レビューした作品一覧全4件
本作はラノベという括りに収まる作品ではない。 異世界に転生したからといって、直ぐ普通に活躍できるわけではない。生まれ変わったのだから、まず生まれたままの姿で世界に放り出される。そこに神の慈悲はない。 主人公我らがヤジンが挑む最初の試練は『生き残ること』。 このサバイバル描写や、後の格闘技、特に空手に関する描写や説明は下手すると衒学趣味になりがち(作者氏が乗ってくると多少その傾向があるのかも)だが、くどくなく作品世界を壊さないバランスを保っている。 また、人間関係、特にアンダーグラウンドに生きる人間の描写が魅力的で、一人一人に血が通っている。今時の記号のようなキャラ描写とは一線を画する表現力は見事。 所謂『スキル』や『レベル』が出てくるが、単純なゲームの焼き回しではない。独特の考察は面白い。 リアルファンタジー小説として今後の展開が非常に楽しみな作品である。
レビュー作品 野人転生
作品情報
『異世界最強』『チート』『ハーレム』…… なろうに溢れる数多くの作品に多く含まれる所謂『テンプレ作品』。それらに対し、「それ、本当に面白いですか?」と真正面から斬り込む。 自己満足の自慰行為で小説を書いている人は見ないでほしい。 自分の作品で、自分の創造力の結晶で人を楽しませたい、いいものを書きたいと思っている「作家」にこそ読んでほしいエッセイである。 テンプレ設定で「キャラ」ではなく「人間」を書く。そのために必要な考え方や意識がここにはある。
 主人公の2周目。強くてニューゲーム。  主人公最強で(とある理由により)やれやれ系というテンプレ設定。でも、料理人の腕が良いから在り来たりでつまらない材料でも絶品の料理に化ける典型です。 実験的な作品との事で、物語は途中で終わりますが、その後の続きが気になりますね。  読み切り版ではなく連載完結編が読みたいですが、そう読者に思わせるほどの魅力があります。  ずいぶん前に読了しましたが、面白かったです。
 本作には様々な要素が盛り込まれている。  異世界転移、悪徳貴族、内政、バトル、戦争、陰謀、純愛、ハーレム、シリアス、コメディ、神話、外交……これだけの要素が詰め込まれれば中途半端な作品になるか破綻するかだが、本作はこれらを絶妙なバランスで取り込み、『悪徳貴族』クローディアス=レーヴェンヒェムを名乗る一人の男の人生の物語に昇華させている。  物書き目線で見れば、非常に参考になる作品であり、手本のひとつと言っても過言ではないだろう。  作品として一定の評価を得てなお、表現やシナリオに工夫を凝らし、新しいジャンルに挑戦しようとする作者に敬意を表する。  力も人望も、仲間も全くない状況から愚直な誠実さと大胆なひらめき、行動力で仲間を、絆の力を、国民の信頼を勝ち取り築き上げていく主人公の生きざまはまさに大河ドラマのようである。  目の肥えた読者にこそ薦めたい、そんな作品。