レビューした作品一覧全9件
硬派でクールなストーリー!
投稿日:2021年11月12日
 今どきでは珍しい、硬派な小説です。  戦時中という陰鬱で暗い世界観と雰囲気がありますが、そこへ独特な言い回しや個性的な「戦獣」たちが加わり、さながら夢と現実を行き来するような感覚があります! 読んでいるうちに、練られた設定と高い技術に裏打ちされた文章が心に響いてくるでしょう!  戦犯になりながらも処刑を免れた主人公が戦獣たちと出会い、はたしてどのような運命を進むのか……  ぜひ、ご一読を!
 伏線が張り巡らされたシリアスな物語……と聞けば、難しくて硬派なものを想像してしまうかもしれません。ですが、この作品はそんなことはありません! 物語の各所に伏線が張られていますが、魅力的なキャラクターとシリアスな展開をことごとくクラッシュしていく展開が面白さと同時に安堵を感じさせて、読んでいるうちに勝手に次へ次へと物語が進んでいきます。  また、文章も読みやすくて描写も細かく書き込まれているので、読んでいるだけで世界に引き込まれます……!  是非ともご一読を!
地獄という名の裏の世界
投稿日:2020年7月23日
 地獄って聞いて何を思い浮かべますか?  そこら中に炎が燃え盛り、鬼や獄卒たちが暴れ狂って暴虐と破壊の限りを尽くす地獄か、それとも悪魔や悪人たちが封じられている極寒と氷結の地獄。大体はこの二つに分けられると思いますが、両者に共通するのは堪え難い苦痛でしょう…。  しかし、この作品の地獄とは、地獄という名のもう一つの世界です! あることがきっかけで地獄に迷い込んだ主人公たちは、そこを舞台として旅することになります。そこにはレストランがあったり、美味しい食べ物があったりと、前述の阿鼻叫喚の地獄絵図とはまるで違い、現世とは似ても似つかないようなコミカルで独特な世界が広がっています!  また、一話一話も読みやすいので隙間時間に楽々読み進められるのも特徴です! さあ、皆さんもこの地獄に足を踏み入れてはみませんか?
 ダークファンタジーというジャンルの作品はほかにもたくさんあると思いますが、中でもこれほどまでに不思議な魅力を持った作品は少ないのではないでしょうか。  序盤には数多くの伏線と主人公の懺悔があります。それは一つ一つがキーポイントとなっていて、読み進めていくうちに、彼女の懺悔の意味が分かることでしょう。運命に翻弄されていくうちに彼女が犯してしまった罪は、本来は絶対に許されるべきではないのかもしれません。  それだけでなく、この作品にはどこか妙な「魅力」を持っています。それは先の読めない展開なのか? 個々のキャラクターたちの持つ個性なのか? いや、おそらくはこの作品あるそれら全ての要素が複雑に絡み合って、一度読みだしたら止まらない稀有な魅力に昇華させられているのでしょう……!  さあ、これを読んでいるあなたも是非、主人公の罪の記憶を頭に焼き付けてください。
この作品の特徴は、自由です! え?ダンジョンマスターなんだからそら当然だろって? いーや、ただのダンジョンマスターではないんですよ! 天候や環境を操作したりすることができるのはあまり珍しくはないでしょうが、この作品には自由であるが故の面白さがあります。 最初からなんでもできるわけではなく、主人公は協力者の助言を受けながらも知恵を絞って生き延びていくサバイバルから始まります。ダンジョンの中を開拓していくうちに、自分の仲間を増やし、美味しいものを食べ、自由に開拓を進めていきます! また、戦闘描写においても、ダンジョンマスターという立ち位置を活用して、落とし穴やボウガンを用いたトラップ、そこに仲間の戦い方やスキルを組み合わせることにより、変幻自在で巧妙な戦いを楽しむことができます! そして、一話一話も短くてサクサク読める作品なので、ちょっとした空き時間に読むことができる作品です!
愛の溢れる作品!
投稿日:2020年4月21日
この作品は、転移後と転移前の二つの視点があります。 片方は青春を、もう片方には冒険をという異色の組み合わせですが、これがかなりマッチしていて面白い! 書いているこの私に音楽の知識はありませんが、それでも読んでいくにつれてどんどん音楽の世界に引き込まれていきます…! そして、この作品は作者さんの愛が溢れています! 独特な語りや個性的な登場人物。なにより、この作品自体が作者さんが愛しているモノを反映しているような、オリジナリティ溢れる素晴らしい作品です! 一話一話も読みやすいので、空き時間にでもどんどん読み進められます! これを読んでいるあなたも是非、この世界に足を踏み入れて見てください!
本作に宗教が絡んでいるということもあって、手に取るのを悩んでいる方もいるかもしれません。 ですが、それでも私は声を大にして言いたいです。 「絶対に読んだほうがいいです! 面白いから!」 作中において中心的な人物であるヒロインは進んで様々なことに挑戦し、人々を惹きつけ、明るくしていく大きな光のような人物です。 彼女は決して信心深い人物ではありませんが、自分なりの理想や信念をしっかりと持ち合わせており、ゲーマーであり、破天荒で楽しい美少女なのです! また、スペインという日本人にはあまり馴染みのない文化や言語についても知ることができるため、斬新かつ新鮮です! そして、物語には彼女が居ることで安定感があり、一話一話もそこまで長くはないので、気軽に手に取って読むことができます! そこのあなた。もし、現実で嫌なことがあったら、この作品と彼女の明るい生き方に癒されてみませんか?
この作品は、進化したVR…いや、VRゲームの一つの到達点のようなものを伝えてくれる作品です。 現実とはなんら変わらない世界で、クリアを掛けて争うというのはさして珍しいものではないのかもしれません。 しかし、この作品はリアリティが溢れています。少量のダメージを受けただけなのに、激痛は持続したり、ダメージを受ければ受けるほどプレイヤーの操作するアバターの動きは鈍くなる…といった、リアルとゲームの融合がなされており、戦闘描写は他の作品でも類を見ない新鮮さを与えてくれます。 そして、主人公が計算高い人物であることも相まって、二転三転する戦いや状況の中で、的確に切り抜ける糸口を見つけ出すのは、創作の特権でありながら、どこか現実味を感じるものになっています。 このゲームのように、精巧で素晴らしいVRゲームが将来出てくる…そんな予感をさせてくれる、面白い作品です!
学園異能力ものというのは私は初めて見ましたが、タイトル通り、最後までまんまと引っかかりました! 最初は主人公が校内のいざこざに巻き込まれて、それを仲間と共に切り抜けるのか…? という浅はかな考えでしたが、それ全部を綺麗に裏切って決着をつけるのは驚きを通り越して、心が震えました! また、世界観もよくできています。異能力がごく当たり前…という訳ではなく、かといって迫害されている訳でもない。そして、様々な制約が存在するという点は世界に合わせて上手く調整されています…! また、途中で主人公の状況が変わったりするのもなんの気無しの只の話ではなく、最後の最後でその真意が分かるというのは胸熱です! まさに、創作というファンタジーとリアリティを求められる世界において、それらをうまく調和させている強力な作品です!