レビューした作品一覧全3件
ツッコミは主人公と共に
投稿日:2025年2月15日
これは漫才のネタだろうか? 語り口は軽妙でテンポ良く、主人公のツッコミが冴えわたる掛け合いは読んでいて心地良い。ヨーロッパ風ファンタジー世界観の中に和風の妖怪が登場し、主人公ショウと共にバトル漫才を繰り広げます。ピンから相方を見つけ、トリオとなり、いつしかお笑いユニットとなる彼らですが、やってることは至ってシリアス。突っ込みは辛辣。随所にパロディが用いられ、注釈に ※これはオマージュです※ と突っ込み回避を入れたくなる読者様も少なくないはず! 異世界転生ジャンルすらオマージュかもしれません。 新たな可能性を感じさせる、楽しい冒険譚です。 さて、貴方は幾つオマージュを見つけられましたか? ありのまま、感想へどうぞ!
『夏』を感じる青春
投稿日:2024年12月9日
誰もが憧れる青春ストーリーの王道です。 僕と先輩。その関係性が風を感じさせる描写で見事に描かれています。作者様の言葉の選び方、比喩、修飾。とても魅力があります。 少し不器用な「僕」の描き方がとてもリアルで物語の没入感を誘います。対照的な表現の「先輩」の明るさ。こんな先輩がいたらきっと、輝くような青春時代を私も過ごせたのではないか。そんな感情を抱かせます。 そして文芸部。馴染みのある紙の本でしか出せない空気感。ページをめくる音や匂いまで伝わってきます。 そんな夏のある日……。 あらすじにある印象的な台詞はもちろん、表現、描写。 続きを読むのがとても楽しみな作品です。
乱暴に言うならばこの作品は異色だ。 架空の世界と実世界の科学の交錯。 ジャンルは当然「パニック」なのだろうがそのジャンルでは括ってはいけない。 明らかに一線を画すのは作者様の圧倒的なリアル感の追求。当然フィクションの物語なので架空の団体、架空の設定は確かにある。しかしこじつけに感じさせない圧倒的とも言える表現。 さらに「毒に対する向き合い方」と「毒に対する知識量の豊富さ」。そこに登場人物のキャラクターと感情表現が重なる。 キャラクターも多彩だ。 キャラクター名に毒のネーミング。わかりやすさで読者が混乱しやすい表現を最小限に抑えている。 間違いなく重厚な長編物語。 好みは分かれるかもしれない。 当然だ。 だがしかし面白い。読み込めば読み込むほどに。 そして読めば気付く。 この壮大な物語を破綻なく読ませる作者様の力量。 間違いなく面白い。是非ご一読を。