古典児童文学を思わせる、美しく繊細な物語です。語り口は優しく、穏やかな時間の流れと、フィリップやアリアといった登場人物たちの描写がとても丁寧。 序章のおとぎ話のような導入から一気に引き込まれ、古き良き物語世界に身を委ねることができました。 特筆すべきは世界観の緻密さと、魔法や魔道具に対する独自の解釈のセンス。地に足がついたファンタジーながら、夢のような浮遊感があります。また、作中の用語解説も自然で、物語の雰囲気を壊さずに世界への没入感を高めてくれます。 美しい情景描写に加えて、少年の成長や謎めいた出自、少女との出会いがどのような運命を織りなしていくのか、続きを読むのが楽しみです。
レビュー作品 Canopus
作品情報
 中学最後の部活を終えた少年が、家族とのひとときを通して自分を見つめ直す姿が丁寧に描かれており、読む者の心にじんわりと沁み渡る作品でした。  父との静かな散歩の中での対話は、経験を重ねた大人の言葉の重みと、それを受け取る少年の素直な反応が見事に噛み合い、物語に深みを与えています。  派手さはなくとも、だからこそリアルで共感を誘う青春の一幕。読後には、まるで実家に帰ったような懐かしさと優しさが心に残りました。    青春期の揺らぎと、家族の存在のあたたかさを丁寧に描いた、素敵な作品です。
 最初の一行から最後まで、想像の斜め上をぶっ飛ばし続ける、爆笑と混乱と奇天烈な知性の詰まったSF(?)コメディ。  下ネタもギャグも全力で振り切りつつ、語りは極めて緻密。モチーフのチョイスが奇抜なのに、構成と文体はしっかりしていて読みやすく、妙な説得力があります。  唐突な婚約破棄から脳をくり抜いてロボのOS化、はたまた配信・SNS・医療格差など、今っぽい要素を全部ぶちこんでますが、なぜか破綻せず「そういう世界なんだ」と思わせる力がある。 読んで損なし、むしろ何かに目覚めるかもしれません。
金髪碧眼・スペイン出身・見習いシスター――そしてザビエルの末裔という超個性派ヒロイン・フランチェスカ。 そのギャップに満ちたキャラ性が、ひとたび動き出すと物語全体を笑いとテンポで包み込んでくれます。 コメディ色の強い会話劇に加え、舞台である小さな教会の日常も非常に丁寧に描かれており、気づけばフランチェスカの“ちょっとズレた優しさ”に癒されてしまう……そんな読後感。 スペイン語講座や一日のルーティンなど、読み手を飽きさせない演出も満載。これからの展開にも期待が高まります!
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