レビューした作品一覧全10件
子を授かるとき、人は複雑な気持ちになります。 決して喜びだけではなく、望まない命もあるでしょう。 特に、近年は胎児の性別ばかりか、障害も判別してしまう。 あなたが障害の可能性がある子を授かったとしたら、出産を祝えますか? その懊悩する友に応えながら、主人公は心の奥底にしまいこんだことに苦悩するのです。 障害をもつ姉をもったがために、生れ落ちの不幸を感じて成長した主人公は、障害の危険がある胎児を諦めてしまった経験をもっていた。 障害のある子を生むとはどういうことか。 ゆっくり考えていただきたい。 丸々とした子であっても、心を病み、罪を犯すかもしれません。 命を授かるには、相応の覚悟がいります。 それを考える種として、うってつけの話です。
 若さゆえの勢いで書かれる作品が圧倒的多数の中にあって、上品さを教えてくれる数少ない逸品です。  話し言葉が乱れ、それが書き言葉に影響している昨今、このようなしっとりとした情緒をこめられた作品に触れる幸せを感じます。  私たちは書物に何を求め、どんな思いを籠めているのでしょう。  面白ければ良いのですか? 評価点を稼げれば良いのですか?  書物とは、面白さとともに、優美さが必要です。意見の発信も必要です。  ただ、それを普段の話し言葉で表現するのなら、書物としての役割を放棄したようなものです。  上質な品格に満ちた本作にふれて、心を洗っていただきたい。 『旅立つ日』  その優美な世界を堪能してください。
レビュー作品 旅立つ日
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 般若  般若の成り立ちをご存知だろうか。  失意、諦め、憤怒、憎悪、怨念  女性の哀しみが高じると次第に形相が変わり、優しく綺麗だった女性が鬼のように変貌するそうです。  本作は、心ならずも子供を育てられなかった女性の立場に立って、子を宿すことがどんな意味をもつかを訴えています。  心ならずも堕胎した、いや、せざるをえなかった苦悩は、我々男共には終生わからないことです。    その苦悩、情緒の揺れ動き、噴出する苦悩を刻々と描いた作品。  命が儚いものであり、特別なものであることを考えさせる作品です。  特に男共に読んでいただきたい作品です。
レビュー作品 グッピーと私
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魂のあかり 溢れる世界
投稿日:2014年12月3日
 夜空には無数の星が瞬いています。  そして、地上にも無数の命が煌めいています。  それがすっかり見えなくなってしまいました。  空が汚れたのか、地上が明るすぎるのか?  地上もすっかり個人主義が覆っています。  そのために人との繋がりも薄くなり、喧嘩ばかりで薄暗くなっています。  人がひとつ一つの星ならば、地球は煌々と輝く星ですね。  作者は、そうして命の大切さを教えてくれました。  目から声が出るのは、心の声を教えているのでしょう。外見に囚われない、本当の気持という意味でしょうね。   子供はもちろん、大人が読んでしんみり、ほっこり。やさしい童話です。 「さいとうあおい」ちゃんは、私へのメッセージかな?  だって、ミス・グリーン→みどり→碧→あおい ですからら。  だとすると、とっても感激ですね。  こういう感性を私も身につけたいと思う名作です。
雪の妖精の見たもの
投稿日:2014年12月3日
周囲すべてが雪で丸く隠された世界。ぽつんと建つ家から灯りがもれています。家の片隅の窓には仄かな明かりが……。 舞い降りてきた雪の妖精は、窓の中を覗きたくて、ガラスにへばりつきました。 妖精は、ベッドで横になった子供に本を読み聞かせているお婆さんを見ました。暖炉で薪が燃え、とても暖かそうです。 御婆さんは読み終えると、子供に想像させました。 返った答えを受け止め、御婆さんは思いました。 このままで良いのだろうか、両親に任そうか。でも、今が一番のチャンスだと考えて、子供に考えを深めるよう導いたのです。 これこそが教える原点です。 親は、多くのことを覚えてほしいと願いますが、その前に、順を追って理解させねば身につきません。 作者は、お婆さんになって、それを優しく教えています。 子育てをしている若い親や、将来の親に是非読んでいただきたい、大人向けの童話です。
電車で老人に、席を譲れますか? コンビニでのレジで、何か言葉をかけますか? 私たちは、一時も自分から離れる事が出来ません。 それと同時に、無意識に相手を値踏みします。 なぜ? 自分が好きだから。 なぜ? 僅かばかりの優越感を得たいから。 仕事ができると自惚れます。 ――ほんの一部しか携わらないのに。 化粧や装飾にこだわります。 ――中身は変らないのに。 それが今の価値観かもしれません。 価値観って何ですか? 生き方の芯がなければ、価値を計ることはできません。 芯を定めてこそ心も成長します。 あなたの芯、誇れますか? 「私の中の小さな出来事」 それは、原稿用紙五枚程度の物語。 人生で富を求めるか、名声を求めるか、優越感に浸るか、それとも友を求めるか。 それを決めるのは自分。 豊かさの質を考えてみませんか? 作者からの優しい贈り物。読もう、考えよう!
