レビューした作品一覧全13件
 突然、未来人が来て実験に選ばれた。能力を授けると一方的に言われた挙句、特殊能力は【何も無し】と告げられたら。  実験が殺し合いと知り、生き残れるだろうか。  主人公、小夜子は幼なじみ恵梨香を愛し『女神』と信じ惚れ込んでいた。『女神』を「えりちゃん」と呼びセクハラするが、「さっちゃんのエロすけ」とかわす。笑顔で。  過酷な実験を、女神と過ごすため生き抜こうと奮闘。対戦相手は特殊能力を持ち、生き残るのはとてつもなく大変。が、ある日を境に『勝ち続ける』と誓う。  特殊能力を前に、必ず仕留めると己を奮い立たせる。どんな困難を目の前にしても、特殊能力を持たず向かい続けていく。  最後の試合、まさかの展開に私は狼狽。小夜子の気持ちを知るのは、無理だ。  絶望からの狂気と狂喜が素晴らしく、清々しい。  鈍器で殴られたような、刃物で切り付けられたような、突き刺されたような感覚を味わえる極上作品。
  流浪となった青年は、ある少女を助けた。だが、この少女を助けてしまったばかりに、青年は振り回される。『モモロン』など、奇妙な名前までつけられて。  けれど、『モモロン』という名前には、少女のある思いが込められていた?  なるべく目立たず、人関係を希薄に済ませたいと思う青年。だが、本人の意とは反比例に人を寄せ付けてしまう。結果、頼られる存在に。  仲間と呼べる存在ができて、親友と呼ばれる人たちに囲まれて……さあ、どうする? 『モモロン』!  華麗なツッコミが散らばりながら、国同士の思惑が織り交じっていくハイファンタジー。少女が他国から求婚を迫られたとき、『モモロン』の過去も扉が開く。 『モモロン』が語る、これまで話さなかった過去とは?  流浪となったはずの彼は、どうするのか。 「呆れる程モモロンじゃのう」  奇天烈な性格の少女は言う。理解されないその言葉に、秘めた思いは──。
レビュー作品 モモロン
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石言葉と花言葉をモチーフに、宝石を擬人化したファンタジーの世界。 物語は『石人』と呼ばれる特殊な能力を宿した人々が暮らす世界から始まります。 各章は独立しているので、読みやすく世界にも入り込みやすいです。 人魚や妖精も登場するので、ファンタジーな世界が大好きな人にお勧めしたくなる作品です。 物語の途中で辛いこともありますが、それらは最終章への布石。 最後まで読めば、『この物語を読めてよかった!』と思うことでしょう。 キラキラと輝く宝石たち。 ハラハラドキドキしながら、それぞれの愛の形を結末まで見届けて下さい。
レビュー作品 貴石奇譚
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この話の要は、村に『夜這い』という風習があること。 ……。 夜這いです。 夜這い。 間違いではありません。 疑うなら、読んでみて下さい。 どんな村だと気になったなら、読んでみて下さい。 『夜這い』という風習がある村の話なのに、とっても純愛なんです。 もう、ジレジレです。 なかなか結ばれてくれません。 読んでいて、恋を応援したくなるふたりなんです! そして、このお話は短編ですが、シリーズものです。 そちらにも、『夜這い』風習のある村の話は出てきます。 私は、この風習にドハマリしました。 このシリーズにもドハマリしました。シリーズ読み漁りです。 うわ~! なにこれ、すっごい好き! 好きすぎる! なにが言いたいかというと、このシリーズは『読めば読むほどハマっていく』ということです。 しかも、多分、どの作品から読んでも楽しめます! 最後に一言。 「このシリーズ、最高!」
クスリと笑え、一話完結。 読みやすい、だけでなく。一話毎に心に何かを残してくれる作品。 主人公は生まれながらに東京に閉じ込められてしまった『東京悪魔』。 吸血鬼の手伝いをしてたり、友人と口喧嘩して負けを認めたり、人間を激励したり。とにかく、人間臭い。 他にも天使が悪魔と契約を交わすとか、その後、悪魔が天使とメル友になるとか。 どうなっていくんだ、この作品! と、また読みたくなり。 ある人に出会い更に『人間らしく』なっていきます。続きが気になり止まりません。 物語が急激に変わっていくのは後半。 『東京人間模様編』は多少前後に絡むことはあっても一話完結。ですが、『東京大魔境編』ではある問題を解決するため、連続した物語でもあります。 それまでになかった出逢いにより、心の成長を大きく遂げます。 私は前半でも色々と心に響くものを感じていましたが、後半では、もっと大きなものを感じました。
レビュー作品 東京悪魔
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とにかくキャラがかわいい! 獣人で耳としっぽがふわふわ。もう、外見からしてかわいい! 個性も魅力的! 主人公はいじめられた本人をも助けてしまう子。 他は僕っ娘? な、こわがりさん。 やさしい美人さんと、助けてくれる美男子も! それから、なんといっても! この作者様ならではの輝きが! 見事な伏線と回収、アニメを見ているかのような情景の描写、ドキドキハラハラな展開での構成……。 世界は、ある属性の魔法を使う者には御達しがきて、王都アマデトワールに強制的に連行されてしまい、一生軟禁されると言われる世界。 16歳になると王都から試験官が来て、魔力検診が行われます。 主人公は魔法属性をバレないよう、なんとか試験を逃げ切ろうと。でも、事件が起きて……。 繰り広げられるストーリーの裏に、練り込まれている物語も。 表裏一体になったとき、どう展開していくのかとワクワクし夢中になります。
