レビューした作品一覧全18件
 まず文章が非常に読みやすいです。読みながら「?」と読む目が止まることがありませんでした。雑でもなく、説明くさくもない文章ですが丁寧に描写されているので場面のイメージが掴みやすいです。  私は普段2500文字くらいの短編を好んで読んでますが、この作品の14000文字は全く長いと感じませんでした。それだけ作品の世界に没頭出来たのだと思います。  ストーリーに関して、ここでアレコレ語るのは野暮な気がします。ぜひ御自身の目で確認して頂きたいです。  一人でも多くの方に、この物語を知って頂きたいと願います。
闇の先に彼が見たものは
投稿日:2025年4月23日
 淡々と静かな文章で描かれた物語です。しかし「冷めた文章」ではありません。  作者様が、この作品の世界のキャラクターたちを大切に思っているのが伝わってくる文章です。  暖かく優しく見守っている。  ――すごく冷静に。  ストーリーについて全く触れていませんが、非常に短い物語です。  実際に読んで、楽しんでいただけたらいいな、と思います。  タイトルの優しさが、作者様の優しさと共に降ってきます。  オススメです。
 タイトルにもありますが「カワイイ」に中毒性を感じている女の子と、その女の子に出会った男の子の物語です。  一万文字もない短い物語なので内容を解説するような野暮なことはしたくありませんが、まあとにかくカワイイです。  特にラストシーンがすごく可愛く、優しいです。  文章は分かりやすく会話のテンポもよいので、スムーズにその場面をイメージしながら読むことが出来る作品です。  前述しましたが短い物語です。一度手にとってみてはどうでしょうか?  おすすめです。
 分かりやすい文章で物語の世界に入り込んでいきました。序盤の戦闘シーンからのスピーディーな展開が心地よく、カッコよく一気に読めてしまいます。  技術が進み続ける今、この物語を「完全なフィクション」として読めませんでした。    6000文字の短い物語です。この物語の終着点、「タイトルに込められた意味」を一度みてみませんか? おすすめします。
レビュー作品 プレゼント
作品情報
人生の機微に触れる物語
投稿日:2025年2月24日
 空へ顔を向ける者、地面へ顔を向ける者  このような表現がある場合、「空へ顔を向けるのは前向きな考え」で「地面へ顔を向けるのは後ろ向きな考え」であることが多いですね。  しかし、本作では違います。  出会った猫に少しずつ変化が現れるように、人間にも少しずつ変化が現れます。  その過程が優しく丁寧に描かれています。  読後、静かに笑顔になれる物語でした。おすすめします。
とにかく好きです
投稿日:2024年11月17日
 女性が男性のためにお弁当を頑張って作る物語です。  とても短い物語なので、内容について私がアレコレ言うのは必要ないかと思います。  人の気持ちが残酷にも丁寧に描かれている作品です。  この作品の読後感を一つの単語であらわすのは難しいのですが、私はとにかくこの物語が好きです。  あっという間に読めてしまうのに、心に残る感情はとても強く、大きなものだと思います。  一度、手に取ってみてはいかがでしょうか?
 この作品の作者である森野ふうらさんは主に、というよりほとんどホラー短編を書いている方です。  ホラーなので「怖い」という感想になるのが一番普通かと思いますが、この方が書く作品は「気色悪い」という感想に私はなります。  本作は約5000文字の短編で読むのに時間は大して掛かりません。しかし、読後に残される感情の処理には時間が掛かりました。  この「気色悪さ」は登場人物の誰に由来するのか? AさんとSさん? Rさん? Rさんの娘? それともやはりアイツか……?  多分、読む方次第でその答えは変わるのだと思います。  一体、誰が気色悪いのか? 誰のせいでこの作品はこんなに気色悪いのか?  皆様、一度読んでみませんか?  血しぶきが飛び散ったり、幽霊が人を呪い殺しまくるホラーとは違う「ホラー」だと思います。
レビュー作品 ケージ
作品情報
「隙」がない作品です
投稿日:2024年6月7日
 いつもこの方の作品を読んで感じますが、文章、展開ともに「ガチッ」としていて「隙」がないです。説得力があります。  情景、人物が丁寧に丁寧に描かれていてシーンが映像のように理解出来ます。  人物の外見だけではなく内面の、美しさ、優しさ、厳しさ、醜さも伝わってきます(ちょっとした悪戯心も)。  「ガチッ」と表現しましたが、決して堅苦しい文章ではなく、しなやかでミントのような爽やかさも持っている文章、展開です。  くわしい内容はネタバレを避けるためにも言及しませんが、一万文字の短編です。一度、手に取ってみてはいかがでしょうか?  ファンタジーが好きな方だけではなく、ヒューマンドラマが好きな方へもお勧めします。
 この作品は非常に短いです。650文字くらいしかありません。あっと言う間に読めてしまいます。  ストーリーもほぼタイトル通りです。  ただもう、主人公の女性がスゴくいいんです。私は彼女が大好きです。  いちいちかっこよく、可愛らしいです。そして清々しい女性です。読み終わったとき、気持ちがスゥッとしました。ラストの彼女の一言が非常に効いていると思います。  前述しましたが、短い物語です。一度、手に取ってみてはいかがでしょうか?
 「一番大切にしたい人」は誰なのか?  「一番大切にしてくれている人」は誰なのか?  それを本人が一番わかっていない事って、ありますよね。  この物語の主人公は、ある事がキッカケで「一番大切」に気付きます。  優しく、丁寧な文章で描かれた恋の物語です。    文字数は少ないですが、文字数など無意味に感じる満足感を私は得ました。  一度、読んでみませんか?
