レビューした作品一覧全41件
 最初にタイトルを見た時、「どういう状況なんだろう!?」と驚きました。  読者の興味を惹くのに、完璧なタイトルです。  しかし、これは嘘偽りないタイトル。『首がない少女が、氷の騎士様と手をつなぐ』という物語です。  ど、どういうことなの……と思ったら読まずにはいられない。  あらすじを読むと、恋愛物語にしては衝撃的な内容が書かれています。 >狂っている男に首を切られて  そうです、主人公は異世界へ放り出されたと思ったら、首を切られてしまうのです。しかし、彼女は生きていました。  この時点で私は想像を超える内容に衝撃を覚え、予測不能な展開にワクワクしました。  少し怖めの設定から入る物語ですが、ご安心ください。中身はとっても甘い物語。じれったい部分有り、首がないのに愛らしい涼夏ちゃんにほのぼのしつつ、核心へと迫っていきます。  真相をお確かめください!
読み手をも浄化してくれる作品
投稿日:2020年10月26日
 作者は天才だと思います、どすこい。  人目を惹く、情報量過多かつ内容が気になるタイトル。  あらすじでは、人気がある流行テンプレをほぼ突っ込み(ただし、どれもこれも斜め上の発想)、本文へ誘導。  一旦読み始めると、止まらない。  毎話笑えるけれど、ギャグではない。  何故なら、登場人物は、全員大真面目だから。  主人公である可憐な相撲悪役令嬢フローチェは、真っ直ぐな気質で心優しく、相手が誰だろうと怯まない相撲魂を秘めた少女。  彼女を応援したい気持ちで心が満たされます。  疲れた貴女に、この一作。  神聖な相撲で、穢れを落として貰える気がします。  とりあえず読んでみてください、どすこい。
着ぐるみが可愛い。
投稿日:2020年10月21日
 主人公・流王真治は、電気店の息子。  今日も、店のマスコット“リュウオウくん”の三等身着ぐるみを身に纏い、客寄せのバイトに励む。  ……その筈だったが、予期せぬ事態に。  ヒロインである茜と共に、着ぐるみを着用したまま異世界へ旅立つことになってしまった彼を想像すると、愛らしさを感じます。  しかも、そのぬいぐるみを脱ぐことなく、戦いに身を投じます。その為、異世界の住人達の反応がとても面白いです。  ヒロイン以外にも、魅力的な女性キャラが登場する物語。人外が好きな方に、特にお薦めします。      
 ごくごく普通の女子高生(顔も成績もとにかく普通)が、交通事故に遭う。特記する事がない彼女の趣味は、乙女ゲーでした……。  おそらく、ここまではよくある物語だと思います。  この後、異世界へ転生したり、転移したり、悪役令嬢になったり、聖女様であったり。  彼女は、神様のお導きにより、乙女ゲーのヒロインになりました。  さて。  細かい事は置いといて、彼女には願ったりなお話です。目を醒ますと、五人のイケメンに囲まれていました。  誰か一人を選び、親密度を上げていくのか。  それとも、五人同時に攻略していくのか。    ここまで書いて、どうなるか想像出来ますか?    続きは、貴方の目で確かめてください。  少なくとも、私は……このゲームの世界に転生すると困るなぁと思いました。あと、このゲームをプレイするのも、遠慮したいです……。  絶妙に、何かがおかしい……。
チョコレイト・リリイ=黒百合
投稿日:2020年9月12日
 黒百合をご存知だろうか。  『立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花』の百合とは別種になる。黒というより紫と茶の混合色で、少々不気味な花だ。  実際花言葉も不吉で、贈り物には適さない。  ……復讐を除いては。  黒百合について知らずに『チョコレイト・リリィの誘惑』というタイトルを見ると、小悪魔的な雰囲気にとれる気がする。  では、中身はどうだろう。  この物語に登場する人々は、何かしら心に闇を抱えている。本来ならば、秘めておかねばならない闇。けれど、その闇が他者と繋がって暴かれる。  この物語は、描写が見事かつ、一見無関係な人間達が次々に繋がるサスペンスです。途中で出てくる花言葉に纏わる関連付けも見事。  ……連鎖する不幸の執着地点で、あなたは何を思いますか。
お腹が空く作品……
投稿日:2019年3月17日
