レビューした作品一覧全4件
ネトゲ廃人、かつコミュ障である高校生、柴田獅子虎が、突如として電脳の世界から生まれ落ちた女神、エレクトラと半ば強制的に契約させられ、彼女の神格を上げるために奔走する話。要約するとそうなるが、この物語にはそれにとどまらないドラマが詰まっている。 それがはっきり言って面白い。 はじめのほうこそひょうきんなエレクトラとドタバタコメディを繰り広げるかと思いきや、話が進むにつれ獅子虎を取り巻く複雑な環境が見えてくる。家庭環境、スクールカースト、女神と関わったことで視えるようになってしまった神のなり損ない、魔鬼フラク。 そしてふとしたキッカケで知り合った後輩の少女、和を助けるために、目を背けていた現実に敢然と立ち向かっていくことになる。 電脳と現実の神道などの要素が巧く取り込まれ、作者の発想に脱帽する一方、読み進める度に獅子虎君の奮闘にも胸が熱くなるのを感じる。 是非読んでみてほしい。
日記の一節と共に物語は始まる。高層ビル群の中で何かが起ころうとしている。何気ない日常の中で、ひとりの少女の運命が変わろうとしている。 情景がイメージしやすいシンプルな文体は読者を惹きこみ、そこに込められた言葉が頭の中に映し出された世界を広げていく。テンポが良く独自性があり、少し文章を追うだけで早く次が読みたいと思わせる不思議な魅力に溢れている。 一人称と三人称の混同、文章の構成などに違和感はあるものの、作者の方はこれがなろうデビュー作とのことなので、改善と成長が十二分に期待できる。 近未来が舞台の物語でどのように魔法が絡んでくるのか? 主人公のコトカは戦いの中で何を得ていくのか? これからが楽しみな作品です。
転生者とボクっ娘と黒猫、さん?
投稿日:2017年10月28日
ある日、突如として異世界に召喚された男がいた。命の危機から脱するべく、謎の声に導かれるまま契約した彼は、最強の魔法使いとして生まれ変わった。 二年後、そのことを思い出しながら傍らの契約主、黒猫のベルさんと語り合う男、ジンは大きな戦争に加担したがために敵味方から追われる身となってしまった。逃亡生活の中、冒険者として様々な依頼を受けていく日々。なりゆきでとある王国の王子の影武者(実はボクっ娘)を助けたことから、物語は動き出していく。 いわゆるチート転生ものだが、主人公は各地で様々なフラグを乱立しているらしく、良くも悪くも何が起こるか分からない。キャラ同士の掛け合いも面白く、読むたびに続きが気になるようなワクワクが詰まっていた。これから彼らの行く先々に何が待ち受けているのか? 楽しみで仕方がない。 連載したばかりなので、試しに読んでみてはいかがだろうか?
影を纏いし王道ファンタジー
投稿日:2017年8月6日
一見すると、よくありがちな王道ファンタジーのように思える。 だがそれはすぐに裏切られることとなる。 クラスメイトたちとワケも分からないまま転移させされ、武器を持たされて一方的に虐殺される。そんなヘビーな展開が読者を待っていた。 そして一年後、変幻自在のシェイプシフターとして生まれ変わった彼、羽土慧太は傭兵として新たな生をまっとうしていた。そこでひとりの戦乙女を救ったことで、新たな物語が紡がれていく。 いわゆる正義のヒーローやチート能力を持つ主人公ではなく、暗い過去を持つ主人公というのは、個人的にすごく興味がそそられる。 バトルも単なる力押しではなく、自身の能力を把握したうえで、創意工夫をこらして戦っているのに好感が持てた。 王道から外れた、変化球を求める読者に、是非ともオススメしたい作品です。