レビューした作品一覧全24件
一番の特徴を上げるならタイトルの一言に尽きると思います。 フランシスコ・ザビエルの子孫と宣うスペイン人見習いシスターのフランチェスカが繰り広げる、ドタバタ、のんびりな日常。 シスターでありながらもゲーム好きでぐうたら、母親に怒られてばかりのヒロインと主人公の繰り広げるほのぼの話ですが、それだけでなくじわりと染みるいいお話もあります。 基本的に数話の構成のショートのお話で構成されてるので気に入った時に少しづつ読み進められます。
流行りの悪役令嬢もののような話の進み方をするのかと思いきや少し違いました。 軽快なコメディでもなく、甘々ラブコメでもなく、しかしゆっくりと丁寧に話は進んでいく。 滅びの運命から逃れるために魔王と契約をし、しかしだからといってそれですべてが解決するわけでもなければ、二人の関係性や感情の絡みつきも固定された者でなくゆっくりと成長していく。 その中で主人公のカリナが何を目的としてこの世界を生きていくのか、という話に流れていくのだろうと思っていましたが、魔王含めて色々と出自の怪しい登場人物が出てきて話がどう転ぶのか。 お話の構成自体は演劇の脚本のように割と淡々と進んでいく珍しい方式です。
不思議な語り口のヒーローもの
投稿日:2025年7月19日
新型うつで生活保護も受けている主人公がヒーローになろうと動き出すところから物語は始まる。 しかし別に「再起をかけて」というわけではない。ヒーローになって何かしたい目的があるわけでもならなければならない理由があるわけでもない。 序盤は鬱屈した精神状態から抜け出すようにヒーローに焦がれ、まるで純文学のような展開の仕方をし、しかし中盤からは大きくその色が変わっていく。 とにかく不思議な作風のヒーローもので合う、合わないは読んでみないと分からないかもしれません。とりあえず読んでみてもらいたい作品です。
やさしい、幸せな世界
投稿日:2025年7月16日
ストーリーの流れとしては現代日本で虐げられ、不幸な生い立ちと生活をしていたヒロインが魔法界へと行って幸せな結婚をし、ゆったりとした生活を送る、というもの。 タイトル通りシリウスという名の魔法使いの花嫁となって、近世イギリスのような、しかし不便のない、魔法が日常的に使われる世界へ行くこととなる。 元の家族が押しかけてきたりといろいろイベントは起こるものの、あまり深刻な、大きな問題は起こらずスローライフ系?のお話です。 そういうゆったりしたお話を読みたい人におすすめします。 料理や町並み、人々の生活の描写がとても丁寧にされていて読みやすいです。
医療ファンタジーミステリー
投稿日:2025年3月16日
 現代社会の知識チートをファンタジー異世界に持ち込んでの無双というのは決して少なくなく、それこそメディアミックス化されているものもあるんですが、医院が丸ごと異世界に転移してしまうというのはなかなかに珍しいと思います。  その上で限られた短い診療時間の中で正しい診断をして問題を解決しなければならない。本多医院が患者に接することが出来る時間は限られている。  しかもその場で薬を渡したり処置をして一時的に症状が改善しても根本的な解決にはならないことが多い、という制約もある。その中で見事に解決方法を見つけていく面白さがある。  話の本筋自体もミステリー的な要素があるけれども、「医療」というジャンルが限られた情報の中から真因を見つけ出すミステリー的な要素もあるのだなあ、と感心しました。
飾らない狂気に富んだ設定
投稿日:2024年12月26日
どこにでもある悪役令嬢もの……出ないことはもはやタイトルから見ても明らかではありますが。 しかしいくら何でも狂気じみた設定。荒唐無稽でありながらも話に矛盾はない。だからこそ余計に狂気を感じさせるつくりになっているように感じられます。 途中で挟まれる人間や社会、政治に関する話については極めて理性的で、論理的に妥当であると思わせるだけのものがある。 登場人物たちもそれぞれの持つ信念や理論に基づいて行動をしており、理性的である。 しかしなぜか同時に刹那的であり無軌道な行動をとってしまう。 狂気を感じさせながらも同時に先が気になるという不思議な感覚を与えてくれる作品です。
意外にリアルでハード?
