筆者の独断で、本作にサブタイトルを付けるなら〝灰色の容疑者〟しかないであろう。
心機一転、転居したヒロインは謎の視線を感じ、何者かにつけ狙われていた。
気になるのは主人公の隣人、佐竹という男性である。事あるごとに主人公を気にかけ、シチューや肉じゃがを作っては頻繁に差し入れてくれた。そして会うたび彼女に訪ねてくる――『困ったことはありませんか』と。とにかく胡散臭いくらい優しいのだ。
一方、見えないストーカーの執拗な気配は、日毎に主人公を追い詰めていく。
佳境を迎えて事件は急展開する。斯くして佐竹が敵か味方か、何者なのかは終盤に明かされる。ストーカーの正体とは? 思いがけないラストは、じんわり感動に包まれる。すべてが解った時、然しグレイの笑いが込み上げてくるのは筆者だけだろうか❔
ツヨシ氏のユーモアに触れてほしい。感動しつつ爆笑、こんな新感覚を味わえるミステリー他にない❕