レビューした作品一覧全27件
面白さ、折り紙つき。
投稿日:2024年10月16日 改稿日:2024年10月16日
更新表示を見るたびに何を置いても読んでしまう。そんな小説ありませんか。 『私の姉は、きれいなクズ』がまさにそうです。 読むたびに驚き、呆れ、恐怖すら感じる。 徹底的に自己中な女、それが主人公の絢華です。 二転三転する状況にハラハラするうち、絢華の「誰も愛さず誰にも愛されない」生き方が哀しくすら思えてきます。 ノンストップエンターティメント是非お楽しみください。 水上栞さんは他作品も素晴らしいのでオススメ。特に『公妾/maîtresse royales』は涙なくして読み終えられません。 さあ、私と一緒に水上さんのファンになりましょう。
 構成が良い。とにかく良い。青春時代というのは未熟なもので、誰もが愚かな経験の一つや二つはしていると思う。なんでこんな人好きになっちゃったかな、とか。友達と些細なことで仲違いしちゃったな、とか。ヒロインの智佳も大切な親友のみなみと行き違ってしまう。  未来屋環さんの素晴らしいところは、日常を臨場感を持って書けることだ。基礎のしっかりした家を見る気がする。だが見たことのない独創的な家だ。あれよ、あれよと我々は摩訶不思議な世界に放り込まれる。  それでいて間違いなく青春の1ページであり、その続きである。いや反復だ。今と過去を行ったり来たりしながら、花のように形を変える。苦い過去が美しく咲くのを是非見届けて欲しい。今私が最も新作を楽しみにしている作家さんです。『未来屋マジック』!  気持ちよく魔法にかかりました。
 珠玉の名作と言っていい。いわゆる『なろうエンターテイメント』とは真逆の方向性にあるが、読者の心にいつまでも残る、そういう作品だ。『アンドロイド』雨子さんの、静かで控え目な愛情が、乾いた心に慈雨のように降り注ぐ。  アンドロイドは永遠のように思うけれど、経年劣化には逆らえない。全ての記憶を無くせば、生きながらえることもできるが『愛』を忘れた人生にとって『生きながらえる価値』とはなんだろうか。主人公の雨子さんに対する思慕は本物の母親に対するものと変わらない。  終わっていく家族の話ながら、不変の愛についての話でもある。是非みなさんにも読んでいただきたいです。
レビュー作品 母を看取る
作品情報
比喩でもなんでもない。直球でぬりかべ!!!
投稿日:2023年2月5日 改稿日:2023年2月5日
『ぬりかべ令嬢』ならば、体の分厚い四角めの姿形と思うじゃないですか? そうなんだけど。マジでぬりかべ。比喩でも何でもない。 『THE•ぬりかべ』 そんなぬりかべ令嬢は『ぬりかべだ』という理由で婚約破棄されてしまいます! むしろ何で婚約した。関係者全員いろいろ考慮しろ。 悲しみにくれる彼女がフラフラさまよっているとそこに美麗な男が現れて……。 あとは読んでください。設定からしてありえないんだけど、展開もありえないし、結末もありえない。 すごい面白いんで読んでください。個人的萌えポイントは令嬢のリボンです。ぬりかべだけどキュートだと思いました。可愛ゆし。
恋愛第一線の女の子に読んで欲しい。
投稿日:2023年2月3日 改稿日:2023年2月3日
 なんと可愛らしいカップルでしょう。キュンキュンきました。 「僕からの愛は、期待しないでください」なんて新婚初夜に言われてしまったヒロイン。ショックが大きいです。  旦那さまとは『何事もなく』過ごす日々。しかもどうやら飼っている猫のせいらしい。本当は人間で旦那さまの恋人だけど、魔法で姿を見て変えられてしまったそうなのです。  そんな憎っくき恋のライバル(!?)を助けにいくヒロインですが……。  みこと。さんの書くヒーローやヒロインはみな可愛くて真っ直ぐで善き者です。  今回も真相がわかってニッコリ。  たった1000字で恋ができること間違いなし。  可愛い作品です。是非ご覧になってください。
『発想の転換』という言葉がこんなにピッタリ当てはまる小説もないでしょう。  触れるもの全てを腐らせてしまうので、主人公は屋根裏部屋に閉じ込められています。人並みの幸せを全て諦めて昏い部屋の中にいる。  でも考えてみてください。ミミズは枯葉を食べて栄養のある土に変えていきます。『物が腐らない世界』は『新しい物を何も産めない世界』とも言えるのです。  そしてある日少女の世界が変わります。昏い屋根裏から光あふれる世界へ。区切られた狭い部屋からどこまでも続く平野へ。愛のない人生からかけがえのない愛へ。  まるで舞台が場面転換するかのように一瞬でガラッと変わる。  作者さんの手並の鮮やかさに唸りました。そして思いました。「この展開は盲点だった」と。  素晴らしい読後感です。たった1000字でこんな豊かな物語が読めたこと。嬉しくて仕方ありません。