感想欄でディスカッション!
投稿日:2014年7月25日
 皆さんは感想欄をどのように使っていますか?  始まりは唯ひとつの私信ですが、そこに多くの人々が自分の思うところを持ち寄りました。  本編は充実した内容で、多くの示唆に富んでいます。 投稿後には次々と真摯な感想が寄せられました。あたかも紙上ディスカッションのように。  作品も感想も、書ききれなかったことや誤解を与えることがあります。しかし、一方通行にさせないのが感想の力です。 十人寄れば見方も十色。 寄せられた感想を読めば、違った視点に気付きます。 作者さえも考えが及ばなかった気付きがあります。視点の転換により考えを深め、感性を豊かにできます。 そうした一連の流れにこそ価値があります。  本作とこれに寄せられた感想は、それを見事に体現しています。 参加は簡単、思うことを感想欄に寄せるだけです。  一緒にやろうよ! 考えを教えてよ!
自然の動物に囲まれて暮らせることを差し引いても、このエッセイには命と対等に向き合うおおらかさがあります。 身近な犬猫を単なるペットと位置付けず、ちっぽけな星で共に生きる仲間として扱っています。 人ほど傲慢な生き物はあるまい。しかし、人ほどさまざまな生き物と仲良くできる生き物もないでしょう。 それを平易な言葉で知らぬうちに教えてくれるのが、このエッセイです。 人の世のわずらわしさが、つまらなく思えるエッセイ。 清々しい読後感を味わってください。
レビュー作品 もふもふ日記
作品情報
 父親の愛情と対比される母親の愛情。 較べることに意味はないけど、勝てない! どう足掻いても勝てない! そう思い知らせてくれる作品です。  大きくなった娘が読んでくれたら……。 鼻の先で笑うかもしれないけど、いずれ娘が親になると思い出してくれる。 そうやって人の心は引き継がれてゆくのです。 幼児虐待をしている親! 子供のまま大人になれていない親! 両の目しっかり開けて読みやがれ! 上品な私でさえそう思います。  親の愛情しだいで子供はどうにでも育ちます。  子供を育てるということは、未来を創造することです。 明るい未来のためにも、ぜひ若い親によんでもらいたい物語です。
1, 医者との会話A 「痛かったら左手を挙げて下さいね~」  痛いので左手を挙げる 「我慢して下さいね~」  おい! 3, 受付嬢の問題  八名史男(やな ふみお)さんの呼び出し 「はなし おとこ さ~ん」  居るか、そんな奴! 執筆に倦んだ時、展開に行き詰った時、堂々巡りを始めた時、また、辻褄合わせにやっきとなっている時。 気分転換がなにより助けになります。 それには頭の中を空にするのが一番。 誰もが陥る執筆の陥穽から救ってくれるのが本作です。 さあ、腹をよじって気分転換しましょう。