レビューした作品一覧全16件
守りたい、その笑顔
投稿日:2020年11月3日
切ない思い出、ややこしい過去。生まれつきの臆病さ。 他人より少しだけ、息苦しい日々を送っていた二人がひょんなことから距離が 近づいて、興味を抱き、話しかけてみる。 人と人との境界線を無くすことはとても怖いこと。 それらを乗り越えて自分という人間を見せることは難しくて。 だからこそ、勇気を出して近づいてくれること。自分の気持ちに応えてくれることに、言葉にできないほどに嬉しくて、胸が震える。 君が笑い、泣き、怒ってくれるだけで、恐れる気持ちなんて持っていかれる。 そんな君に、自分は何が出来るのか。何をしてあげられるのか。そればかり考える。いい循環になっている。 優しいお話を書かれる作者さまです。このお話とともに、他の作品もご覧になってみてください。
長年付き合った恋人同士に訪れる倦怠期は転換期でもあった。 恋は熱病と同じ。不治の病と言われても実際はただの熱と勢い。いつかは醒めて消える。 それが落ち着いたとき、二人の間に十分な積み重ねが…信頼が築けていなければ。 待っているのは疑問と苦しみ。 錯覚と情熱ばかりだった彼と、断りきれず絆された彼女の五年間。ずっと一緒にいたのに、お互い、自分のことしか見えていなくて。 馬鹿だから、言いたくないこと、言ってはいけないことをぶつけ合う。 歩み寄りと思い遣り、たったそれだけのことが大事だったと気づくまでに、多くの時間を費やしてしまった 愚かな二人を描いたお話。 悲しくなりますし、モヤモヤが止まらなくなりますし、何なら頭痛もしますけど。 それだけ心動かされるよいお話だと思います。
滅茶苦茶テンション高いお話。
投稿日:2020年8月23日
生きることに絶望した二人が、ひょんなことから出会い 身を寄せ合うお話…なのですが 蓋を開けてみると、とてもノリがよく勢いがあって 見ていて思わず笑えてしまいます。お砂糖ドバー、ガムシロだらー、というよりは 肉食え肉!!って感じの最近あまり見なくなってしまったラブコメ。 死にたくなった人がふと見かけて、気になるからもうちっとだけ生きようかなというくらいには 楽しみなお話です。
すべてが奇跡みたいなもの
投稿日:2020年5月2日
あらすじを見て「あ、これ好き!」と思いました。 自分の身の回りにあるもの、そばにいてくれる人 いつもそこにあって当然のように思ってしまうけど 本当はいくつもの偶然と厚意の上に成り立っているんだなぁって。 冒頭で主人公が見た夢は、胃の腑を抉られるような不快なもので、文字通り悪夢だけれど 何気ない日常の大切さや、幸せを守るためには努力が必要って教えてくれてる気がします。 NTRを阻止するために、目の前の大切な人に全力で向き合う主人公を生温かい気持ちで応援したくなります。笑
タイムリープもの。かといって強くてニューゲームみたいな、成り上がりではなく、酸いも甘いも経験した現在の思考や価値観から、自分が何に支えられていたのか、どんな人達に囲まれていたのかを実感して、立ち上がり、一生懸命頑張っていく。まさにやり直しの物語。 果たして辛く空しい現在(いま)を主人公は払拭できるのか。好きな人を救えるのか。続きが気になります。
地味男子と派手女子の仮から始まる恋物語? タイトルからお察しの通り、罰ゲームで告白してきたクラスの人気女子と、地味目な平凡男子が交流するお話。 この罰ゲームなんですけど字面とは違い、件の女子の男嫌いを克服するために友人達からお膳立てされたもの。 仮に不首尾に終わっても、いつでも止められるようにと気遣いが為されているあたり、ご友人達もいい人で、彼女は愛されてるなあという感じ。 主人公の陽信くんも朴訥だけれど、話すときも聞くときも、相手の目を見据える誠実なお人柄。 それだけでなく、他人のために咄嗟に動くことのできる行動力もあり、最初はおっかなびっくりだったヒロインが絆されていくのが微笑ましい。 ヒロインの七海ちゃんも見た目にそぐわず(これには理由があるのですが)思慮深く理解のある性格で 二人が徐々に惹かれていく様を見守るのが楽しく、また暖かな気持ちにさせてくれます。
