やや古風で難しめの言葉を使いながらも、圧倒的なリズム感ですいすいと内容が理解できます。
更に特筆すべきは、異世界転移による価値観の相違を丁寧に描写している点。
昨今の異世界転生/転移作品は、主人公がゲーマーやラノベオタクであらかじめ異世界知識を持った状態で始まる場合が多いです。
これは良い意味では読者を取り込みやすくするため、悪い意味では作者の筆力不足のために行われる手法です。
しかし、本作の主人公はファンタジーの前知識が無い状態で異世界へとやってきます。
「ゴブリン」などの定番のモンスターを知らない主人公の目線で、我々読者がゴブリンがどんな存在なのかを理解できるよう、主人公自身の言葉で説明が成される場面には感嘆しました。
展開になろうテンプレを取り入れつつ、作者さんの素晴らしいセンスでオリジナリティを確立している作品です。是非ご覧ください。