あこがれの松原さんに告白してみごと振られた高校生の「僕」は、その直後に事故に遭って死んでしまった。だが、あの世へ向かう彼の前に謎の男が現れ、生き返るチャンスを上げようと言う。その条件とは、死ぬ一時間前に戻って告白を成功させること。はたして彼は、たった一時間で告白成功を勝ち取ることができるか?
……という、じつにありふれた筋書きの作品です。
しかし、主人公がいろいろ画策して告白成功への道筋をつけようとしても、まわりの人々が次から次へと予想外の行動を繰り出してきます。そしてそれがいちいち理屈に合っているところがニクい。終盤のホームルームの場面など疾風怒涛の勢いで混乱が加速し、読者はめくるめく興奮の渦に巻き込まれます。ぜひあなたも巻き込まれてみてください。