レビューした作品一覧全36件
シンデレラストーリー。その先に、確かな未来への希望がある。
投稿日:2023年9月10日 改稿日:2023年9月10日
この物語は、農村育ちの下級貴族であるヒロインが偶然出会った公爵令息との婚約を機に貴族社会を登り詰め結ばれるシンデレラストーリー。 異世界の貴族社会が舞台。経験則と持ち前のがんばりで領地経営をこなしていくヒロイン、ノブレス・オブリージュの道徳観を背景に貴族の義務が魔力の奉納・オリジナル戦記ありという展開は、他者の著作で「本好きの下剋上」に似た世界観の作品で、その系統の領地経営物語や異世界物作り系が好みの読者には、特におすすめの作品かと思われます。 中でも子供が生まれてくる点は未来への希望を感じさせます。 経営・物作り系の作品群は、数百話時には千話超という長大な作品も多く、これから読み始めるには取っつきにくい場合もあるのですが、この作品はその点でも適度な量で読み切れて満足感が得られる点もポイント高い。 現時点で回収されていないフラグや要素があり、続編が出る可能性は秘めているのかも
この物語は、乙女ゲームの悪役令嬢に転生した主人公が運命を変えるべく奮闘しつつ、幸せをつかむラブロマンス。 と書いてしまえば、もはや、なろうでは語り尽くされた感のある、ありふれたネタのはず・・が、作者が違うとこうも変わるのか。特に育成という概念を持ち込んだのは特筆に値すると思います。想像ですが、ナーロッパという、ご都合主義で出来た世界ながらも、貴族社会というものを正面から描いてみたいという作者の思いを感じました。 また、物語の構成としてもイベントのウエイトバランスが良く軽快で、さらに文章が読みやすいのも好感度が高い。これは作家の力でしょうか、そういう相乗効果で物語の世界に入り込みやすく、自然と登場人物に感情移入してしまう。読後感の良い物語でした。 このような素晴らしい作品に出会えた幸運と、 これを生み出した作家の方に感謝を。 これからのご活躍をお祈りします。
この物語は、異世界転生者が知識チートを用いて領地経営に成功していく英雄譚。 と言ってしまうと、なろう系小説としてはありふれた物のように思えてしまいますが。内容・展開共にとてもおもしろく。地の文が多めで世界観の説明が丁寧になされていて、物語に入り込みやすくなっています。 ところで、タイトルにある「おかしな」は、実際問題何を指しているのでしょうか、 ・お菓子作りの「おかし」 ・楽しい・微笑ましい・おもしろいの「おかしい」 ・普通と違う、常識外れの「おかしい」 ・予定が狂う外れてしまう「おかしい」 ・ ・ など、日本人が「おかしい」と言葉にする意味は様々でありますが、この物語は、このような多くの「おかしい」を含んであり。つまり色んな「おかしい」を楽しむ物語なのかな。と、そういう気がします。
レビュー作品 おかしな転生
作品情報
この物語は、タイムリープを経て愛を深めていく王子と聖女のラブロマンス。 物語の展開としては、定番の追放・ざまぁ・溺愛というお話なのですが、通常冒頭にあるはずの婚約破棄がこの物語にはありません。登場人物の立ち位置がはっきりするので、あればあったで安心のですが、アレはなくても物語は成立することを証明して見せたストーリー展開は見事でした。 文章が読みやすく、物語にはいっていきやすいので、感情移入がスムーズでした、欲を言うと、最後らへんでもうすこし胸がキュンとくるような一言が欲しかった、みたいなのはあるのですが、このお話では、そのあたりからあとは、余韻として楽しむのも有りなのかもしれない。 毎回素晴らしい作品を発表なさっている作家の方に感謝を。 これからのご活躍をお祈りします。
転生とは、変身でもあるのか
投稿日:2023年4月5日
