レビューした作品一覧全8件
本作は「2人だけの閉じた世界」がテーマです。 モチーフはいわゆる人魚姫。 陸の王子に焦がれた彼女は色々と画策します。 最終的にはテーマ通り、二人っきりになるわけですが……。 結末は、読者である我々が彼らの「幸せの尺度」を勝手に決めるのは おこがましい話になっております。 なぜなら何が幸せかを決められるのは、その本人のみ。 物質的に豊かでも不幸な人はいますし、逆に清貧でも幸せという人もいます。 この場合は……人魚さんの心理状態は言わずもがな。 そこは本編をご覧になってご確認ください。 あとは──偏愛か純愛かどうかを決定づけるのは、当事者の王子の胸三寸だけ。 ただし。 そこの描写だけは、あえて読み手の想像の余地を残しています。 さあどうぞ、読んでみて下さい。 あなたにとって、これは偏愛がもたらした狂気の悲劇しょうか? それとも……2人の閉じた世界における、究極の純愛でしょうか?
このエッセイ自体は本来、投稿作品における感想の話題です。 ですが……これは掘り下げていくと、実際の人間づきあいにも当てはまります。 作者である来留美さんは、文中において 「いかに作者様を傷つけないか。自分の想いを的確に伝えられるか」 そんな思いやりに心を砕いていらっしゃいます。 それは時に、かなりの想像力が必要。 顔を合わせる間柄でも 基本的には言葉にしないと明確な想いは伝わりません。 こちらとは別作品である 「感謝の言葉を必要としない関係」 では逆に言葉の要らない関係を取り扱っています。 それはよほど特殊な関係性。 以心伝心の双子か、それに準じるほどの熟年夫婦レベルのお話です。 普通は家族であれ親友であれ、そうは通じません。 いかに近しいといえど、個性を持った別の人間なのですから。 それをご承知の上での、このテーマ。 是非とも、そんな優しさのにじみ出る本文をご覧ください。
確かに行為自体は軽率です。 ですが本人のその動機は、あくまでも善意から。 結果だけ見れば明らかに浅はかで「もっとよく考えて行動しろ」と言われるでしょう。 人命が関わる以上、言い訳は許されません。 しかし、その善意はただただ責められるだけのものでしょうか? 我々に足りないのは配慮、というよりは智慧です。 とはいえ常人に「絶対的な正解」を求めるのも中々に難しい。 作者様の別作品で、野生動物に施しを与えようとして間違いに気づくお話もあります。 個人的には…間違った原因が愛情なら、その想い自体はとても素敵な事だと思います。 少年時代の主人公には、過酷なテーマですが。 悪を成そうと確信して働いた行動なら責められて当然です。 しかし、本当の意味で「善意が理由の間違いを責めるほど出来た人間」は、果たしてどれほど存在するのやら(どちらも人間ですので、理屈だけで済まないことは承知しております)
コメディなのに無粋? でもダメです。真面目にレビューをお届けします。 お馴染み、婚約破棄です。 ご存知、王道から邪道まで。異世界恋愛のジャンルは今や人外魔境と化してますが、アイデア自体はかなり掘り尽くされた鉱山です。 さて一度、悪役令嬢の【悪役】という言葉の原点に立ち返ってみましょう。 パターンは多々あれど、本人は大体、無罪の被害者。でも……この人を貶めた結果、その因果は王族や各貴族だけでなく、時に国民にまで牙を剥くのです。 そういう意味ではまさしく滅亡の根源、無辜の民を滅ぼす亡国の【悪役】ではないでしょうか。 ※もちろん滅ぼさないお話も沢山あります。 でももし、このように理不尽を許せたら? 悪役は誕生しません。貴族社会に多少の変化は起こりますが、国体が滅びることもありません。 受け入れがたいですが、国さえ滅びなければ世間は回ってしまう。 世はなべてこともなし──。
