レビューした作品一覧全10件
擬音がかわいくいとおしく
投稿日:2025年2月13日
三香様をご紹介申し上げます。 この方のお書きになる小説は本当に愛らしい。 特にこの「枯れ葉王女 マジで死んじゃう 3秒前」をご一読くだされば、その文章の魅力に気づいていただけるでしょう。 擬音が独特で泣きたくなるほどかわいらしい。「チタパタ」とか「えいえい」とか、他の方も使われるかもしれませんが、三香様ほど効果的な使い方はなかなか見ません。 また、花(や樹木や庭園や四季)の描写がすばらしく、形容詞の選び方が千変万化。 この小説の他、枯れ葉令嬢シリーズは特におすすめです。 コメディーチックなのにどこか切ない、小景が切り取られて素敵です。
論理型異世界聖女、爆誕!!
投稿日:2024年11月25日
異世界に召喚された聖女、なんですよ。 最初に先方に腹をたてたり王族にくってかかったりするのは「聖女の力は万能です」「苛烈な聖女様」系ですが……。 あちらの呼び出した異世界の人たちは、結局親切で礼儀正しくて、聖女を大切にしてくれますよね。(←前二つも皆が読んでる前提ww 勝手なww) これがもう、どーしようもない。 マジどーしようもない。 そんな世界に呼び出された主人公、激怒。 論理的に言い返す言い返す(いいぞもっとやれ)。 いやー、めちゃくちゃスカッとしますわ。 主人公が叫んだり喚いたりするのではなく、淡々とただ淡々と詰める詰める。 話が進むにしたがってだんだん発声が怖くなっていってるのが、文章から伝わる。 短編です、ぜひご一読ください!
異世界転移ものですが、こんな設定初めて読みました。 難産で死にそうな公爵夫人に転移した「お母さん」。 とりあえず、産まなきゃ! 前世で3人産んだお母さん、経験を生かして無事出産! こんな異世界転移、あります?www そこからは愛しい我が子をめでながら、いびつな家族の形を自分の手で、考えで、作り上げていこうとする努力。 転生チートはほとんどありませんが、子育ての経験等が生きてきます。 一方、権力闘争などもからんできて、不穏な気配も。 その中で、家族の絆を結んでいくお母さん。 まさに、母は強し!です。 また、幼な子の喃語や舌足らずなもの言い、泣きだしたら止まらずだっこしても全力でそり反って全身で泣く描写、たまりませんわー(個人の感想です)。 とにかくご一読くださいませ!
なぜか明るく読める哀しい物語
投稿日:2023年12月21日
ドアマットヒロインがヒーローに助けられて幸せになる、というありがち(失礼)なストーリー。 しかし、そんなに悲愴な雰囲気に陥らないのは、主人公のポジティブシンキングな姿勢からでしょうか。 もちろんネガティブな思考に陥ることもあるのですけど、ノリツッコミで自力で自分を制御していく(いや、これは天然かな?)主人公のありようが素敵だな、と思いました。 過去の悲惨な体験から自分の記憶と感情を封印することにしたヒーローが、主人公との交流を通して「自分」というものを見つめ直し、変化していく経過が素晴らしい。 主人公が助けられるだけでなく、ヒーローの「心」をも救っていく。 軽妙な文章と心情描写で、哀しい物語もなぜか明るく読めます。 オススメ!
切なさと切なさと切なさ
投稿日:2023年5月31日
泣けます。 私は泣きました。 「切なさ」以外のなにものでもない珠玉の作品。 淡々と描かれる日常と、その裏表。 主人公の健気さと、その夫の想い。 サブタイトルの花の名前のセンスが良いです。 ブックマークの「繰り返し読みたい」フォルダに保存して、 思い出しては読んでいます。 2016年8月掲載と、割と以前の作品ですが、 古さを感じさせません。 いずれ、また読み返して泣くでしょう。 そしてそのあとに、心が洗われたような心境になるでしょう。
執事言葉の求愛がたまらない!
投稿日:2022年9月8日
完結作品です。 まだ読んでる途中です。 なのにたまらず、レビューを書きにきてしまいました。 ストーリーは王道なのですがっ! なのですがっ! 執事言葉の求愛がたまりません!! お嬢様呼び・丁寧言葉・物腰優雅。 それなのに、求愛行動がアツすぎる~! 「黒〇事」ファンの私としては、もうドキドキが止まらない。 求愛の嵐に、主人公の心臓がラストまでもつのか!? それでは、続きを読みに戻ります! あなたも Let's go!!
この小説の素晴らしいところはたくさんありますが、なんと言っても、★論理に破綻がない!★ 作者様の文章力とストーリー構成力で、一気にぐいぐい読んでしまいます。 また、キャラクターの作り込みが半端なく魅力的。 主人公の矜持と尊厳を余すところなく表現しています。 主人公が結婚させられた初対面の相手は、見た目はごく普通、頭脳は天才、でも諸般の事情により目的を妨げられている。 それを支え、励まし、相手の不足は自分が補なう。 敵の心理を読み、先手先手を打ち、的確に追い詰めていく主人公。 けしてお嬢様言葉を崩さない彼女が、一瞬だけ素を出すシーンは最高です! そんな主人公に惹かれていく結婚相手……。 恋愛要素はもちろんありますが、ほのぼのゆっくり進んでいく二人の仲はジレジレして微笑ましい。 読み終わったあと、すぐさま一話に戻って読み返したくなること、間違いナシ! 私ももう一回読んでまいります!!
悪役令嬢の婚約破棄・ループ系の短編ということで、よくある設定だけどどんな展開かな~と気軽に読み始めたら……。 え? そうくる? そしてそうなる!? まったく予想外の展開に度肝を抜かれ、あれよあれよと真相が暴かれ。 その間、主役の悪役令嬢がやさぐれ続けていて笑える! また「やさぐれ状態」を周りの生徒が独自解釈していく経緯が面白い! 笑いが止まりませんでした!! 読後感はすっきり、設定の妙にじわじわと感じ入り。 ぜひともご一読いただきたい逸品です。
長編とは思えない作り込み!
投稿日:2022年3月25日
ひとあじもふたあじも違う異世界転移モノ。 転移した人たちの職「SE」がこんなに生きてくる 転移ものは初めて読みました。 練り込まれたプロット。 張り巡らされた伏線。 魅力的なキャラクター。 軽妙な文章の中に、時々シリアス。 セリフが多くても、語尾に特徴づけがしてあるので、 「誰がこのセリフを発したか」がわかりやすくなってます。 最初は話数が多くて読み切れるか不安でしたが、 世界観に引き込まれ、一気に通読しました。 ラストは特に、ドキドキハラハラです。 ぜひ、作者様の世界観にひたってください!
良質の大河ドラマ
投稿日:2021年12月15日
何万本とある小説の中で、この一作に巡り合えたのは僥倖でした。 101回と長いように感じますが、勢いのある筆者様の筆力でぐいぐい引き込まれます。 最後の方は、「もっと読みたい」「でも読むと終わっちゃう」というジレンマに悩まされました。 ドラマティックなストーリー。 的確に描写された、登場人物の性格と心理。 ヒロインとヒーロー周りの人物、対立者の心理でさえ共感させられます。(除く若干名) 雑味のない厳選されたエピソード。 緻密に張り巡らされた伏線が最後に回収されていく様は、見事というほかありません。 すべてのピースがかちっとはまったときのカタルシス。 どの物事もすべてが複雑にからみあっていながら、一本の筋が通った物語です。 内容には、あえて触れません。 ぜひともご自身で、筆者様の用意した座り心地の良いジェットコースターをお楽しみください。