レビューした作品一覧全57件
義兄・里見義頼との家督争いに敗れ、母や妹共々死を迎えた主人公・里見義重(梅王丸)。 しかし、次に意識を取り戻した時、彼は自身が生まれたその時へ、生まれ「戻って」いた。 生まれ「変わって」でも義兄・義頼への復讐をと望んでいた彼は、生まれ「戻った」のなら幸いと、早々に義頼を追い落とそうと画策を始めるが。 戦国時代の人や家の繋がりは複雑に絡まり合っていて、誰もが綱渡りのように生き延びてきたのだ、ということがよく分かる作品です。 各話につけられている説明もわかりやすくて、歴史に詳しくない人でも史実はどうであったのかを比較しながら楽しむことの出来る作品です。 一通り読み終えた後、改めて読み直すと、さらに物語に深みが増し、気づくと本作の、そして里見家の魅力にはまっているかもしれませんよ
初恋は実らない。 初恋は特別なもの。 人生において初めて誰かを好きになった時の記憶というものは特別であることが多いですよね。 それが叶わない思いであったのなら尚の事。 本作は、そんな特別な想いを人為的に忘れることが出来る手術が可能になった世界のお話です。 初めての恋が忘れられず、今も引きずったままの彼。 そんな彼と一緒にいることが辛いと言う彼女。 手術をすれば、その記憶は失われ、きっと幸せになれるはず。 そんな思いで手術に臨むことを決めた彼が手に入れた未来は? 結末はおそらく賛否ある内容な気がしますが、 失くしたもので特別になるものもある 失くさずにいたことにはきっと理由がある そんなことを考えさせられる作品でした。 忘れられない思い出があるのなら 是非本作を読み、 忘れたいものが忘れられるその未来を想像してみてください。
レビュー作品 初恋摘出手術
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好きな作品のレビューを書いてみたいけど うまく書けるかな? 逆に迷惑だったりしないかな? そんな事をお悩みの方にぴったりの作品があります! それが本作です。 昨今それっぽいタイトルを書いておいて、 中身が伴わないタイトル詐欺な作品もある中。 ご安心ください。 本作は中身も充実! 基本となるあらすじのまとめ方はもちろん、 そこからの応用編、発展編まで詰め合わせ。 具体的な例文も含まれており安心安全な内容です。 それだけではありません! 本作なんと、 あらすじを上手くかけない、 というお悩みをお持ちのお客様にも お勧めの内容となっております。 本作の基本型、応用編には、 あらすじを書く上で重要なエッセンスが盛り込まれており、 一作品で二度、いや三度美味しい! 三つ目なんだよと思われた方、良いツッコミです。 三つ目の良さに気づけるかはあなた次第。 皆様の感想お待ちしております。
共に時間を過ごして 共に悩める何かが合って 共に切り拓きたい目標があって そこに全力でぶつかっていって それでも全く同じではないから 似てても異なる道を選んで 互いに励まし合いながら それぞれの道を進んでく あなたにも そんな時間を過ごした友人はいるでしょうか? 勉学でも、スポーツでも、趣味でも どんなことだって 同じように夢中になって 同じように楽しめる相手 それは長い人生の中で見れば ごく短い期間であったのかもしれません それでも過ごした時間は確かにあって その想いは確かにあって だから離れてしまっても ふとした時に、今、幸せでいてくれるだろうか、と そう思える この作品は、そんな友を詠った作品です どこか切なくて どこか温かい そんな言葉をぜひあなたにも。
レビュー作品 去り行く友よ
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星の砂に願いを……
投稿日:2023年5月31日
星の砂を知っていますか? 夜空に星が輝いているように見える 原生動物の殻です。 光に透けると綺麗で 願い事を叶えてくれる 縁を結びつけてくれる そのように言われている砂です。 本作はその砂のように 命の儚さと輝きを 願う気持ちの煌めきを 透き通るような言葉とともに描いています。 星の砂が広がる浜辺に 打ち寄せては留まり 留まっては返す波のように 揺れる感情が胸を打つ そんな作品です。 言葉から伝わってくる 美しい景色も共にお楽しみください。
