レビューした作品一覧全27件
パンと花とちょっぴり不思議な日常が、こんなにも愛おしく感じられるとは思いませんでした。花が咲かなかった令嬢エリザと、パン命の変わり者ラルクが織りなす日々は、優しさとユーモアにあふれていて、何度も笑って、時々泣ける温かい物語。一見ちょっとズレてる世界の中に、真っ直ぐな愛が通っているのが心地よく、読後にはじんわり幸せな気持ちが残りました。登場人物みんなを抱きしめたくなるような、そんな物語でした。
政略結婚から始まった冷え切った関係が、徐々に真の信頼と愛情へと変わっていく様子が非常に丁寧に描かれており、読後に温かな余韻が残る素晴らしい作品でした。クラリスの内面の成長や覚悟、王妃としての誇りを取り戻していく姿がとても力強く、同時に繊細な心理描写が共感を呼びます。王太子エドワルドの変化も自然で、彼女の言葉や態度が周囲を動かしていく展開には読者として深い満足感を覚えました。特に最後の「私は、あなたと一緒にいることで、自分の幸せを見つけたのよ」という一言に、すべての想いが凝縮されていて感動的です。
クラリスの毅然とした態度と、ユーモアを交えた語り口が非常に爽快で、一気に読ませる力がありました。浮気夫との決別から始まり、誠実なセオドアとの新しい関係へと進む流れは痛快で、読後感がとても心地よいです。特に、決闘大会や前夫の門前野宿など、コミカルな展開も巧みに盛り込まれており、シリアスと笑いのバランスが絶妙。ヒロインの成長と幸福への歩みがしっかり描かれていて、まさに“ざまぁ”と“溺愛”が融合した王道エンタメでした。
読後感も爽やかです
投稿日:2025年5月20日
浮気婚約破棄から始まる主人公アイリスの成長と逆転劇が痛快でした。テンポの良い会話とユーモア、そしてノアとのじれったくも温かい関係性がとても魅力的です。特に、研究所を立ち上げる決意と、その過程で育まれる恋愛描写が自然で心に響きました。恋愛と自立、両方を丁寧に描き切った構成も見事で、読後感も爽やかです。
とても感動的でした
投稿日:2025年5月18日
婚約破棄から始まるユリシアの物語は、ただの“ざまぁ系”に終わらず、騎士としての誇りや個人の意志を貫く姿が非常に印象的でした。空から現れたカインとの絆が、過去の因縁と重なっていく展開には胸が熱くなります。政治的な陰謀や魔導結社との対決も緊張感があり、単なる恋愛にとどまらず物語としての厚みを感じました。最終的にユリシアが自分の選択で誓いを交わすシーンは、強くて美しい決断の象徴であり、とても感動的でした。
婚約破棄から始まるお決まりの展開かと思いきや、隣国のヤンデレ王子という強烈なキャラクターの登場で一気に物語に引き込まれました。ヒロインのリリアナが芯の強い女性として描かれており、相手の異常な愛情表現に振り回されながらも冷静に受け止めている姿がとても魅力的です。愛の重さと笑いのバランスが絶妙で、シリアスな場面でもクスリと笑える軽妙な語り口が物語をテンポよく進めています。溺愛×ざまぁ好きにはたまらない一作です。
静かで美しい敗北の物語
投稿日:2025年5月15日
婚約破棄と爵位剥奪を受け入れるヒロイン・セシリアの皮肉と冷静さが印象的な一編でした。殉教者になりたいという歪んだ願望と、それすら叶わず無様に裁かれる現実との落差が、哀しみよりも乾いた諦念として描かれています。華やかな貴族社会の裏にある残酷さと、それに抗わず終わる主人公の姿が逆に強烈な余韻を残しました。静かで美しい敗北の物語です。
しっかりとときめかされました
投稿日:2025年5月14日
政略結婚から始まる冷え切った関係が、料理やささやかなやりとりを通じて徐々に心を通わせていく様子が丁寧に描かれており、感情の機微に胸を打たれました。特に「飼いならしてくれ」という一見強引な台詞の裏に潜む孤独や不器用な優しさがじわじわと滲み出てくる構成が秀逸で、読後には温かな余韻が残ります。竜の翼の下で育まれる愛に、しっかりとときめかされました。