戦により家族を失い、翻弄される姫と忍の旅物語。 姫は戦により多くの傷を負っています。体にも、心にも。 その傷を癒そうと手を差し伸べる人々。心あたたかな繋がりが物語りを紡いでいきます。 きっと、主人公を応援したくなります。幸せになってほしいと願うでしょう。 丁寧な口調と、時に厳しく。時に大人しく話す姫。自分に厳しく、他人のために立ち上がる姿は凛々しくもあり、儚げでもあり。 あと、読んでいてハラハラドキドキが止まらなくなるはずです。 『序章』を伏線とした、物語の展開。 徐々に伏線のひき方と回収が巧みだと気づき、もう夢中になるでしょう。 上記に加え、所々に散らばる漢詩や和歌、花の名前や花言葉、また、それを感じさせる美しい描写。 この美しい世界を是非、堪能してほしいです。 そして、クライマックス。 「もう、どうなっていくんだよ!」 そう叫びたくなるような展開が待っています。
作品を読み終わったとき、私はこう思った。 「この作品のジャンルは『ワルツ』だ!」 もはや新ジャンル。 この作品は地の文がすこし変わっていて、慣れるまでは読みにくいかもしれない。しかし、それこそがこの作品の最大の魅力と私は思っている。 慣れてくるとこの文体がクセになってくる。キャラクターにぐっと近寄らせてくれる。気づけば、この世界から抜け出せなくなる。 大筋はあらすじにあるように『王道の恋愛小説』。 けれど、登場人物が個性あふれていて。 例えば、 地位はあるけれど、決して人徳があるとは言えない奇人変人のマッドサイエンティスト。 年頃だけれど、独自の世界の中にいるおロリな少女。 そんなふたりとは対極の世界で育ったスラムの王。 個性的な登場人物が綴られる物語はまさに『ワルツ』! 本編を楽しんだ後は外伝や漫画も楽しめる! 虜になる作品を探している方に是非ともお勧めしたい一作です。
「猫カワイイ!」
投稿日:2018年1月12日 改稿日:2018年1月12日
洗脳の言葉ではありません。 魔法の言葉でもありません。 猫が好きなら、同意してしまう言葉です。 猫は好きですか? もし、好きなら、どう表現しますか? この作品を拝読して、私は「こうだ」と思いました。 好きなものを好きだと伝えるのは、何気に難しいものです。 この作品は、それが簡単に伝わってきます。 もう一度、聞きます。 猫は好きですか? 猫が好きなら、是非、読んで下さい。 そして、こう思うでしょう。 「猫カワイイ!」
褒めて欲しかった。 ただ、それだけだった。 お父さんも お母さんも 実験に夢中で。 だけど──。 だから、あの日全てを──叩き壊した。 遺伝子研究の献体。 感情の波で直ぐに発火を起こしてしまう。 問題は起こしたくない。 孤独でいいの。 心のなかを空っぽにして。 でも、今回の転校先は不思議。 今までとは違う。 不思議な存在と云えば水原爽くん。 あなたは──。 道具で。 バケモノで。 それでも、必死にもがいてる。 差し出された手を掴むのは戸惑うけれど、 掴んだのなら、今度は──。 私たちは、 傷つけたり、想ったり、身勝手で、そして忙しくて。 でも、笑い合えれば。 ────行こう? 手を伸ばし合えれば、 握り合えば。 あなたは笑ってくれる。 高校生は、 恋に、サイキックに、友情に、 兎に角忙しい!!
弟は明るくて人気者だ。 それに比べ、僕は──。 僕は家族に迷惑を掛けている。 いつか、それは重荷に変わるのではないだろうか──。 弟は優しい。 だけど、僕の事を本当は──恐くて僕は弟に何も言えない。 そんなある日、古木に雷が落ちた。 僕は、怪奇現象に遭遇する日々が始まった。 家族には相談が出来ない。 もし、見放されでもしたら──。 彼の名は一上康一(いちがみこういち)。 中学最後の夏休み。 彼は怪奇現象が起こった事に因って自分と、家族と向き合っていく。 戦い抜いた先に居る、彼の姿は──。 久し振りに魅せる作品と出会えました。 風景も心理が丁寧で読みやすく、また、ホラーらしく怖くもある作品です。読みたいけど、怖くて先に進みたくない気持ちにもなりました。 康一の成長と、家族との関係変化を最後まで見届けて欲しいなと思います。 一人でも多くの方に読んで欲しい一作です。
両親の死を受け入れられず、うさぎの世話だけの為に生きていたような妹。 そのうさぎがある日、死んでしまった。 そこから話は始まる。 その日、兄の決意は引きこもりだった妹に伝わるのか。 この夏の旅で妹は―― うさぎの死をもって両親の死を受け止め、乗り越えていこうとする兄と妹。 二人の姿を是非、読んで頂きたいと思う。
場所にも思い出がある。 記憶がある。 繋がってきたものがある。 老婦には老婦の紡いできたものがある。 老婦には孫が居た。 そう、可愛い孫が。 孫は少年となって、 ある夢を楽しそうに話していた。 此処にもまた、夢を持つ一人の青年が居る。 夢を追ってひた走ってきた青年。 ただ、夢を掴むために居た筈なのに。 青年と少年の人生は此処で絡まり始めてしまう。 そして、それは老婦とも。 ひとつの大切な場所。 老婦の、少年の、そして……。 青年の人生が此処に絡まり落ちた事が、 幸か不幸か……それは青年が決める事だ。 「蜃気楼《かいやぐら》」 願わくば、 此処があなたにとっても大切な場所となりますように。 ※この作品「夢わたり その伍」からよりも、「夢わたり」から読み始める事をお勧めします。