レビューした作品一覧全2件
この世にライトノベルの名作数あれど、 それを楽しむ読者の数もまた大勢あれど、 たった一冊!  どんな名作にも、どんな読者にも、一冊しかない特別がある。 それは、一番『最初』の一冊である。 どんな人生でも一回こっきりの一冊、 それが自分にとって、この安井健太郎先生の『ラグナロク』である! 圧倒的な筆致で描かれる、弩級のアクションとダークな世界観! タフでひねくれた登場人物たちの軽妙な掛け合いと、 北欧神話を下敷きにした読む人間の心を掴んで離さない謎の数々! また、この心震わせる謎と感動を目にできるとは思わなかった。 自分がライトノベルを読み始めた切っ掛けであり、 小説を書き始めた切っ掛けでもある、マイベストライトノベル。 リロイとラグナロク、二人の旅路の果てを見たい! みんなも見てほしい!  あとジェイス! ジェイス! とにかくジェイス!
レビュー作品 ラグナロク
作品情報
金貨五枚払って読む価値がある!
投稿日:2012年11月14日
 『復讐』はなにも生み出さない。  『復讐』によって始まるものはない。殺されたものも、『復讐』など望んでいない。  使い古された『復讐』への反論だが、この物語を読んだ自分はあえてこう答えたい。  『復讐』はなにも生み出さない。だが、それを果たさなければ終わらない。次の一歩が踏み出せない。  『復讐』とは、奪われた命に対するけじめなのである。  この物語の主人公スタイアは、金貨五枚で仇討の仕事を請け負う仕事人である。  重厚な世界観、そこを舞台に血の通う生きた人々が、血を流して死んでいく無常感。  巧みで魅力的な台詞に、洗練された描写。  ハイファンタジーにして極上のダークファンタジーがここにある。  グロウリィドーンに鐘が鳴り響く夜、褐色の幽霊が金貨五枚で人を斬る。 ――まんず、まず、読みに行こうか――