追放された令嬢が、ただ泣き寝入りするのではなく、国家予算級の経済力と知略で「ざまぁ」する展開に胸がすく思いでした。セシリアの聡明さとユーモア、そしてダリウスとの関係性がとても丁寧に描かれており、恋愛面でも読後感が心地よいです。王子と聖女の醜態にも容赦ない一方で、建国や物流整備といった政治・経済パートにも厚みがあり、読み応えは抜群。令嬢もの×企業経営×国家再編というジャンル融合が秀逸でした。
「婚約破棄」「ざまぁ」「令嬢追放」「前世の記憶」「特技での再起」――人気のWeb小説ジャンル要素を余すところなく取り入れつつ、“テーブルコーディネート”という極めてユニークな題材で異彩を放つ快作です。主人公リディアの知性と気高さが随所に光り、王太子たちの稚拙さと対比されることで、読者のカタルシスは一層際立ちます。前世設定も唐突さがなく、プロットに自然と融合。中盤以降の成長譚と逆転劇はテンポよく、エピローグの告白風エピソードに至るまで読後感は爽やかです。“ざまぁ”としての完成度は高く、テーマの新しさとキャラ造形が秀逸で、なろう系やカクヨム読者の期待に確実に応える力作だと評価できます。
冒頭から「逃げる令嬢と追いかける幼馴染」という、王道かつ劇的な展開で読者を引き込み、そのまま感情の綱引きが続く物語構成が見事でした。 クラリーチェとエディン、リリシアとライナルトの両カップルを対比させながら、「恋愛は選ぶもの、そして選ばれるもの」というテーマを巧みに描写。特にリリシアの心情描写は繊細で、政略の犠牲となりかけた令嬢の痛みと、それを乗り越えようとする決意に強く心を打たれました。 一方の男性陣も、ただ追うだけでなく、自らの過去や社会的立場と向き合いながら誠実に愛を証明していく姿が描かれており、読者に「信じる勇気」を与えてくれます。 クライマックスは定番でありながらも、王道を極めた安心感と感動がありました。
この作品は、典型的な「婚約破棄令嬢もの」を土台としながらも、スフェリアという主人公の圧倒的な行動力と冷静な政治的手腕によって、王政そのものを転覆させてしまうという異色の展開が見事でした。恋愛感情を捨て、理想や正義にすら頼らず、徹底して「合理性」を武器に歩むヒロイン像は強烈で、政略結婚から真の意味での「政略愛」への進化が描かれていた点も見応えがありました。また、元王太子アレクシスの静かな再生と、最後の再会も過剰なロマンスではなく、相互理解と未来志向に基づいたものとして自然に描かれており、読後に深い余韻を残します。一貫したテーマと心理描写に支えられた重厚な物語です。
読者の心に残る物語です
投稿日:2025年5月9日
政略結婚という名の処刑に耐えた令嬢ルシアが、真実の愛と自由を手に入れるまでの壮大な愛の軌跡を描いた傑作です。氷のような冷徹さで始まる物語は、屈辱と痛み、そして再会と赦しを通して次第に温度を帯び、最終的に家族と愛の温もりへと至ります。特筆すべきは、絶望的な状況に置かれながらも他者を思いやるルシアの芯の強さと、それを貫いて救い出すラルフの真摯な騎士道精神です。皇帝セイルとの外交的決着や、国政を巻き込んだ緊迫のやり取りも物語に深みを与えており、読み応え抜群。結末の妊娠告白も王道ながら涙を誘います。王道でありながら感情を丁寧に追った構成が魅力的で、読者の心に残る物語です。
確かな愛の形がここにあります
投稿日:2025年5月8日
