レビューした作品一覧全14件
悪魔が、悪魔に成るための物語
投稿日:2016年9月30日
(レビュータイトルは一読者の解釈に過ぎない事をご了承ください) こういった作品名で悪魔を題材にしているとなると 多少は展開が予想出来るし、想像して心構えをしておこうと思って読みましたが 終盤はどんどん予想を裏切ってくれて、ラストも序盤で想像したものとはまったく違い、 最後まで楽しませて頂きました。 主要人物の心情とそこから広がる解釈を比較的しっかり辿っているにもかかわらず 「蛇足」になりそうな部分を削って「想像の余地」とする部分は残されており、 その部分に想いを馳せるだけで読了後もしばらく余韻に浸らせて貰える作品です。 完結、お疲れ様でした!素敵な作品をありがとうございます! (脱字修正に再投稿しました、申し訳ありません)
かっこよくクールで、それでいて抜け感のあるストーリーとキャラクター達が魅力的なアクション小説! 私達(え?)が欲する厨二成分を全力で補充してくれる文章が印象的な作品です。 しかし文章力と構成力が高いので、それらが文章の中で浮くことなく、自然に、かつ印象的に添えられています。 この小説から想像させられる情景のカッコよさに悶えること間違いなし! ダークな展開が主ですが、それを精神的には重く感じさせない、 けれど良い意味で質量が高く、読み応えのある文章とペース配分で楽しませて貰えます。 中編ですので、少し時間が空いた時に是非どうぞ!
レビュー作品 IMAGE Crushers!
作品情報
突飛な設定が盛られているわけではないのですが、 文章表現と、それらが取り上げている心情描写の深さに驚かされます。 いわゆる王道、正統派。 この筆者様だからこそ、この話をとてつもなく面白い文章に昇華させている小説です! 上手な小説家は流行の設定にのらずとも、ありきたりな設定だけでもとても面白い小説を書ける、と言いますが この作品の筆者様はそれに分類されるのだろうな、と読んでいて思います。 羨ましいっ。 そのまま一本のゲームにしてしまえるような、 アクが少なく、するっと読めてしまう誰もが好感をもつストーリー。 それを高い筆力で「これでもか!」というほど、胸を打ち、続きを渇望させる作品にしている小説です。 決して突飛ではないのに、各章にしっかり捻りがあるのも凄い! RPGが好きなんだよね、という人はどっぷりハマりますよ!(断言)
探偵、助手、そして読者に参加しろと言わんばかりに大胆に提示されている謎解き。 ここまではそれほど奇を衒うことの無い設定ですが、 こちらの作品はそこにプラスされている要素が、生半可では無い知識量によって形成されていて 他に類を見ない絵画系推理小説になっています。 時代背景は昭和初期。 ただ何となくその時代にしただけという「雰囲気小説」ではなく、 「昭和初期だからこそ」の、時代背景をしっかり活かした展開など、多々詰め込まれているのがとても好感がもてます。 設定を無駄にしない、意味のあるものとして描写する。 それらをしっかり踏まえることが出来る筆力だからこその、推理小説としてのこの出来。 毎回、予想した推理の更に裏が結末に用意されていて 「してやられた」楽しさがいっぱいです! 是非謎解きチャレンジしてみてください!
文章量やテーマから、特に今作には強く伝わりやすく出ていると思います。 先の戦争で負けたばかりの国の王政が舞台という、個人的にはあまり見ないのではないかと思う初期設定から始まる物語。 政治・戦争を通して、それぞれ一方の面からは正しく見えている、どれも決して間違いでは無い「在り方」がぶつかり、登場人物達、そして読者に疑問を呈します。 章はどれも見事に作品として美しく完成された区切り。 分けて読むなら章ごとをおすすめします。毎回感歎させられました。 戦争物はキャラクターが増えがちですが使い捨てずにどれもきちんと大事な役割を担い、物語を盛り上げてくれている。 他人との関わりとは何一つとして無駄など無いのだ、と。 書き手としてこんな作品が書きたい。インプットするものに悩んだらコレ読んでおこう。 そんな素晴らしい作品です、完結おめでとうございます!
人間関係の難しさ、そして素晴らしさが詰まった番外編でした。 番外編でありながら、これ一作できちんと話が成立していますので、本編未読の方々にもおすすめです。 今回主人公となった女性は、主役として申し分無い行動力と、それでいて決して考え無しなわけではなく知性も持ち合わせている魅力的なキャラクター。 行く先を阻む様々な困難を瞬く間に解決し、周囲を照らす彼女ですが、最後に彼女が恋人に伝えた言葉はそれまでの「活躍」の印象を全く違ったものに魅せてくれる素敵な言葉。 この言葉に救われる人は、きっと少なくない。 そう思います。 完結、お疲れ様でした!
最後まで読んだなら、そう思わずには居られない。 頭を使う展開を好む書き手に好まれる設定である「軍師」ですが ただ冷静であればいいわけでは無い。頭が良ければいいわけでも無い。 こちらの作品は特にその点に重きを置いています。 「軍師」という設定の枠を超えて考えてみるといいかも知れません。 皆さんにとって「心の強さ」とは何でしょうか。 何かを得る為に何かを捨てる事が強さなのか? 勿論それは時として選択しなければいけない事にもなるけれど、 様々な障壁を前にしても最後まで諦めない想い。 私には、こちらの作品において、それが何よりもの「強さ」に思えました。 彼女達の結末が、それを示す。 紆余曲折しながらも、最高のエンディングが待っています!