なんとかして武田信玄を飼えないだろうか。
投稿日:2023年2月2日 改稿日:2023年2月2日
 屋根裏に武田信玄が居る。  え? なんでかって? 居るって言ったら居るんだよ!!  座敷童的なナニからしいです。読みながら私の中で好感度が爆上がりしてったんですよ。  武田信玄の。  信玄♡可愛い♡♡「〜如し」て言いながら好き放題やっているだけなのに可愛い♡  ライトを眩しがる信玄。焼肉食べる信玄。ビールを飲む信玄。全てが愛らしい。  最後には主人公が羨ましくなったりして。いいよなぁ。うちの屋根裏にもいないかしら。  『なろうラジオ大賞』応募作品なので、この可愛さが声優さんの声とともにラジオ電波に乗るかもしれませんね。  楽しみな如し。
これを読んだだけで、あの物語の印象がガラリと変わります。
投稿日:2023年2月1日 改稿日:2023年2月2日
 川にぬいぐるみを流す女の独り言。  その後悔を聞いているうち、私たちの胸は震えてしまうのです。  読み進めれば日本人なら誰もが知っている話の『前日譚』だとわかる。少しづつ、少しづつ情報が解禁され、ある1点で決め打たれる。  この物語の巧みなところは、『前日譚』だけを述べ本編には一切触れないところです。  よく知った話が全く違う場所から光を当てられることによって『私たちの心の中で』変化する。  ザザザーッと『意味が』書き換えられてしまう。  そしてタイトルの『百』  良くできている。  何のヒントも与えられず読みはじめ、全て読んでから改めてタイトルを見ると『なるほど。これ以外にはない』と思せられる。奥行きが深い。  非常に巧みな構成です。まだ2月ですが、すでに私の『今年読んだ小説ベスト10』に入りました。なかなかこれを超える作品はでないと思います。
レビュー作品
作品情報
幸福は損得ではない。
投稿日:2022年12月31日 改稿日:2024年1月17日
 毎回、毎回、続きを待ち焦がれていた本作がついにフィナーレを迎えました! お見事!!!!!  これは貴族令嬢と画家の恋物語なのですが、冒頭最悪な状態で始まります。まっっっっ暗な結末であると知ってから物語を読み進めることになるわけですね。  しかし読み終わった後、冒頭の印象は覆っている。結末は変わらないのに読者の気持ちが変わっている……そういう不思議な小説です。  人として生まれた以上、愛されたいではないですか。  愛の言葉を囁いて欲しい。素敵なものをプレゼントされたい。花や宝石やドレスに囲まれて好きな人と穏やかで幸せな暮らしを送りたい。  でも本当の幸福ってそこなのでしょうか?  一見救いようのなく破滅的に見えたとしても、愛する人を愛し抜くこと。  そういう『幸福』を提示してくれる作品です。必読。泣けます。
「ひゃっひゃい!」
投稿日:2022年9月9日 改稿日:2022年9月12日
私の名前はテサシア・ノーザラン。 理想の恋は追い求めないの。 だって相手はルートヴィッヒ様。 尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い!! 望みが叶うならば、壁のシミになってお姿を拝見していたいわ。声をかけてもらうとか滅相もない。一緒に踊るとかありえない。ましてや結婚だなんて……。 と、推しが3次元だったテサシア嬢になぜかグイグイその推しがくる話。 そうは言ってもテサシア嬢。我々読者から見れば素敵なお嬢さんなのです。銀髪眼鏡ルートヴィッヒがテサシアに興味を持つのもむべなるかな。 そんな2人の甘〜い『推し活♡』 女の子の夢が最高につまっているので読んで蕩けてください。それでいいましょう。 「甘〜〜〜〜〜い♡」
毎度毎度「おおっ!」と読者を驚かせる優木凛々さん最新作。 まず題名がいいですよね『オリビア魔石宝飾店へようこそ』これだけで、女の子はダイヤモンドやルビーやサファイアにときめくし、男の子は魔石にワクワクする。 さらにストーリーはドキドキハラハラワクワク。次から次へと事件がやってきて飽きません。 さらにエリオットがオリビアを好きになる描写がとてもいいですね。胸キュンです。 こんな温かで、信頼しあって、のびのびできる恋がしたい。 ラストの『印籠でたー!』ってところでスッキリしますよ。 おススメです!