この作品は、転生したヒロインが、まわりを巻き込みながら無自覚に善行を繰り広げていくホームドラマ。異世界恋愛カテの場合もう少しロマンスが進むのですが、この物語ではゴールまでいってないのでラブロマンスといえるかどうかは不明ですw 一般的に言いますと、転生は多分に知識チートによるネタが含まれる事が多いため、大人が子供に転生すると言うシチュエーションで描かれる場合がほとんどなのですが、この物語は逆で、見掛けよりも中味は子供という点がポイントになるのかなと思います。そこに大きな年齢差が無い事が違和感を軽減しているという良い塩梅なのかも。 たしかに、人生の途中で前世の記憶を取り戻した人を、まわりから見ると、変身したかのように見えると思います。そのあたりの描写がコミカルに描かれていて、とてもおもしろい物語でした。 素晴らしい作品に出会えた幸運と作家の方に感謝を。 これからのご活躍をお祈りします。
聖女伝説のはじまり。ローファンタジーの面白さを垣間見た秀作
投稿日:2023年3月21日 改稿日:2023年3月21日
この物語には、タイトルにもあらすじにも文中にも登場しないある重要なワードが隠されている。そう、これは、現代社会で覚醒した「聖女」の伝説である。 ストーリー展開として、よくある聖女の物語では、序盤で要人を救う展開からはじまるのが鉄板ですが、この物語では会社の上司の無茶振りから始まり、最終的に要人を救い薬師として成功する。現代風聖女の形に収まるような逆順の展開となっています。 が、逆順というか、これは恐らく、はじまりと考えてもいいのかも知れません。明らかにこの物語は、国家レベル、世界レベルさらに、異世界へと活躍の場が移っていく素材でありまして、今後の展開が楽しみな作品だと思われます。(あ、希望的観測を含みますw) 短い時間でしたが、読んでみてとても爽快でした。 素晴らしい作品と、それを生み出した作家に感謝を。
この物語は、持ち前の技術力で魔道具業界で成功を収めるヒロインが、貴族に嫁ぐまでのサクセスストーリー。 異世界物作り系で主人公が魔力を使わず技術者として立身出世する物語は、そう多くないのでユニークだと思いました。そのような作品はやはり良作が多いです。 また、ストーリー仕立ての特徴として、極端な後出しが少なく、サクセスストーり-・ラブロマンス共に、積み上げられていく過程の先に結果が有ります。こうなるとサプライズは少なくドラマティックな展開にはなりにくいのですが、一方で納得感のような物が上がりストーリーに集中出来て物語に入り込みやすいというメリットもあり、内容にマッチしたスタイルだと思いました。 婚約破棄には、ざまぁ+溺愛がセットでついてくる昨今でありますが、復讐よりも因果応報で有り、個人的に好み、溺愛は軽めでした。
この物語は、王座をめぐる政権闘争を繰り広げながら、夫婦愛を育んでいくラブロマンス。 余命わづかな伴侶を癒やすと言う物語には良作が多く、恐らく作者として力が入るのでオリジナリティーという点で設定には苦労するのではないかと勝手に想像します。異世界恋愛カテゴリでは、その多くが聖女の物語として語られる場合が多いと思います。それはそれで劇的ではあるのですが、この物語は敢えてそのチート能力的な設定を封印し、ヒロインの経験則と、まわりの人材を使って、自らの願いを実現していくと言う意欲作であり、現実的な解法に納得感が伴うため物語に引き込まれやすい事が、魅力につながっていると思われます。 他の例に漏れずこの作品も良作でありました。これだけの作品に出会えた幸運と作者に感謝を。
この作品は、異国から嫁いだヒロインが夫婦愛を育んでいく、ラブロマンス。 筋書きとしましては、知識チート系の物作り成功譚をベースに強大な魔力有りという、なろうでは一般的には異世界転生/転移の聖女として描かれるヒロインの物語に良くある設定ですが。いってみれば、同類のお話は枚挙にいとまが無いのは、もう皆さんご存じの通り、昨今異世界恋愛物がプチトレンド傾向でもあります。溺愛物も。 と言う激戦区の中にあって、この作品が異彩を放つのは、ストーリーを組み立てる、文章を綴るという、人間の能力、つまり、作家の力なのだろうと思います。読み手との相性もあるのだろうか、読みやすく物語に入りこみやすい。また言葉選びが素晴らしく、この作品の1章のラストなどは、ホント無自覚に涙が出ていました。素晴らしい作品と作家に出会った幸運に感謝を。 これからのご活躍をお祈りします。