詩のように進んで行く文面。 踊るように流麗な文言。 水面に、たゆたうハープの旋律。 それらは読み手を幻想へ誘う。 精霊達の囁きはリフレイン繰り返し。 純粋ゆえに無垢な疑問。尽きぬ興味。 明らかに人とは違うその在り方。 罪深さを見出したのは人いう勝手な生き物。 先人はソレをタブーという形で蓋をした。 精霊達に悪意はなく、ただ決まり事を口にするのみ。 通常、タブーを破るお話に碌な結末は訪れない。 一見すると悲しい結末。 だが、この結末は本当に悲しいだけなのだろうか。 意味は無かったのか。 誓いを破った×××は幸せではなかったのだろうか。 人間側が後悔しようとも、良き思い出と勝手に割り切ろうとも。 そんなものは無関係。この幻想は続いてゆく。 この結末の真意を決めるのは、あなた自身。 しかして、そんなあなたすらも置き去りに。 精霊達はただ美しく在り続ける。
レビュー作品 風精恋歌
作品情報
タイトルを見て何を言ってるのかと思ったアナタ、一度ご覧になってみてください。 とある怪文書(?)が届くところから物語は始まります。 誤字から企画だけに、何とも物騒な誤字だらけの手紙です。 この作品、恐らくですけど、あえて情報量が絞られています。 前情報なしで一旦、解いてみましょう。 内容は『あるある』と言いたいくらい、微笑ましい書き間違いの文章。 溶け魔死たか?もとい、とけましたか? 苦笑……しているかはともかく、淡々と文意を解いていく主人公。 そして迎える真相は……。 文面に違わず、あいにきてくれる上に、 その後のことすら示唆してくれる親切さ! しかも、蕎麦煮いてくれるオプション付き。 おっと。先ほどから、つられて誤字が。 この文書はある意味、ラブレターなのかもしれません。 タイトルにこう書いて置いてアレですが、 個人的にはラブストーリー説を支持します(発狂)
レビュー作品 手紙
作品情報
桜はたくさんの人を魅了する。なぜなら……
投稿日:2021年4月18日 改稿日:2021年4月18日
現代、桜の代名詞になっている「ソメイヨシノ」 緑の葉っぱは不純物と見なされるのか、好むお方は割と少数。 実はこの品種、江戸時代に生まれました。盛んに植樹されたのは昭和です。 さて、タイトルです。この作品にもある桜の美しさ。 魅了される要因は人それぞれです。皆さんはどこに惹かれますか? よく聞くのは、「一斉に散るから花吹雪が美しい」「単純に色彩が綺麗」「儚さに風情を感じる」etc. とある作家さんは、その不条理な美しさに対してこう言いました。 「桜の木の下には屍体が埋まっている!」 大まかに言うと、その美しさは人の血を啜っているからこそ綺麗に咲いている、とでも思ってください。 現代という「花」は、地面に埋まっている先祖や先人という屍体を養分にして咲き誇っています。 ですが、我々も後の「現代」のために、いつかは養分になる日がくる。 是非ご一読下さい。そんな世の無常を映し出しています。
「剣と魔法の世界」 よくあるフレーズです。 魔法の方は色々な作品で掘り下げられていますね。 しかし「剣」の方は……? 例えば「剣」という言葉だけでも、ロングソード、レイピア、日本刀……様々です。 (神話の武器は別として) あまり馴染みがないせいか、 物語に引用される武器の種類は限られている気がします。 このコンテンツはそんな「武器」に対してスポットライトを当てたもの。 作者のピーターさんが私見を交え、 古今東西の色々な武器の説明をしてくれます。 「自作小説でロマン武器を扱ってみたい」 「こういうコンセプトの武器は存在するのだろうか?」 そういう思いをお持ちの方、いちど顔を出してみませんか? お人柄、ピーターさんご自身はリクエストや質問にも 気さくにお答えしてくださいます。 武器の辞書として、ブックマークしておくのもアリですよ。 ※実際に武器を悪用するのは厳禁です。