レビュー作品 星砂
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タイトルからしてこれは童話ジャンルなのか? と思わせるタイトル。 童話と謳っておいて、 ただのハイファンだったり イセコイと謳っておいて 異世界要素なかったり ジャンル詐欺の作品が多数ひしめく中 安心してください、童話ですよ ……作中作品部分が。 作中作品として タイトルにもある『コンセン島のタコ足パイセン』が出てきますが、これは紛うことなき童話です。 ぜひイラストとともに商業作品化してもらいたいぐらい。 作品に出てくるアニマルたちの名前も愛らしく きっと絵柄も可愛らしい感じになることでしょう。 子どもたちに大切なことを訴えかけるテーマ性もあり とても素晴らしい作品です。 ただ一つ言いたい。 電気事業安全協会はもう少し考えたほうがいいと思います。 何を考えたほうがいいのか、 それは是非読んで確かめてみてください。
はじめてのきょうだい。 じぶんよりもちっちゃくて じぶんよりもなき虫な あかちゃんがおうちにやってきて とつぜん「おにいちゃん」になった「たっくん」 おにいちゃんになったんだから。 そんな言葉とともに、 おにいちゃんらしくなろうと いっぱいいっぱいがんばって がんばったから 心にいっぱいいっぱい ぴりぴりって気持ちがたまってきて。 しんぶんしがやぶけたみたいにびりびりって。 そんなふうに、まだちいさいけれど おにいちゃんになったたっくんの 心の揺れ動きが丁寧に丁寧に描かれた作品です。 子供の頃にこんなこと思ったな、とか 親として、こんな風に我慢させちゃったな、とか 今、正に我慢させてるかも、とか。 きっとどこか共感したり、 我が身を振り返ってみたり、 そんな箇所があると思います。 びりびりな気持ちの先の びりびりとやぶけた先の景色を ぜひたっくんと共に見つけてください
目を引くなタイトル これなに?ってなりませんか とりあえず見てみようかなってなりましたか? 開いてみてみれば 待っているのは奇抜な内容 これなに?ってなりましたか でもそこでよくわからないって 読むのをやめるのは勿体無いですよ この作品に詰まっているのは ポケットにロケットを詰め込もうとする へんてこなお話なんかじゃありません。 もっと大切な、毎日の生活の中で いつか忘れてしまったような そんな「なにか」が詰まってるんです さぁ、あなたも にくきゅう座のマルデタラン目掛けて 一緒に飛び立ちましょう!
渡り鳥が空に絵を描く世界 けれど、花粉症があって、お花見があって、普通に暮らす人々が、空に描かれた鳥の絵を見て、ほっとする、そんなありふれた人々が住む世界 幸せに結ばれて、 愛しい欠片を授かって、 明日もきっといい日、と信じていた日々から 突如「あなた」のいない明日が来る世界になって。 悲しく、切ない舞台設定なのに 春のぬくもりのように優しくて けれど 春の雨のようにどこか冷たくもある それでもやっぱり 信じていればいつか花は咲く そんなことを、思わせてくれるような 優しくて、素敵な、そしてちょっと不思議な作品です。
共に生きていく一つの形
投稿日:2023年5月8日
見返りを求めない無償の愛 素敵ですよね 慈愛に満ちていて 柔らかく包まれているようで 安らぎを感じられる さぞ幸せなことでしょう。あなたは。 自分もちゃんと気持ちを返してる そう言える人は素敵ですね。 独り善がりの気持ちの押しつけでなければいいですね 多くの関係性は、突然変わるものではないのです。 静かに、静かに 土壌が汚染されていくように 作物が少しずつやせ細るようにして 変わっていくのです。 鮮やかで、艶やかな赤い華は 本当に赤いのでしょうか。 土から吸い上げた紫黒色が 華を赤くしているだけではありませんか? あなたの愛は、届いていますか?
