この小説はいわゆる「本物」です。
魅力的なキャラクター・練り込まれた設定・予想の上を行くストーリー・散りばめられた伏線・完成度の高い文章、どれを取っても一級品です。
しかも、なろうレベルの一級品ではなくプロレベルの一級品に達しています。
書店に並ぶファンタジー小説の中で、これだけの水準に達している本は滅多にありません。
どの点も素晴らしいのですが、その最大の魅力はやはりストーリーでしょう。
大長編はどうしても竜頭蛇尾で息切れするのが常ですが、この小説はそうなるどころか後になるほどより面白くなり、凄みが深まって行きます。
上げて上げて上げて真っ逆さまに落とす、落として落として落として一気に上げる。
よくぞそこまでと言わざるを得ないほど、主人公を追い詰めます。
主人公だけでなく、読者までも追い詰める作者さんは鬼畜です。
そこまで追い詰められてからのカタルシスを味わって下さい。