魔法少女という生贄的な概念を上手く活用し、緻密に練り込まれた設定。
TSという特定の凝ったジャンルに見せかけて、その実……読んでいて揺さぶられる謎や違和感なく伏線が張り巡らされている事。
糸、転移、暴食という“ありふれた”素材でさえ、流麗でいて、飽きのこない文章で鮮やかな戦闘シーンの彩りの一つになっている。
ギリギリの逆境に手に汗握る戦いも、進む毎に深まる謎や魔法少女の葛藤も、どれを選んで楽しんでもあらゆる面で……美しい。
鶫という主人公を中心に描かれる一つの世界。
その結末は、“不幸”か“幸せ”か……その疑問は見届ける事でしか分からない。
読めばきっと、あなたもその奥深さに引き込まれてしまう。