レビューした作品一覧全4件
己を「半人生脱落組」と称する少年、黒宮尊。 幼馴染を助けるために死に――そして、『再生』した。 迷い込んだのか呼び込まれたのか、それさえ判らないまま彼は往く。再びその手に増えた、大切な仲間を、「家族」を守りたいから。平穏に過ごしたいから。 だが世界は彼のささやかな願いに牙を剝いた。 かつて恐怖と絶望を振り撒いた魔王の片割れ――その継承者こそが彼の守りたい少女であったから。 それでもクロミヤミコトは足掻く。どれだけ傷つけど、塵になろうと――「死なない」のだから。 手にしたのは『けして死なない』力。のばしたのは『家族との』未来。 優しさゆえに裏切られ、弱さゆえに「死」を恐れ、四万の死を経て、クロミヤミコトは怪物となった。 新たな『賜死』と『肉体変異』の力。 少女を守りたいという思いさえもが、たとえ誰かの掌の上であったとしても、クロミヤミコトは躊躇わない。 悲劇の歯車が、また一つ廻る――
柔らかな詩も良い。ともすれば幼稚ともとれる言葉が続く柔和な詩も、面白い。 だがそれだけではやはり物足りない。荘厳に輝く詩も――やはり僕は欲しい。 この「黄昏の金」は、なろうではあまり見かけられない、本当に硬質な叙景詩だ。言葉の力強さが、きっと心をkiskさんの創り上げた世界へと押し出し、誘うだろう。 少なくとも僕は、この詩以上に気高い叙景詩を、なろうでは見たことがない。 まだなろうの詩を読んだことがない人に、ぜひお勧めしたい。 (ただし必須語彙は高めなのでWebioなども開いておくと便利だろう)
レビュー作品 黄昏の金
作品情報
想いを解き、想いを集める
投稿日:2015年12月8日
詩には想いが宿ると思う。それは無論、短編であれ長編であれ同じではあろうが、密度が違うと思うのだ。 短編を、詩に――言うは容易いが、これはかなり難しいと思うのだ。短編に、薄く、万遍なく広がった作者の想いを、こぼすことなく掻き集めて握りしめる。 これが逆の作業ならば、あまり思うことはない。難しいが、引き延ばすことは圧縮よりも容易いからだ。 この作業にいどみ、一つの二次創作的な作品として――多少あらがあるとはいえども――クリアできたこの詩は、なろうでも貴重なものではないだろうか。
これは壊れていく機械の物語。人がココロがあるから星空に手を伸ばすように、魂をもったからこそ人にをなりたかった、「機械」の物語。 ==================== 重厚に、いっそココロ奪われてしまえるほどのモノを、読みたくはありませんか? 時間を忘れ、読みたいという渇望を癒し、また新たに読みたいと渇望できる――そんな、作品を。読みたくはないですか? 僕はなろうの一人の作者として、そして一人の読者として、この作品は最高水準のものであると思います。 ==================== 王道ファンタジーの世界に組み込まれたSFの世界観は、歴戦の猛者たるめい先生の手により黄金比じみた調和をみせ、緻密な表現力とうすらと浮かぶ論理構造には眼を奪われます。 だから……あなたもこの世界に引きずり込まれては、いかが?(ただし多少暗め)