空腹時に手を出すのはとても危険です。 いきなりラーメンの描写でお腹を抉られます……。 自宅のキッチンごと異界へ飛ばされてしまう主人公は、お腹を満たすために一変した風景を諸共せず、マイペースに料理をしています。 異界の食材で作る料理を眺めるのも楽しいけれど、一番気に入った部分は、高級化粧品のオリーブオイル!上手いなあ、と思いました。 また、料理だけではなくバトル展開もあり、そのバトルも胸熱展開! ネタバレになってしまうので自重しますが、ただのお料理小説ではないところがとても好きです。 異界の人が作ったお料理との比較も面白いです、日本人万歳! 美味しいものを食べると、人は笑顔になりますね。
愛という執着の果てに
投稿日:2017年1月27日
 人魚姫。  王子様に恋をして、想いを伝える事もなく、泡になって消えてしまった人魚のお姫様の物語。  ……ごく一般的な人魚姫は、そんなお話だと思います。  では、この物語どうでしょう。  王子様は月の住人。  ふらりと地球にやって来て、人魚に恋をしました。  美しい声と容姿の人魚に夢中になった王子様と、そんな彼を受け入れた人魚。  二人は、いつまでも幸せに暮ら……すことが出来ませんでした。  何故でしょう。    どうしたら、二人は共に暮らせたのでしょうか。最初から、無理だったのでしょうか。  儚い物語を、語り手の少女と共にお楽しみください。
グルグル、マワル。
投稿日:2016年12月14日
 見慣れない文体……かもしれません。  けれど解りやすく脳に入り込んでくるので、正直途中で“気持ちが悪くなる”かもしれません。  とにかくグルグル回ります。(表現が上手いからだと思います。)  登場人物の言葉が荒っぽかったり、ドラッグでぶっ飛んだりするので、男性向けかなとは思いましたが……。  女性でも楽しめます、前半苦手だと思っても、最後まで読むべきです。  涙腺崩壊しました、“こんな仕掛け”があっただなんて。    ただのエキセントリックなSF作品ではありません。  最後まで読んだら、第一話に戻ると……余計に感慨深いです。  素晴らしいです。  
 この物語は、美しいマフィアボスの部下である強面男性ベルナルドさんの一人称で語られております。    少女のお相手であるボスは、少女のご両親を殺してしまった張本人です。  両親の死も良く分からない幼い少女は、その美しき“悪魔”であるボスについていきますが……。  客観的に綴られる“恋愛不器用な二人の観察日記”。  二人の気持ちに周囲は気づいているのに、当の本人達だけが解っていない。  じ れ っ た い !    ベルナルドさんの見かけとは正反対の善良な性格に、安心して読むことが出来るのですが……。  話がとても上手くまとめられており、実力がある方なので文章力も相当高いです。  美しいマフィアのボスと、純真無垢な少女ユリの物語。  結末を覗いてみませんか?
 人間の身体が、異形と化す……。  “変貌症”と呼ばれる病に感染した者達は、当然隔離されます。変貌症の人間達だけで暮らす街があります。その病は、触れただけで感染します。感染したからといって死ぬわけではないのですが、何しろ見た目が“化物”になりますので、“人間”は恐れます。  この物語は、隔離されていた少年のお話です。記憶喪失の彼は、自宅にある木にお水をあげていますが、知り合いが迎えに来たので出掛けることになりました。  タイトル、プロローグ(の、サブタイトル)、そしてエピローグ……これらが綺麗に輪を描きます。読み終えた後に、最初に戻って読み直してしまいます。 『大事なのは、見た目ではなく、心』  そんな、素敵な物語です。
狐と狸の化かし合い
投稿日:2016年6月12日
人を化かす動物、といえば狐と狸。 このお話は、愛らしい狸の女の子と、美しい狐の女性のお話です。 タイトルに【吉原】とありますので、化かし合いの内容もほんの少しだけ、大人め。 二人の(二匹の)会話も面白いのですが、注目するのは恋愛話。 人間の男を化かす狐と、それを真似ようとする狸。 そんな二人の前に、男がそれぞれ現れます。 狸のお相手は想像つくでしょうが、狐のお相手は一体どなたでしょう……? 恋煩いで気落ちする狐のお姿が切ないです。 この作者様、和風ファンタジーでも狸さんを出してますので、そちらもオススメです!
