この作者が、他者の感想欄などで作品を評する時の、何と言うか、嘘のない感じと言うか、愛に溢れた感じと言うか、感想欄の末尾を「ありがとうございました」という感謝で結ぶところからも垣間見える、文学に対する真摯な気持ちと言うか。兎にも角にも、僕みたいな俗物からすれば、彼女の文学に対する純粋さには、ほとほと頭が下がりますよ。それはその作風にも顕著に表れていて、意図してか、自然体なのか、流行りの文体に真向から寄せて行かない、ある意味でツッパリ通したその文体は、読んでいて小気味よく、でも時に難解で、なんちゅーか、一度はまるとやめられない中毒性のある文章なのである。本作は、夢に挫折をした女子大生が主人公の物語。「絵が私を愛してくれなかったとしても、私が絵を愛していればそれで良かったのに」という言葉が心を容赦なくえぐる。お話は序盤。文学を愛し文学に愛される作者が描くこれからの展開に、乞うご期待なのであ~る。