この作品の魅力は何か?
私はあまり語られていない知的な側面について触れたいと思う。
まず、魔法貴族制。論理的に考えて、権力は通常武力による担保が必要だが、この世界では貴族の攻撃魔法が平民を支配する武力となっているのである。
次に、回復チートを魅了チート・経済チート・軍事チート・魔力チートに変換する手腕。主人公リゼ君は攻撃魔法を使えない魔法貴族であり、故に武力ではなく平民を回復魔法で癒し、魅了することで権力を得た。家畜を回復魔法の応用でクローンし、経済力を得た。そして救われた平民が勇敢な兵士となり、軍事力を補った。そして平民がリゼ君を信仰し、それがラスボスを倒す魔力となったのである!
最後に、魔法貴族制の対決。平民を救うリゼ君が、やがて魔法貴族制に不満を抱く平民や魔力の弱い下級貴族の支持を受け、魔法貴族制に挑むのも必然的な結末だろう。
リゼ君も作者さんも見事な知性だと思わないか?