千絵の祖父は認知症にかかり 千絵の母親は祖父のことを何年も介護をした。 ほとんど会うことのかなった千絵のことを 祖父は覚えていない 毎日介護で顔を会わせるはずの母親のことすら 時折忘れてしまう そんな、少し前に食べた食事も忘れてしまうような祖父が 毎日決まってある時間になると 外に出ようとするのだという。 その行き先を、母も知らないと言っていた。 やがて祖父が亡くなり、千絵は家を出るが ある日実家から電話がかかってきた。 ----- 認知症と家族 認知症と記憶 年齢を重ねていくうちに いつかは向き合っていかなければならないものについて 丁寧に描かれた作品です。 介護の大変さや辛さには深くは触れず 記憶と繋がりを描いた本作は 綺麗事を描いているのかもしれません。 ですが、記憶を通じて 『そこにある繋がり』の大切さを教えてくれる そんな作品です。
レビュー作品 ビボウロク
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わずか3行の詩 そこから始まる物語です。 その詩に描かれた言葉、音、世界観が この作品の根底にあるかのように 静かに物語は進みます。 ただその瞬間の 無意識に紡がれた言葉 自分の中では閉じてしまった言葉 それが遠くで湧き上がった水のように 物語の底で静かに流れ続けます。 知らないうちに心の内側に染み渡るように広がって 気づけばその水に作品が満たされているような感覚 このようにして惹き込むこともできるのか、と 読み終えたとき、ただ感嘆しました。 短編なのに1つの長編を読み終えたような満足感があります まずは最初の数行、お読みください。 気づけば、その水の上を流れる船の上に 乗ってしまっているかもしれません。
レビュー作品 閉じます
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澄み渡った空のように 空を流れる雲が美しくたなびいて 薄く姿を隠す姿すら 惹かれてしまうような そんな澄んだ空のように 純粋だった時 茜色に染まる空のように 誰かを想うだけで心が燃えることを知って 誰かのことだけで心が染まることを知って 温もりが身体に刻まれることを知った 純真だからこそ純心でなくなった時 地平の向うに太陽が沈んだあとの 燃えがった空が闇に染まる前の一瞬の色 陰と陽が重なり合う瞬間 人の想いが昇華していく様が 素朴な言葉で けれど目の前に浮かび上がってくるような 的確な描写で描かれています。 色と艶がこれほどまでに爽やかで艶やかに描けるのだと 感動した作品です。
レビュー作品 紫色の海
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『あたしのあしにキャタピラがあったら』 そんな突拍子もない書き出しで始まる本作は 読み進めていくほど 多くの人が一度は考えたことのあることだと気づきます 妬み 憧れ 失望 希望 どうしてこうじゃなかったのか どうしてこうしてくれなかったのか もしこうだったら あのときこうなら 一度はそんなことを夢想したりはしませんでしたか 本作のあたしも、そんなことを夢見る一人です だからこそ、きっとそこにはあなたに響く言葉もあると そう思っています。 きゅるきゅる
レビュー作品 キャタピラ
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言の葉が奏でる心の音
投稿日:2023年3月26日 改稿日:2023年3月27日
五線譜に描くのは丸い楕円と線と旗 そこから生み出される音の波は 言葉が無くても心を揺さぶります その五線譜の上に 音の波の代わりに描かれていたのは たった二文字の言の葉 誰が記したかわからない どんな曲を奏でるのかも分からないその文字に 主人公は曲の続きを奏でるように言の葉を綴ります そうして始まる二人の連弾 それを連弾と呼んで良いのか 互いが互いにそれぞれの想いを紡いでいくだけの 行き先の分からぬその曲の行く先は…… 五線譜の上に描かれていく 言葉で刻まれた二人だけの曲は 心を揺らし 波立たせて やがて2つの音に集約していきます 静かなそれでいて波打つような ただ二人だけの演奏 ただ二人だけのための演奏 読み終えたその時 西日指す教室に 終わりを迎える切なさを感じるのか 赤く燃えるようような想いを感じるのか ぜひお読みいただき確かめてください