たった一つだけ、この人生の最期に望みの夢を見られるのなら、自分はどんな夢が見たいと願うのだろう。 もしもその夢で、自分の生きた意味がわかるとしたら。 たった一人でいい、二人ならなおの事。 何でもいい。その人の心に、自分がいなくなっても残る糧を授けられれば。 それだけで自分が生まれてきたことは、意義のあることだと言えるのではないでしょうか。 たとえその人生が、多くの犠牲の上に成り立っているものだったとしても。 死ぬ瞬間まで誰かを想う、それがもっとも賢く有意義な生き方なのではないでしょうか。
主人公・橋本和真くんの幼馴染・如月このはちゃんは 口下手が過ぎて誤解を受けやすい女の子。 ついにはもう一人の幼馴染(名前は忘れた)にまで三行半を叩きつけられ途方に暮れていました。 そんな彼女の寄る辺となったのが和真くん。 傷ついた彼女を慰め、癒してあげることで 居場所を失くし、肩身の狭くなった学校での暮らしに このはちゃん自身が向き合う強さを養うお話でもあります。 それはひとまず置いておき、和真くんとこのはちゃんの甘く優しい日々を堪能するのが吉。 個人的には幼い日の二人の約束が好きです。こういうのに弱いので。 BGMは「キミのためにできること」(ゆうまお)などがお勧め。
15歳以下はロリ。
投稿日:2020年2月24日
ちょくちょく文中に差し込まれる「ラブ不労所得」「心の全裸待機」「制服偽デート」とかいう パワーワードに作者さんのセンスを感じます。笑 ヒロインは二次成長も終盤の時期というのに、超絶童顔で幼児体型、ゆえに危険と隣り合わせ。(都条例的な意味で) その手の好きもんな野郎共から身を守るため、幼馴染の男の子と偽の交際関係というよくある契りを結びます。 しかしよくよく見るとヒロインの胡桃ちゃんは主人公の達也くんのことを… なるほどなと思って見ると、見た目以上にその想いが可愛らしくて応援したくなります。 相手の達也くんも竹を割ったように清々しく漢前な性格なのでモヤモヤとは無縁で安心して見ていられます。 流行りのざまぁ系ではありませんが、爽快ラブコメの好きな読者の方にはお勧めです。
個人的には”悪役令嬢”という言葉にはあまりピンとこないのですが わかりやすく言うと某はがないの柏〇星奈のようなタイプのヒロインが出てくるお話。 作品そのものというよりは最新話の感想に近いのですが お互いが歩み寄り支えあいながらも、一方的に寄りかかったりはしない。 まず自分独りの人生を生きて、そのうえで後ろではなく並んで歩けるように。 苦難に直面した時に、たとえ直接的な助けがなくても隣に誰かがいてくれるだけで奮い立てる。 まだ高校生だけど、そんな自立した関係性が個人的にすごく琴線に触れました。 器量や能力に恵まれても、本質的には孤独で行き詰っていた二人が お互いを甘やかしあって頑張っていく様が微笑ましい。 いわゆるテンプレ、雛形に素材をはめましたといった 淡白なものとは違う、一本芯のある物語だと思います。
一周回って新鮮。
投稿日:2019年10月4日
世の鈍感系主人公って別に異常に鈍いわけでもなく ただ精神に鍵をかけているだけなんです。 まぁ、中には本当にいかれた人もいたりしますが…(←) このお話の主人公はある事情から人の感情の機微にものすごく鋭敏な設定。 その性質が仇となって割を食うことも多いわけで (似た例が思いつかないけど、強いていうなら琴浦さん。みたいな感じ) 割と孤高の人なわけです。 そんな彼にある危機から救われたヒロインは毒舌系天邪鬼少女。 素直になれない典型的なツンデレも、変人な主人公の前では形無し。 ことごとく胸のうちを暴かれて涙目になる姿が庇護欲をさそって大変可愛いです。 「もうやだこの人ぉ…!」←自分はこれでブクマしましたw 察しが良すぎて異性と相容れず、自ら独りになろうとする主人公と そんな思惑になど乗ってあげないヒロインの熱い攻防に刮目せよ。