投稿日:2024年12月18日
魔法少女ものも世間への浸透度が高くなってかなり経ちますが、ダーク方面や出落ちみたいな人物が魔法少女になる作品も多い中、この作品の魔法少女は割とまともです。タイトル通り若干ダメ人間ですが。 あくまで主人公はサポート側の方ですので。 本作の特徴としてはとにかく設定とストーリーが丁寧でしっかりしてるところだと思います。現実に魔法少女がいたとして、どんな社会現象が起きるか、を現実的な視点で書き出してます。 そして何よりも、キャラクターが魅力的。魔法少女達も、その周りの人間も。 文章が簡潔丁寧で非常に読みやすいので、気になったならまず読み始めてみることをお勧めします。
ちょっと変わった初恋のお話
投稿日:2023年5月12日
 都市伝説から生まれた『怪異』、有名なところでは口裂け女や後ろのメリーさん、などなど。  そんな化け物ともいえる人に害を及ぼす怪異と、これまた一風変わった人達や、時には怪異以上に頭のおかしい人間との間に生まれる「はつ恋」のオムニバスストーリー。  1章が10話弱で構成されていて、文章も非常に丁寧で頭の中に描きやすく、読みやすいです。  人におそれられ、時には殺す事だけを生きる目的にし、存在価値としていた怪異達が初めての恋に落ち、それに苦悩し、どういった答えを出すのかが丁寧に語られてます。  私は第四夜の人面犬のお話がおすすめです。  いろいろな愛のカタチ、きっと気に入る話が見つかると思います。
レビュー作品 怪異とはつ恋
作品情報
おっぱ異世界 その単語を聞いて皆さんは何を想像するだろうか。 まあそんなことはどうでもいい。 唐突に異世界に引き込まれた鷹司家(文字通り)。 否応なく戦いに巻き込まれ理不尽な理由でどんどん人が死んでいく。 おっぱいは素晴らしい。それは真理だ。平和も素晴らしい。それも真理だ。 では平和を実現するために何をすればいいのか? その問いかけに答えるはスーパー理不尽。異世界は理不尽かもしれないが現実はもっと理不尽なのだ。 この問いかけに主人公のタカシは最後にどういう答えを出すのか。最終回が待ち遠しい作品です。
レビュー作品 おっぱ異世界
作品情報
 医療技術の進歩による不老長寿化(メトセラゼーション)による社会構造の変容。SFにおいてはよく語られ議論される内容ではありますが、もしファンタジー世界ですべての「大人」が不老不死になったなら……というところから物語が始まります。  500年の不老不死の世界により食文化の衰退と子供の人権の消滅。  前世で保育士だった主人公マリカは子供達を助けるため、世界を相手に戦う決意をする。  序盤は魔王城の中での保育パートが続くので少し物語に動きがありませんが、マリカが外の世界に打って出るようになってからが本番です。  しかし不老不死から解放されればいずれは訪れる大量死。そして不老不死を与えた「神」の意図とは? マリカはそれらといったいどうやって決着をつけるのか?
 ノルウェー北部にて、魔女狩りを中心に繰り広げられる歴史ロマン。  悪役ではあるもののどことなく間抜けで憎めないヘルゲ男爵とドロテア夫人を中心に最初のストーリーは進んでいくが、やがて200年前のマウリッツ城周辺の人間、歴史ドラマが展開されていきます。  複雑で遠大な物語ですが、登場人物のコミカルさと、リズミカルで読みやすい文章ですいすい読めます。  この部分が児童文学の様で、ストレスフリーに文章が入ってきます。  ただ、中盤に入って過去の話とリンクしてくると、現在の登場人物と過去の祖先が同じ名前だったりするので、それが分かりやすいような分かりにくい様な。
 「惚れ薬」を中心に展開するコメディー色強めの……でもラブコメというよりはラブロマンス……?  とにかく主人公二人とも肝心なところでとんちきな判断力ばっかりで、物語としてはたったの三日間の話なのですが、二人の過去に何があったのか、何を思って二人はあんな行動をとったのか、この場面はもう一方の視点だとどういう意味があったのか、と視点が目まぐるしく変わります。  その中での二人の行動が……まあとにかくぽんこつで面白い。  もつれにもつれた二人の恋愛が、なぜこんなことになってしまったのか、全く退屈することなく楽しく読めます。  二人……いや、ユーリも含めて三人の間に何があったのかはぜひ本編を読んで楽しんでください。
「ああ、時間の無駄だったぁ」  最近、そんなセリフを気持ちよく言えていますでしょうか。  これはとても大切な事です。苦々しい表情で言うのではだめです。爽やかにそう言えなければなりません。  ぶっちゃけて言えば、小説なんて全部時間の無駄です。なくても地球は周り、日は東から昇り、大地に雨は降り、やがてそれらは全てを飲み込んで母なる海へ帰ってゆくだろう。  で、あるならば、その「無駄な時間」を如何に気持ちよく過ごすかが重要なのです。それをこの小説は教えてくれている気がします。  人は農業と、貯蓄の技術により無駄な時間を楽しめる余暇を手に入れました。  さあみなさん、サル同士の喧嘩でも見ながら無駄な時間を過ごしましょう。
主人公がとにかくヘン!