レビュー作品 五線譜と静寂
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生きとし生けるものは皆巡る
投稿日:2023年3月15日
タイトル。 一瞥すると「ん?」と思わされるタイトルですよね。 どういうことかな、と思って読み始めると なんとなくタイトルの漢字が感じられるよう吟じられている。 読むほどに、 タイトルの主題の更に先を詠われていくのですが 描かれた情景を思い描いているうちに その乖離よりも、そこに詠まれている言葉に共感させられ そうして読み進めたうちに結ばれる言葉 想いは、形を変えて でも確かに継がれていく そうした想いが込められた 旅立ちの季節にぴったりの一品です。
レビュー作品 はるまつめ
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世の中の価値基準と異なる形で成長していく「僕」 そんな「僕」を大切にしてくれる両親 ずっと一緒に過ごしてくれる友達 「僕」の持ち得る価値観に優しく示唆を与えてくれる先生 変わり続けて世の中から収まりきらなくなっていったとしても 周囲は変わらず「僕」をありのまま受け入れてくれて だからこそ「僕」も自らの在り方をありのままに受け入れられる 大切な人たちから教わったこと、学んだことは 「僕」にとって大事なものとなって それはやがて「僕」が「世の中」に旅立つことになった後も 「僕」の大切な指針として、「僕」を支えてくれる 全編が夜の闇の中で輝く月の光を思わせるような優しさで 暗闇に感じる切なさを、優しい月の光が包んでくれるような そんな言葉に溢れた作品です。 全8話の詩作ですが、 最後まであっという間に読まされるほどに惹きこまれた作品です。
タイトル通り、 主人公は冒頭から新しい世界への扉を叩き、 誘われたその世界に訪れます。 そこで出会ったのはかつてより愛していた人。 出会いってから別れるまでの年月よりも 別れてから再び巡り会えるまでの年月の方が遥かに長く それでも想い合っていた二人。 それは、同じ世界の住人から見ても 羨望として映るようで。 誰かを愛し続けること その温かさが伝わってくる作品でした。 物語構成の基本となる起承転結もしっかりとしていて 最初から最後まで安心して読める作品です。 これほどの想いを持てる相手に自分は出会えるだろうか 出会えたらいい そう想えるようになれたらいい 読み終えたときにはそんな気持ちになれる 素敵な作品です。
流れ落ちた星の数だけ 幸せは零れ落ちる 夜空に輝く三日月は 欠けた星星を映さないために 瞳を閉じたから 夜空を美しく歌い上げながら その言葉が美しく見えるのは 叶わぬ儚さや切なさが 星の代わりに煌めいているからなのかもしれません 数多ある夜の 何処かにあるはずの 星瞬く空 美しさは 怖さも伴って 近づくことを躊躇いながら 触れることを望んで 届きそうで届かない そこに安堵するような そんな……魔法のような景色と世界へようこそ
レビュー作品 こんな夜に
作品情報
言葉がなくても その仕草だけで伝わるものがあって 言葉の代わりに その姿や感触が刻まれ残されていて 振り返るたびに思い浮かぶのは 特別なことよりも 日々の何気ない出来事が多いのは それだけ触れ合ってきた証なのかもしれません 大切な家族への思いを 大切に過ごしてきた場面の中に 切り取るように散りばめながら 語るように 歌うように 綴られた言葉たち たくさんの温もりと 僅かに胸を締め付ける切なさが残る読後感で 身近にいる大切な家族をぎゅっと抱きしめたくなるような そんな気持ちにさせられる そんな優しい作品です
レビュー作品 冷たい肉球
作品情報
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