構成が良い。とにかく良い。青春時代というのは未熟なもので、誰もが愚かな経験の一つや二つはしていると思う。なんでこんな人好きになっちゃったかな、とか。友達と些細なことで仲違いしちゃったな、とか。ヒロインの智佳も大切な親友のみなみと行き違ってしまう。
未来屋環さんの素晴らしいところは、日常を臨場感を持って書けることだ。基礎のしっかりした家を見る気がする。だが見たことのない独創的な家だ。あれよ、あれよと我々は摩訶不思議な世界に放り込まれる。
それでいて間違いなく青春の1ページであり、その続きである。いや反復だ。今と過去を行ったり来たりしながら、花のように形を変える。苦い過去が美しく咲くのを是非見届けて欲しい。今私が最も新作を楽しみにしている作家さんです。『未来屋マジック』!
気持ちよく魔法にかかりました。