この小説を読んで一番初めに思ったのは、これぞファンタジー小説だ、ということでした。
この作品の序盤に提示されたものを一言で言うなら、それは共存であると、僕は思いました。人間との和解を望み恐怖での支配を嫌う魔王。たいして、主人公をいじめるヒステリー姉、人間に怒りを募らせ翻意を抱く魔族たち。魔王の望みとは裏腹に血気盛んな彼らの存在が共存の難しさを物語っているわけです。
その中で、若いアリサは何を思うのか。魔王から「視野を広げろ」と言われたことで今後、さらなる展開があるだろうこと、そしてアリサ自身が新たな学びを得るだろうことが予見されます。