投稿日:2022年2月22日
冷静に読んでみると実は話の構成としてはなろう的なファンタジー構文に沿った定型的なお話。 ではあるが、とにかく主人公が変。 ファンタジー世界に突如として放り出されたオーバーテクノロジーなロボット、ミシマ。 まともに喋ることもできず、自分の体の機能もよく分からず、一度変形が始まってしまうと自分でも制御できず、自分に何ができるのかもよく分からない。 しかしイマジネーションは無限大、大抵の事は何とかなる!仲間も助けてくれる! 能天気な性格のミシマと、彼を慕ってついてきて来る仲間が織りなす心暖まる英雄譚です。 そしてミシマが引き起こす妙ちくりんなリアクションがとにかく面白い。ギャグに引っ張られてぐいぐい読める上手なつくりになっています。
どん詰まり転生先からの逆転
投稿日:2021年10月18日
まさかまさかの転生先。悪徳業者に騙されて(?)どん詰まりの異世界人生に転生してしまった主人公。 だが、ちょっとしたことをきっかけに普段は行わないような善意を施したことから彼の人生(?)は大きく変わり始める。 とはいうものの、老齢なのが変わるわけでもなく、アンデッド&ネクロマンサーの道に進むことに。 というのが大まかな道筋で、実際最初のアンデッドを作る辺りまではかなりダークな雰囲気を纏ってますが、その先はカダベルの気楽な性格と個性の強い登場人物の影響で、割とライトなノリで進みます。 死体は一杯出てきますが。 ファンタジー小説定番のお約束設定にあまりこだわらない自由な作風は読んでて面白いです。 完結してもまだ多く謎が残っているようなので続編が待たれます。
レビュー作品 屍従王
作品情報
姫は姫でもトロールの姫。 まあタイトルから分かる内容ではありますが、ヒロインは美人ではあるものの、筋骨隆々で大柄なトロールの姫、そしてヒーローはショタ。 そう、おねしょたです。それも長身マッチョ女性とガチショタ男の子との。 業が深い。 あくまでメインはヒロインのトロールの姫、リザと勇者アレクのラブコメ。しかし周りを彩るキャラクターが個性的できっと気に入るキャラ、カップルが出て来るでしょう。 そして主人公たちに対する魔王軍もまた個性的なキャラクターが勢ぞろい。というか主にコルト一族。 もちろん最後はハッピーエンド。安心して読める作品です。
清々しく クズ 正しく クズ
投稿日:2021年10月3日
レベル2固定のモンスターがシステムに物申すために魔王を倒す! とはいうものの、その手段がどうしようもなくクズ。 そもそもがモンスターごときにモラルを期待する方がまず間違っているのかもしれないけれど、清々しいくらいにクズです。特に主人公のゴブ子が酷い。 通常こういう作品では話を重ねるごとに主人公サイドのクズっぷりはだんだん角が取れてマイルドになってくるものですが、凄いです。全く減速しません。 そして全くゴールは見えてこない。 魔王のまの字も出てこないし、借金は増えるばかりでどこまでいってもドンフーのおもちゃ。 ゴブリンガールの努力が報われる日は来るのか!? いやこないか。いつも楽して稼ぐことばっかり考えてるし。
トンデモ設定の不条理ファンタジー物、と思うでしょう。このタイトルにこのあらすじでは。 私も最初はそう思って読み始めましたし、実際半分くらいはその通りなのですが、しかし内容は不条理とは正反対。 タンパク質量で敵の強さを測り、綿密に寝られたトレーニング計画でレベルアップを重ねていく。 そして積み重ねることの大切さを説く。 なろうファンタジーのようでもあり、人生の指南書のようでもある、そんな不思議な作品です。 そしてもちろんギャグも面白い!
思わず読み返してしまう
投稿日:2021年7月21日
構成としては物語のラストを最初に持ってくる形式で、正直言って、そう珍しくもないスタイル。 しかしラストまで読むと必ず1話目を読み返してしまうようなミスリードというか、どんでん返しが仕組まれてます。 2話目からこのラストにいったいどう繋がるのか、1話目の重苦しい雰囲気とあまりにもマッチしないジュストの軽い性格で軽快に読める文体から段々と不穏な雰囲気に進んでいき、そして最終的な物語の『転』、『結』にたどり着く流れが綺麗にまとまっていて、中盤まで行くと読む手が止まらなくなります。
異世界パンツ職人
投稿日:2021年7月10日
タイトルは冗談ですが。 本当にままならない異世界生活。 (2章目は割とままになってますが) 序盤、割と魔法で何でもできるのでこのまま順調異世界ライフになるかと思ったら、急にずん、と重い展開が来たりして油断できないです。 特に2章目のラストからの怒涛の展開に入ると続きが気になって読むのが止まらなくなること請け合いです。やはり物語はドラマチックであるべきだと実感します。 そしてラスト、感動の……そこはご自分で確認いただきたいです。
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