掘っ凝りしま下。
投稿日:2022年4月25日
ナンと云う琴でしょう?!五時まみれで嫁ません、 其れなのにzooっと絵ガオーッッに鳴ってしまいました。 酔い起こさん、酔い卵さんに芽ぐまれて米にち仕合せに蔵していらっしゃるのですね。 いたマジ、いたマジ、圧勝懸命撃っている要するにが津田わってカマス。 長い気してください寝。 ワタクシゴト2成りますが、輪菓、葉はも70さい地下くに鳴って始めて形態を保ちました。 採取は牡丹も六に推せず九郎していましたが!、粗脳ちemojiも駆使するようにナリキテレツダイセイコウナリ@?馬子の邪神を街受け画像にしたり田野死んでました。 馬子Power菅井。 民菜も呼んで。笑顔2慣れる良。
 本物である。本物が書いた本物の小説だ。涙なくして読み終えることができなかった。  WEB小説は『軽さ』『明るさ』『わかりやすさ』が必要だ。あえていうが『読み捨てられる』ことを求められる媒体である。  しかしこれはどうだ。更新されるたびラウラの波瀾万丈の人生にハラハラし、思わぬ不運にほぞをかみ、敵役の退場に拍手喝采してしまう。  不幸をその機知と大胆さで切り抜けついにーー出自を思えば最高峰のーー『公妾』に登りつめる。だがそこに彼女の幸せはなかった。  これは美貌と頭脳で思い通りの人生を送れた『チート』女性の話ではない。  彼女が彼女の全てをかけて守ろうとしたことに思いを馳せて欲しい。  作者はピカレスクロマンとして書くこともできたはず。それに反しヒロインラウラのなんと可憐で清明なことよ。今はただ『公妾』を書き切った水上栞さんに拍手を送りたい。泣きました。面白かったです。
あなたは必ずこの物語を2回読む
投稿日:2021年12月28日 改稿日:2021年12月28日
「『走れメロス』のオマージュだ」 そう思って読み始めました。 主人公のメアリは快活な女の子。 ちょっとお転婆が過ぎるかもしれませんね。 でも魅力的なのです。 彼女と一緒に物語を駆け回るうち、到達するのは兄の憎い婚約者。お兄さまを取ってしまった人。 メアリは思わず彼女に飛びかかってしまうのですが……。 読み終わってすぐ2回目を読み始めました。 さりげなく、周到に張られてた伏線。 「やられたぁ!」 この快感。味わって欲しい。
独創力を暴走させろ。
投稿日:2021年12月9日 改稿日:2021年12月9日
雪だるまが爆発しながら街を襲う  もうこの段階で我々の負けですよ。『優勝出ました〜。次のなろラジがんばりま〜す』てなもんですよ。誰が思いつくの。自分の意思で爆発する雪だるまなんて。  だが待ってほしい。たらこくちびる毛さんの書くその他の『なろうラジオ大賞3』シリーズを合わせて読んで欲しい。だんだん どういう発想力なんだ? って首を傾げてしまうから。独創的。読むやつ、読むやつみんな独創的。 我々がテンプレとかキャラクターとか人気タグとか人気過去作の傾向とかワチャワチャしている間に1人、全く違う次元の小説を書いてくる人がいるわけで。なんなの。なんだっていうの。そんな手ありなの? こんな才能隠れてたのかよ、と『なろうラジオ大賞3』シリーズを読んで心から震撼したのでみんなも読んで震えて眠って欲しいです。 発想力が暴走している。ロケットランチャーを真横でぶっ放してくる。 楽しそうに。
いろいろ気をつけろよ。
投稿日:2021年11月9日 改稿日:2021年11月13日
いろいろ気をつけろよ。 まずはさ。自殺するんだから幼馴染の高級車なんか借りるなよ。迷惑だろ。警察の事情聴取とか大変な思いさせんなよ。 いろいろ気をつけろよ。 練炭見て、焼肉食べたくなるなよ。 自殺するのに肉食えんのか。え? 猟師? 何で猟師が都合よく乗ってんのさ。 ……ああ……そういう理由なんですか……仕方ないですね。 どういうことだよ。 高級車にバーベキューセットっておかしいだろ。ワゴン車じゃねえんだ。 イノシシ捕まえて酒池肉林かよ。ビールもあるんだ? それはしょうがない。自殺は一旦休止ね。 いろいろ気をつけろよ。 そんなことしたら死にたくなくなるでしょ? 辛い時には肉が効くでしょ? あ、自殺止めるの。よかった、よかった。 何だ。いい話だ。そうだよ。誰にだってやり直す権利はあるんだよ。よかったなあ。涙出てきた。 ……………………ほんといろいろ気をつけろよ。