 この物語、若い学生同士のイチャイチャした恋愛ではないんですよね。大人の恋愛を感じます。  タイトルの「ズル」とは何をあらわすのか? 冒頭の男の言葉の真意は? などももちろん好みですが、私はこの物語の二人から感じる物悲しさ、寂しさがすごく好みです。  ネタバレ避けるためにも色々書けませんが、短い物語です。一度、読んでみませんか?
レビュー作品 ズル
作品情報
完成度が物凄く高いです
投稿日:2023年11月23日
 二人の女性の関係性の変化を描いている物語です。    心理描写を含めたキャラクターの描写、文章の丁寧さ、上品さなど素晴らしいです。小説を読んでいて、「キャラクターの言動」に違和感を覚えてしまうと物語の世界から現実世界へ意識が戻ってしまいますが、この作品では一切そんな事ありませんでした。  作者様が、思い描いたラストシーンへ向けて、急くことなく1シーン1シーンを丁寧に描いているからだと思いました。  読み終えたとき、非常に爽やかな余韻がありました。  2万九千文字完結済み短編です。オススメします。
レビュー作品 令嬢 VS 聖女
作品情報
 静かな物語です。
投稿日:2023年9月24日
 この物語では殺人などの大事件は起きません。失恋や、携帯電話の紛失などの小さな事件さえ起きません。  静かな日常のひとコマを丁寧で、どこか優しい文章で描いています。  読み終わったあとに湧く感情は人それぞれですが、私は「この物語を読んで良かった」と思いました。  450文字もない短い物語です。一度読んでみてはいかがでしょうか。  私と同じ様な気持ちになる方もいらっしゃるかも知れません。  
レビュー作品 夏の終わり
作品情報
  ネタバレ回避のため、内容には詳しく触れませんが、私はこの作品を美しいと思いました。  文章、表現  各登場人物たちの感情  ラストシーンの光景を、第三者として見たときの静かさと、その人物の心の中の激しさのギャップ  全て、美しいと感じました。文章が分かりやすく、各場面をイメージしやすいのも素晴らしいと思います。私はこの作品が大好きです。  オススメの作品です。
 この作品の人物たちはリアリティがあります。  文章に使う言葉としては不適切だと思いますが「質実剛健」なカッチリした文章で、丁寧に丁寧に描写された人物たちは行動、思考共に一貫性があり、「?」と読む手が止まるようなことがありません。  ネタバレを避ける為にも詳しく書けませんが、「主人公の周りで人達が盛り上がっていて、主人公がウンザリしている」シーンから始まります。その感覚が非常にスムーズに入ってきました。周りがガヤガヤ、勝手なことを言っていて「早く帰りたい」です。この文章のクオリティが最後までしっかり続きます。  ストーリーも私は読み進めながら「○○が☓☓して●●で終わるのかな」と想像していたのですが、見事に裏切られました。(もちろんいい意味で)  時代設定などで、「とっつきにくそう」と敬遠するのはもったいない作品だと思います。総文字数3万以下ですし、一度読んでみませんか?
レビュー作品 パラノイア
作品情報
 それほど時間もかからずに読めてしまう短編です。  私は内容の重さと、文字数は比例しないと考えてます。短い作品ですが私には重く響きました。    この作品で描かれている世界は、「実際にありそうな世界」です。隣町で自分が知らないうちに、こんな事が起きていても不思議じゃないです。  ほとんど作品の内容に触れないレビューですが(ネタバレも避けたいです)、最初に書いた様に短い物語です。まず読んでみませんか?  小説を書いていて「大切な物」を手離しそうになっている人にこそ、私は読んで欲しいです。
 まず、はっきり言っておきたいですが  「この物語と似た設定、シチュエーションの物語はあります」  では、何故この物語を皆さまにお薦めしたいのか?はい、とにかく文章が美しいと思ったからです。  タイトルにも書きましたが、淡々と話が展開し、私は詩を読んでいる様な感覚になりました。しかし、ここが好きなんですが、全くフワフワしてないんです。突然、花とか月とかに例えて、読者をおいてけぼりにするような、悪く言えば「作者の自己満足」みたいな文章は一切ありません。  作者の感情は表に出さず、大袈裟な形容詞も使わず、写真を撮ったり、動画を撮ったりする様に場面を描いてます。私には書けない、と思いました。  ストーリーについてはネタバレも避けたいので、触れませんが短い物語なので、まず読んで頂けたら私としては嬉しいです。  
レビュー作品 駅で待つ者
作品情報
切なく、静かに怖い
投稿日:2022年9月12日
 この作家さんの作品は何作も読ませて頂いてますが私はこの物語が一番好きです。(もちろん他の作品も好きです。)  私は怖い話、不思議な話には起承転結の「結」はそこまでハッキリしなくてもいいと思ってます。推理小説だと許せませんが。  その点、この作家さんの作品はいい意味でボンヤリとした終わり方が多いです。説明くさくなく、押し付けがましくなく終わります。  また私は小説を読むとき映画のように頭で映像に浮かべながら読みますが描写が分かりやすく想像しやすいです。  全然、物語の内容に触れてませんが2分くらいで読めてしまうので「とりあえず読んでみませんか?」と言いたいです。(ネタバレも避けたいですし)  切ない話ですがゾワリとするシーンもありちゃんとホラーだと思います。(血しぶきや内蔵が飛び散るホラーではありません。)  静かな静かなホラーです。私はお薦めします。
レビュー作品 新春
作品情報