タイトル通り、うざ絡みしてくる後輩ちゃんを遠ざける為に 主人公が深謀遠慮を企てるお話。 主人公の神埼くんは、安眠と穏やかな日常を愛するダウナー系男子。 そんな彼に目をかけ、事あるごとに懐いて話しかけてくる雨宮さん。 平穏を愛するあまり、彼女に嫌われてしまおうと考えた彼はふと一計を案じ・・・ 一風変わった切り口のお話ですが、作風はシュール、そして平和そのもの。 毎回主人公の思惑が「こんな残虐な手段を思いつくなんて・・・我ながら震える」 みたいなノリだけど、やっていることは甘く包容力に富んでいるので グイグイ来られる後輩ちゃんはいつもタジタジ、顔真っ赤。 見ている側は真顔になること必至(笑) イチャこら過多で本日も壁殴り代行屋さんが捗ってしまいます。
商業ラノベにポツポツと見かけるやれやれ系主人公の また勝ってしまった・・・敗北が知りたい的なお話かな?と 思いきや(ごめんなさい)無論そういった風ではなく 苛烈、とまではいかないまでも同年代の他の子よりも 多少濃密な人生をおくって老成した主人公と これまたままならない苦労を抱えながらも前向きなヒロイン が偶然お近づきになって漫才じみたやり取りを 繰り広げるラブもあるよ、なギャグコメディ。 世間や他人の機微に翻弄されて人知れずお疲れ気味 だったヒロインの鷹月唯李さんが それとは対照的に肩の力を抜いてよくも悪くも 「こんなもの」と達観しつつ日常の何気ない幸せを 大切に生きる主人公・成戸悠己くんに、 翼を休めつつも素直になれないところを見ていると 彼女が自分を変えてまで本当に欲しかったものに 届けばいいなと応援したくなります。 なお、現状は極めて遠いと言わざるを得ませんが。(笑)
ネタばれあるよ!なレビュー
投稿日:2019年9月1日 改稿日:2019年9月1日
ヒロインの如月唯花ちゃんは、多分現実の残酷さとか 人が向けてくる無自覚な悪意に酷く傷つき、引きこもることを選んだ娘。 そんな彼女を、偶々人生が重なっただけの幼馴染である 三上奏太くんが、ただ側にいて見守るのがこのお話。 唯花ちゃんは彼がいないと途方に暮れてしまうくせに、そんなことはおくびにも出さず 頼んでも見捨ててなどくれないお節介な幼馴染を。 先が無い(本人談)自分から開放してあげるために、優しい悪戯を仕掛けます。 それは、彼を自分に惚れさせ告白させて、振ることで繋がりを絶つこと。 そんな彼女の思惑など知った上で、思い通りになどなってやらない 奏太くんとの脳がしびれるような甘く切ない攻防()が 基本風景でありこのお話の最大の魅力。 世界と少しずつ仲直りをしていく少女と、その居場所を 守ろうとする少年の恋物語に触れてみませんか。 ※なお、本作はギャグコメディです(←)
幸せだという実感。
投稿日:2019年8月17日
人間はもともと独りだから、遊ぶことも働くことも 食べることも勿論、本気でやろうと思えば 一人で問題なく行えるように世の中は出来ています。 だけど幸福になることや、生きててよかったという 実感は、誰かの支えや見守りがなければ得られない。 このお話に登場する西澄アリスも孤立を極め 生まれてきた意味を見出せない少女でした。 そんな彼女に、ある日ふと訪れた転機。 たとえ他人の領域に土足で踏み入ることになっても それが必要なことなら躊躇わない、お節介な少年によって 一人の少女が、世間や周りの人々とのつながりや 本当の笑顔を取り戻していく姿が1話1話ゆっくりと丁寧に描写されています。 是非、彼女のいじらしさに胸を切なくされてはいかがでしょうか。
フラれてからが本番。
投稿日:2019年8月16日
自分の好きな人が初めから自分のことを好きになってくれたり そんな風に都合よく告白して付き合い 始めることって実はとても少ないんじゃないかなと思います。 本作のヒロイン・天音二菜も、主人公である 藤代一雪に告白してはフラれを繰り返して 何度も現実の壁に跳ね返されます。 そのような状況にも関わらず、何故あきらめないのか。 人を好きになることは信頼の残高を地道にコツコツと 積み上げることでしか成しえないことを彼女は無意識にでも 理解しているからかも知れません。 大好きな人に自分を好きになってもらいたいなら 自分が相手にとって大切な人になればいい。 そのためには相手のことを知らなければいけない。 どうすれば相手の内側に入って、その背中を守れるかを。 ゆえに彼女は問い続けるのです。「何でですかー!」と。 このお話は、人を好きになることの本質を、そっと教えてくれる物語です。