 本日完結したこちらの作品。  精密に作り込まれた東洋ファンタジーです。  縦読みのほうが圧倒的に雰囲気を味わえます。  普段は使わない(目にしない)単語が多々出てきます。辞書を引かねば正確な意味が解らないこともあると思います。  全ては、作者様が創り上げた世界観の為。徹底してカタカナを使わず、美麗な単語が作品を彩ります。  主人公は、気高く美しい姫君。けれども華やかな暮らしをしていたわけではありません。彼女に課せられた使命は重いのです。姫だというのに、汚れながら駆けずり回ります。  これは、彼女の”成長”物語。  成長を促す為に、もしくは糧として心痛な事件が起き、挫けながらも、果敢に立ち向かっていきます。  全ては、螺旋。  囚われ、抗えないソレは、彼女に這い寄ります。  読み終えた時に謎が浮かんだら、それは作品の虜になったのかもしれません。  続編を希望します。
レビュー作品 金色の螺旋
作品情報
 主人公は、神に身も心も捧げている修道院の娘。  彼女は神の為に献身的でした。  そんな彼女の前に現れた”悪魔”という男。  この悪魔は、神を信じて疑わない彼女を罵ったうえで、踏み躙ります。  この男は、別に悪魔ではありません。  けれども、もしかしたら彼女にとっては悪魔だったのかもしれません。    衝撃的なラストが待ち受けています、そんな展開になるとは微塵も思わない美しく哀しい物語を堪能出来ると思います。
 タイトルっぽくないお話です。  想像と全然違う物語が広がっていました、死亡フラグが折れるとか、そんな話ではない(ことはないけれど、なんか違うと思ってます)です。  タグに【恋愛】がありませんが、異世界間でのやりとりには勿論恋愛の話が含まれてきます。  日本に似た異世界で繰り広げられる異種族間での、人間模様が綴られた物語。冒険も恋愛もあり、人との関わりで動く心情が丁寧で、キャラクター達のやり取りが読んでいて爽快です。  本編と同時にこちらには外伝も含まれています、本編終了後引き続き読めるようになっているのですが……。  私が震えたのが最後の外伝です、とある二人の会話に涙が止まりませんでした。  この物語は異世界恋愛話を好む女性向けであると、私はそう思っています。  とにかく最後が涙腺崩壊、お見事でした。 
 挿入イラストがとても素晴らしいです、ですが、どうかイラストだけを先に見ないでください。  タイトルに2ndとありますが、この作品からでも十分楽しんで読むことが出来ます。  主人公の恋人であるアルフォンセの純粋さも、この作品の見所ですが、今作は主人公の相棒である、インテリ冷徹美形眼鏡青年レジーニが主となるお話です。  辛い少年時代を過ごしてきた彼の生き様が中盤から語られますが、深い闇に沈んだ彼の心情が痛いくらいに描かれています。  闇に堕ちた者が光を見つけ、そして……。  冒頭で触れたイラストの件ですが、読む前と後では印象が変わると思います。込められた思いが伝わってくると思うので、波乱に溢れた人間ドラマの結末を、是非。
幸せの青い鳥はいづこ? 
投稿日:2014年6月15日
 タイトルに騙されてはなりません。  二人の可哀想な兄妹が、幸せの青い鳥を探しに行く物語ではありません。  衝撃的展開が待ち受けていました。  というか、始まりからまず衝撃的だったのですが。  ミチルは”ただそこにいるだけ”を強要された娘です、生きたお人形として登場します。部屋の装飾品である彼女は、当然外の世界を知りませんでした。  そんなミチルは、外に出ることになるのですが……。     果たして出て良かったのでしょうか? 何が善くて悪いのか、分からなくなります。  後半部分、タイトルの意味が発覚するシーンは鳥肌です。幸せの青い鳥など、この物語には。  
見れば解る、芸術作品
投稿日:2014年5月7日
『これ見て「よしやろう」とは思わないかもしれないけど、可愛い女の子を借りてきりました』 ……というタイトルです、これだけ見ると何かわからないかもしれません。 ので、一度覗いてみることをお勧め致します。 多くの方がびっくりすると思います、私は何がなんだか未だに解っていません。「細かい」としか説明が出来ないのです。 唸る作品です、展示しておきたいくらいです。 この作品は小説ではありません。 小説家になろう、に掲載されている作品に登場するキャラクター達を、”桜月りま”様が表現されています。(時折、キャラではなく動物もいますが) 何で表現しているか? それは見てのお楽しみですが……とにかく美しい、の一言で溜息が出るものばかりです。
 実在する車名が多々出てくる、車……走り屋さんのお話です。走り屋、というと一時期ブームになったイケメンが出てくる漫画があります。あの漫画は女の子にも人気が出ました。  この作品の主人公は正直イケメン、ではありません。その辺りにいる普通の男性です。しかも少しだれーん、としている感じの。  しかし、これが生き方が哀愁があって渋い。過去の辛い思い出を引きずり、のったりとしている彼は凄腕の走り屋なわけですが、彼の近くにいるちゃきちゃきした娘さんがとにかく可愛いのです。  車は分からない、という方も一度読んでは如何でしょうか。車について詳しい描写はありますが、友情、恋愛、苦悩、てんこもりの青春小説のようでした。  もちろん、車好きな方は是非に。自分の愛車と同じだと余計に嬉しいかもしれません。  短編で番外編がありますので、そちらも。そちらを読むと……幸せそうな主人公がいます。
★挿絵機能をオンにして読むことを推奨致します。作中にも前書きに書いてありますが……読み進めていくうちに意味が分かりますので、是非。  雰囲気小説、と言いましょうか。  手紙で綴られるこの作品、一話一話は大変短いものです。全てまとめて短編として掲載してはどうだろうか……。  いえ、それでは”駄目”なのです。  手紙を書く主人公の気持ちを、どうか最後まで目を離さずにいてください。挿入されている画像にも注目してください。  奇跡、と呼ぶにはあまりにも切ない気がいたしましたが……。彼女は、大いに喜ぶのでしょう。
 大人童話な雰囲気が漂う作品です。  一つの事件が起きると、今はテレビやネットですぐに状況が流れていきます。その情報を得て思うことは人それぞれですが……。  その情報は、正しいものでしょうか?  今の現代と似ている気がいたしました。  他に何か方法はなかったのか、この結末しかなかったのか。防ぐ手段はないのでしょうか。    ……あまりにも、切ない物語です。  
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