この物語は、孤児であるヒロインが貴族に嫁ぐまでのサクセスストーリー。 お話は至ってシンプル。こう言う物語をいくつか読んでいると、2~4話の時点で結末までほとんど想像できてしまう訳ですが、敢えてそこを外さずに、読者が望むものをストレートに与えてくださった、作者に感謝を。 ちなみに、最初に追放等があると、ざまぁは描きやすいはずですが、そこを避けてヒロインの努力一本に絞ったのもわかりやすくて良かったです。
何も無いが有る。と言うことについて
投稿日:2023年2月8日 改稿日:2023年2月8日
この物語は、タイトル=あらすじであるラブロマンス。 私たち読者は婚約破棄の物語に何を求めているのかというと勧善懲悪だと思う。しかし、なにも最初に追放されなくても、努力が報われるシンデレラストーリーは十分に組立てることが可能なのに、なぜあえてそうするのかというと、思うにたぶんそれは、道徳という物を失いつつある現代社会を表現しているのだろう。疲れ切った社会に我々が求めている物、それは、ざまぁやロマンスで表現される癒やしである。 努力して報われる勝者の人生がある、しかし、一度敗者となっても復活できる社会、我々は、それを求めているのだろうと思う。 作者には大変失礼だが、この作品には、タイトル以外のことは何もなかった、しかし、その何もなかった作品がここにある、この作品は文章が読みやすくシンプルが故に「これはなんであるのか」いろいろな余談を考える余地があった。そういう作品と出会った幸運に感謝を。
この物語は、異世界転生で物語の中の世界に転生したヒロインが、物語のストーリーと格闘しながら自分の恋に目覚めていくラブロマンス。 物語やゲームの脇役に転生する。というシチュエーションのお話は、なろう系の小説としても、珍しくは無いかと思いますが。その際、ありがちなのは、モブキャラから主役を凌駕する力に覚醒してヒーローになるという劇的なストーリーがおおいかとおもいます。しかし、この作品ではその王道展開を捨て、脇役が主人公と対峙し、脇役としての人生を確立するまでが描かれており、ストーリー展開の新鮮味がありました。 世界観の描写が丁寧で、下手にドタバタしたりなどの幼稚な展開も無く、ストーリー的に入り込みやすかった。 文字数が足りないので、考察については、70話の感想へつづく・・・
この物語には、紹介にもタイトルにも文中にも登場しない、おそらくは意図的に排除されている単語がある。スローライフ。 それは、ゴールデンウィークに一週間ゆっくり休むことでも無ければ、仕事をリタイヤして隠居生活を送ることでも無い。スローライフというライフスタイルがあるのだ、それは同時に人の心を癒やし、生き方を整え、その人本来の姿を取り戻すことが出来るのだろう。この物語は、そう言う事を訴えているように思える。 なろう系としては定番の、追放、ざまぁ、溺愛、物作りでの成功、という一通りの鉄板ネタを並べているように見えるが、これは作者の力量だろう、ジワジワと物語に引き込まれていく、魅力のある作品だった。
この物語は、徹底的にざまぁが展開される。 ざまぁのなかで、積極的に反撃するのは復讐だが、この物語は復讐劇と言うには少し毛色が違う気がする。またオーソドックスなざまぁは必然的な結果として因果応報が訪れ敵が自滅し没落を迎えるパターンであるが、この作品は、復讐もしてるんだが、どちらかというと後者よりなのかな?と分析する。 であるが、いずれにしても簡単な話ざまぁである、しかも、物語の大半がざまぁで占められる、このボリューム感はざまぁ好きには特に応えられない作品となるだろう。 勧善懲悪に浸るも良し、爽快感を得るのも良し、癒やされるのも又アリ。作品の文字数も比較的少なめ、気軽に読み通せ文章も読みやすかったです
