己を「半人生脱落組」と称する少年、黒宮尊。
幼馴染を助けるために死に――そして、『再生』した。
迷い込んだのか呼び込まれたのか、それさえ判らないまま彼は往く。再びその手に増えた、大切な仲間を、「家族」を守りたいから。平穏に過ごしたいから。
だが世界は彼のささやかな願いに牙を剝いた。
かつて恐怖と絶望を振り撒いた魔王の片割れ――その継承者こそが彼の守りたい少女であったから。
それでもクロミヤミコトは足掻く。どれだけ傷つけど、塵になろうと――「死なない」のだから。
手にしたのは『けして死なない』力。のばしたのは『家族との』未来。
優しさゆえに裏切られ、弱さゆえに「死」を恐れ、四万の死を経て、クロミヤミコトは怪物となった。
新たな『賜死』と『肉体変異』の力。
少女を守りたいという思いさえもが、たとえ誰かの掌の上であったとしても、クロミヤミコトは躊躇わない。
悲劇の歯車が、また一つ廻る――