ただ楽しいだけ「ではない」小説を探しているのなら、是非この作品を。 納得出来る伏線は確かに置いてある。 なのにその決定的な言葉を本文で断言して貰うまで、なかなかその予測が出来ずに驚かされる。 そして、驚くのにもかかわらず違和感無く受け止められる。 そのような「衝撃」がいくつもあって、楽しい小説でした。 物書きとして「伏線とはこうあるべきだ」と思わされます。 書き手の自己満足伏線ではない、 筆力が裏付ける確かなどんでん返しがとても好感を持てました。 ストーリーは、王道ファンタジー。 ですが、その物語に秘められた様々な「心」への作者様の物申すところは 間違いなく読者の身になる言葉です。 全体的に、若い人に読んで欲しい言葉が多いな、と思います。 一度読んで、是非心の糧にして欲しい作品です。 ※すみません、漢字変換ミスがあったので再投稿しました><
長編ですが、文章、設定、展開全て、ぶれを感じさせることなく最後まで書き上げられていました。 ファンタジーとはいえ、ここまで深く掘り下げた政治描写は難しいと思うのですが、 驚くほど矛盾点が見当たらない展開に作者様の力量がよく分かります。 人間の本質を抉りながら、 それでいてその暗い景色を暗いだけで終わらせない「希望」がきちんと描写されてもいます。 目的とは、時に手段を選んでいては達成出来ないものです。 けれど、手段を選ばなければ結局他人には認めて貰えないものでもあります。 その狭間で揺れながらも、己と仲間で貫いた進むべき道、光を照らす主人公。 日光を浴びて開き、己を輝かせるその花《主人公》は、章題にある月に喩えるに相応しい存在でした。 素敵な作品です!
レビュー作品 Full of the moon
作品情報
最後まで一貫して作風が崩れることの無い、シリアスなハイ・ファンタジーです。 読んでいて微笑むシーンはあれど「作品の雰囲気を壊す露骨なギャグ」は無いので、 そういう作品が好きな人はとことんハマると思います。 ラノベでお腹いっぱいな人には特にオススメです。 多数のキャラクターの感情や心の起伏がとてもリアルに描写されている為、 様々な年齢層の方々が読んでも 「共感出来るシーン」「共感出来る人物」に巡り合えることでしょう。 男性が書く女性像とは違う、自然な、それでいて素敵な女性の魅力が主人公にあり、 誰もが彼女に惹かれていく様は「本質の魅力」をきちんと書き出している故に 逆ハーレムという俗な表現にはならない「納得できる」ものでした。 作品タイトルに冠する剣と同様に、キャラクターも輝いている物語です!
主人公とその弟が犯した過ちは、本当に過ちと呼べるものなのか。 彼らが壊した「他人の幸せ」は、本当に正しく在った幸せだったのか。 彼らの行動とその進む先を読み、ほんのちょっとだけ現実に置き換えてみると、 その「罪」が本当は何だったのか……見えてくると思います。 様々なキャラクター達によって様々な考え方を作中に内包し、 その視点によって変わる「真実」「正しさ」の多面性。 この作品を完結まで読むと、苦手だった人のことも少し違う目で見ることが出来るかも知れません。 それくらい、視野と価値観を広めてくれる作品です。
読み終えた後に改めて分かるタイトルの秀逸さ。 時代背景と絵画知識が素晴らしく「謎」に織り込まれているミステリーです。 主人公の妄想描写が、うまい具合に読者の推理を乱してくれるので、私には自力で謎を解き明かすことが出来ませんでした(涙) きちんと犯人を予測するためのピースは散りばめられているので 覚えのある方は是非謎解き挑戦してみてはいかがでしょうか。 ただし、R15、同性愛描写があるのでお気を付けください。 (直接的な単語は使われていないので、嫌悪感は少ない描写だと思います。とにかく甘美です) 感想欄を先に読むのはお控えください、ネタバレます。
レビュー作品 阿修羅
作品情報
メイン二人の成長する様が、作者様独特の文章でじっくり伝わってくる感じが読んでいて心地良いです。 二人を取り囲み、導く登場人物達が持つ思想、理想にも、それぞれとても魅力がある作品だと思いました。 結構ダークなお話だとは思いますが、節々で考えさせられる名言があって、 ただ面白いだけではない人間的な深みのある物語です。 文章量も程良いので読みやすいはず。 読んでみて損は無いかと!
レビュー作品 Vanitas vanitatum
作品情報
何でも無いような設定が、きっちりと伏線として活かされているのが 読み進めるほどによく分かり、感嘆させられます。 各話のタイトルもシンプルでありながらよく出来ていて、 やはり読んだ後にその緻密さが心に残る作品でした。 突飛な設定はありませんが (あえて言うならば少年と勘違いされるシェラちゃんの状況に驚くくらいでしょうかw) キャラクター達から滲み出ている「心」が胸を打ちます。 素敵な作品をありがとうございました!