この物語は、婚約破棄されたヒロインが、嫁ぎ先の夫の難病を克服しながら、夫婦愛を育んでいくラブロマンス。 そう、こう書いてしまえば、元も子もないが非常にありふれた物語だ。この作品はその形を外さずまじめに取り組んでいるがために、期待通りの予定調和に安心感と共に、じわりとくる癒やしを読者に与えてくれる。しいて言うとヒロイン側が溺愛するという点はこの作品の特徴か。 あえていう、日本人は様式美が好きだ。全く同じ展開のTVドラマを何十年も見続けることが出来る民族だ。そう、王道ざまぁの様式美はここにある。形を保ちつつ読者を飽きさせることがないのは作者の力量だろう。こう言う形をきちんと残してくれた作者に感謝を。
この物語は、虐待の上婚約破棄されたヒロインが、偶然であった無敵の商人と恋に落ち夫婦愛を育みながら、自身のトラウマを克服しハッピーエンドを迎えるラブロマンス。 現代社会のリアルでは絶滅寸前であろう溺愛もののロマンスは、もう小説の中にしか無いのだと思う。ナノで人は小説にそれを求め涙し楽しみ癒やされる。コミックやアニメとは違う、人間の脳の中で都合良く展開される情景に酔うことが出来る物語、そう言う作品を提供してくれる作者に感謝を。 適度に配置された定番ネタの、貴族社会、ざまぁ、溺愛、王族との絡み、神がかりのチート能力、商品開発、聖女伝説、この物語は恋愛に対して無自覚では無く過去のトラウマという形で、展開の速度が調整されているがバランスが良く読みやすく。物語に入り込みやすかったと思います。
この物語は、仮初めの契約結婚から恋愛へと開花し、夫のトラウマをヒロインのサポートで克服しつつ、夫婦愛を育んでいくラブロマンス。 ヒロイン追放気味の流れから、微ざまぁまでは定番の展開ともいえますが。丁寧に描写されたひとつのラブストーリーは、読み人に癒やしを与えてくれるようでした。物語の展開や設定に無理が無くすんなりと入っていける点は作者の表現力の高さがうかがえます。良い物語でした。
この無駄にハイスペックな設定は、何を意味するのだろうか
投稿日:2023年1月5日 改稿日:2023年1月5日
この物語は、婚約破棄されたヒロインが、過去を清算し、人生のやり直しをしながら、(たぶん)夫婦愛を育んでいくラブロマンス。 ストーリーの背景設定の後出し感はあるものの、物作りに関しては、積み上げていく技術の上に成り立っており、納得感があり、展開がスムーズで読みやすく、物語の筋もなかなかおもしろく魅力ある作品です。 レビュー時点では32話で、完結フラグが立っておりますが、明らかに、話の途中で終っている感MAXでありますので、今後の展開が有るのか?ないのか?楽しみです。 なにしろ、この設定ですと、作者によって世界規模の領地経営まであり得る物語の舞台ですので
この物語は、偶然婚約する事になったヒロインが、無自覚な献身で夫の呪いを解呪し、夫婦愛を育んでいくラブロマンス。 この作品は、おそらくアニメ化などには向かないのかも知れない、人間の想像力によってその面白みが膨らむ、不思議な物語である。ドタバタやざまぁ要素は満載だが、作者の表現力によって、そういうものにありがちな幼稚な感じがなく、読んでておもしろく爽快でもある。 今年の読み納めに良い作品にであった。ありがとう
この物語は、運命的な出会いで婚約者を得たヒロインが、そのパートナーを瀕死の重病から救い、さらに夫婦愛を育んでいく、ある聖女の物語。 無自覚な聖女、溺愛、ざまぁ展開の組合わせで、おおむね、予定調和と言ってしまえば、それまでの話ではあるのですが、そこはそれ、やはり作者の表現力でしょうか。これは本当にガチで読者を泣かすために攻めてきたなと思いました。いいでしょう、泣きましょう、泣いていいんです。 連載としてはやや短めで、ボリューム感はありませんでしたが、幸福に浸るヒロインを見ているだけで、こちらまで癒されます。ざまぁ込みでもドタバタしてないのも好感が持てます。今季アニメが放映された、虫かぶり姫のようなキュンとくる感じではなく、こちらはジワジワくる感じですね。読んでよかったです。ありがとう
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