捨てられた令嬢ユリフィアと、無骨で静かな辺境貴族ゼルヴィスの、少しずつ育まれる心の交流を描いた静謐で温かい物語です。押しつけがましい溺愛ではなく、沈黙の中に宿る優しさと、言葉少なに差し出される思いやりが印象的で、読む者の胸をじんわりと温めてくれます。背景の寒さと対照的に、人の心の火が静かに灯る様子が丁寧に描かれており、決して劇的ではないけれど、確かな愛の形がここにあります。
よくある「冷遇令嬢」+「溺愛系」の組み合わせですが、ヒロインの“拒絶型魔力”という設定が非常に巧みで、物語に説得力と深みを与えています。特に、ノクスの静かな包容力と、彼が言葉にするひとつひとつのセリフが秀逸で、読者の心に優しく刺さるのが魅力的。エリスの成長と自己肯定がしっかり描かれており、最後のプロポーズまでの過程に自然と感情移入できました。ミリアーナの再訪や対話も物語に厚みを加えており、“ざまぁ”ではなく“赦し”を選ぶ構成が好感触です。
断罪された侯爵令嬢と、すべてを捨てて贖罪を選んだ元王太子――舞台は王立図書館。感情ではなく「記録」や「沈黙」、「手紙」といった知の形で交わされる再生の物語は、派手なざまぁ劇や即座の溺愛展開とは一線を画し、読者に深い余韻を残す。赦しとは何か、向き合うとは何かを問いながら、二人が丁寧に築いていく“新しい関係性”は、静けさの中にこそ強さがあると教えてくれる。恋愛だけでなく、人間の変化と成長を記録として残すその構成が極めて見事で、繊細な筆致に惹き込まれる秀作。
平凡な司書のはずの主人公エルナが、王子の婚約者に瓜二つな見た目から騒動に巻き込まれ、王宮に連れ去られる異世界ラブコメ。序盤のテンポ良い会話劇から、次第に出生の秘密や“聖癒の血”といった重厚な設定へと移行し、ラストまで飽きさせない構成が見事。三人の王子や補佐官との関係性も魅力的で、エルナの芯のある成長に読後感も爽やか。恋愛と陰謀、コメディとシリアスのバランスが絶妙な良作です。
この物語は、婚約破棄によってすべてを失った侯爵令嬢リネアが、「呪い」と呼ばれた花売りとして再起し、かつて死んだはずの王子と共に腐敗した王家に立ち向かう、力強くも繊細な再生と革命の物語です。丁寧に紡がれる花の描写と、静かに芽生えていく信頼と愛情が、読者の心をやわらかく包みます。陰謀・革命・身分差・ロマンスといった要素を、美しい言葉と落ち着いた筆致でまとめ上げた完成度の高い作品であり、静かな炎のようにじわじわと熱を伝えてくる力作でした。
追放令嬢としてすべてを失ったリリスが、辺境の地で公爵と再会し、少しずつ信頼と愛情を育んでいく過程が丁寧に描かれており、読後感がとても温かい作品でした。冷徹と噂されるレイヴン公爵の誠実さや、ぶっきらぼうながら優しさを見せる描写が秀逸で、読者の心を自然と惹きつけます。ざまぁ要素も過度にならず、王都の過去を乗り越え、新たな場所で自分の価値を再発見していくリリスの姿は芯があり、魅力的でした。恋愛の進展も焦らず、静かに歩み寄っていく過程が心に残る、大人のための異世界恋愛譚です。
断断罪され、すべてを失った令嬢レナリアが、魔王の正妃として王都に帰還し、自らを貶めた者たちに正面から挑んでいく――その鮮やかな逆転劇に、読後しばらく余韻が抜けませんでした。物語全体に通底するのは、決して“仕返し”だけでは終わらない、レナリア自身の成長と再生です。エミリアとの再会、父との対話、母との涙の再会、王宮での堂々たる告発――どの場面も濃密で、無駄な描写が一切なく、感情の流れが非常に丁寧に描かれていました。 また、レグナとの関係性も秀逸。最初は“契約”だったはずの絆が、次第に本物の“愛”へと変わっていく描写がとても自然で、甘すぎず、それでいて確かなぬくもりが感じられました。特に終盤、レナリアが自らの意志で彼を「選ぶ」と宣言する場面は、読者として胸が熱くなる名シーンでした。
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