レビューした作品一覧全3件
『命の選別』がコロナ禍で初めて公然と大義名分を持ち、美しい建前「どんな命も尊く平等」が揺らぐ医療現場の今ー。 『延命措置の胃瘻』か『自然死による餓死』か選択を迫られる要介護者の家族達。 医療従事者と要介護者の家族は、医療介護の知識と情報格差からかみ合わない、そしてわかりあえない。 誰も彼も忙しく余裕がないからその差は埋まらない。 人と人が完璧に理解し合えることは永遠にないけれど。 わかり合おうと努力しあう姿が、わかり合えたと思えたその一瞬の奇跡が、何より貴く愛おしい。 常に喪失感に包まれる看取りの日々の中、ふとした仕草や笑顔、時々の「ありがとう」で報われる『私』。 消えゆく命にそっと寄り添うやさしさに信じてみたくなる。 そんな『私』が問う「あんな答えでよかったの?」と。 だから答える「うん!そうだよ!」と。 そして言う「看護師になってくれてありがとう」と。
「尾道三部作」を想起させる甘く儚い青春の1ページ
投稿日:2021年7月18日 改稿日:2021年7月19日
全編を通じて爽やかなシトラスミントの風が薫る。 作者さんが心地よい芳香を放つと、一癖二癖あるキャラもどこか憎めない味のあるキャラへと変貌するマジック。 東風が頬を撫でるような足元を優しくくすぐるような青春の切り絵達。 時に甘酸っぱく、ワクワク、ドキドキ、ハラハラし、またある時はチクリと胸が痛んで、切なく眠れない夜を過ごしたり・・・ 主人公目線で淡々と語られるストーリーの陰で仄かに灯された恋心が、挫かれ消え入りそうになりながらも、次第に熾き火へと育っていく。 幸せになるためには取り返しのつく失敗なら何度でもした方がいい。 青臭さも、拙さも、すべてはやさしく昇華されるから。 「しあわせになる秘訣」は“自分に素直になること“だと教えてくれる作品。 「パラ萌え」にタッジーマッジーを。
前世白井智子は、享年35才で孤独死した、ブサイク・不愛想・コミュ障の3拍子揃った典型的なモテない女=喪女だった。 ここは、白黒魔法が存在するファンタジー世界のガウス帝国。 雷に打たれ、乙女ゲーム「恋と戦のプリンス」のヒロインの敵役、帝国一の美貌と家柄を持つ男好きで残忍な悪役令嬢、フィーネ・マーリン・ジルドアとして覚醒する。 死亡ENDしかない運命を回避すべく、フィーネはもがき、時には現実逃避し、傷ついたインナーチャイルドを癒しながら、ゆっくりとスライバーへと成長していく。 「恋と戦のプリンス」は、ヒロインの恋の相手によって、戦争シナリオが改変される正に命がけの恋愛ゲーム。各国の思惑と利害が複雑に交錯する中、恋に、友情に、戦争に、と先が見えない展開にドキドキハラハラが止まらない!? 孤独だった前世からの一番の望み「愛されたい」想いを叶えるべく、フィーネの旅路が今、ここに始まる!