期待を裏切るな。予想を裏切れ。
投稿日:2021年10月19日 改稿日:2021年10月19日
小説の指南書によくある言葉です。 読者は物語に期待します。勧善懲悪が最たるものでしょう。 善人は報われて欲しい。悪人は滅びて欲しい。 でも、主人公が悪人だったら? この物語の主人公ザンギは嘘ばかりついて人々を不幸に陥れて生きてきた男。 その数なんと9999回。 でも実はこの世界。1万回嘘をついたら小鬼に食べられてしまうのです。 そこに現れる小さな女の子。ザンギは「嫁に行くまで面倒を見る」と小鬼にいうのですがーー。 嘲笑う小鬼。守られるはずもない言葉。 題名を見た段階で思いましたからね。 『悪人が改心して善人になるやつだ!』 作者は期待を裏切りませんでした。しかし予想は裏切った。 読み終わった瞬間に思う。 『これは果たしてハッピーエンドなのか? アンハッピーエンドなのか?』 私は確信しています。これはハッピーエンドなのです。 痛快にーー予想をーー裏切られました。
ニャンとSFなんです。
投稿日:2021年10月11日 改稿日:2021年10月11日
ある日主人公の元に思いもかけず、可愛い猫がやってきて一緒に暮らす事になったら……。 さて。このお話、ジャンルは何でしょう? そうですねぇ……。『童話』かなぁ? 『純文学』かも知れないし、もしかしたら『その他』になるのかも。 いやいや。これをきっかけに素敵な王子様と結ばれるのかも。『異世界恋愛』? いーえ。SFなんでございます。紛うことなきSF。 ポイントはこの猫が未来から誤転送されてしまったということ。返却はできないこと。 さて大変です。主人公の住まいはペット禁止なのです……。 未来とのやりとりとか、大家対策とか、ややこしいことが次々と。主人公は大ピンチ! この物語がすごいのは、『未来から猫がくるとはどういうことなのか』が考え抜かれているところです。 軽妙な楽しい文を追っていくうち ーうちにも猫送られて来ないかなぁー なんて思ってしまうかも だって猫チャンは可愛いもの。
ジグソーパズルの最後の1ピースをはめ終わった、その後で。
投稿日:2021年10月10日 改稿日:2021年10月11日
ジグソーパズルをやりますね。 左上に『出来上がり予想図』を置いて、一つ一つ予想図と同じ部分のピースをはめていく。 とても悲しい絵です。 悪虐の限りを尽くした公爵令嬢が婚約破棄された上に薬を飲まされて処刑されるところ。 しかもその肌を切り刻まれて『解剖』されるのだという。ありえない扱いです。 元婚約者のロードリックは心動きません。 何もかも終わってから彼は彼女の日記帳を見つけます。 そこには思いもかけない真実が……。 あなたはこの後不可思議な思いにとらわれるでしょう。 ピースをはめるほど最初の予想図と全く違う絵が浮かび上がってくるからです。 できればこのお話は2回読んで欲しい。 この小説の一言一句、登場人物の誰一人、無駄に書かれていないことに気づくでしょう。 最後のピースをはめ終わった時、目の前には素晴らしい絵が、あなたの予想もしなかったような結末が、出来上がっているはずです。
9枚しかないはずの皿が10枚ある。
投稿日:2021年10月10日 改稿日:2021年10月10日
番長皿屋敷。 恐ろしくも悲しいお話です。 主人が大切にしていた10枚の皿のうちの1枚を割ってしまったお菊。ひどい叱責を受け、屋敷内の井戸に身投げして死んでしまいます。 以来井戸からは夜な夜なお皿を数える幽霊の声が……。 ん? なんか10枚揃っとるぞ? 「そんなわけない!」思わず放り投げてしまう幽霊(お菊という名前かどうかは知らない) それを口にくわえて走ってくる生き物が……。 フリスビーやんけ! 皿じゃなくてフリスビーやんけ!! 投げたら戻ってくるやつやんけ!!! そんな幽霊にとって阿鼻叫喚(?)の事態が思わぬ方向に転がるのですが、はい? なんでそうなるの? 読んでみてください。全然悲しくないわ。用意していた涙返せ。
前へ 12 次へ