レビューした作品一覧全4件
森の奥にひっそり住まう少女アーシャを金髪碧眼の美青年が迎えに来て……。 といういかにも異世界恋愛な出だしから始まるこの作品はしかし、「28歳の行き遅れ少女」とか「フライパンでベルゼブブをぶっ倒せる」とかいうパワーワードで彩られている。 アーシャのツッコミやおとぼけもコミカルで、登場人物も性癖を拗らせた人ばかりで、一行ごとに笑いがこみ上げる。 それもそのはず、作者は「異世界帰りの大賢者様はそれでもこっそり暮らしているつもりです」をマガジンで連載している木野二九氏。 となれば面白さは保証付き。 持ち前のコミカルさはもちろん、スラヴ神話をベースにした物語がどう着地するのか、共に追っていきましょう!
自分の青春はこんなじゃなかった、という人におすすめの作品。 つまりはまあ、恋愛模様でピュアピュアしてるんだよ。 まぶしくて羨ましいんだよおるああああ!|д゜) 主人公に蘭華、絵里、狭間先輩。 特別な事件が起こるわけではない中の、けれど特別な日々。 そういったものをただひたすらに読み、苦しんでいただきたい。 更新速度が速いのでその分苦しみは長く連続する。でも読んでいただきたい。 なぜって? こんな切なさを味わうのが私だけというのは許せないからだ!|д゜)どどーん!
間宮先生を愛でるお話。
投稿日:2017年4月27日
本作の主人公間宮夕希は、女教師である。 20代半ばで独身。 顔は人並み、体育会系特有の快活さ有り、仕事に対する情熱はまあそこそこ。 お酒が好きで、野球が好きで、時にアマノジャクで、女子力はそんなに高くない。 人との距離の取り方が下手なせいで、なかなか男性に縁がない。 どことなく猫に似ている。生き方の不器用な猫に。 本作は、間宮先生を愛でるお話である。 小さないくつかの出来事に対する彼女のチャーミングな視点やユーモラスな独白を楽しむお話である。 あまり構えず、ゆっくりと読んでいただきたい。 温かい紅茶を傍らに置いて。 猫に対してそうするように、目を細めながら。
チェスには熱と、夢がある。
投稿日:2017年3月11日
インターネット記事のライターの青年が、ワシントン公園で目を覚ました。 そこで彼が出会ったものは、草チェスに興じる人々だ。 なし崩しにチェスボードの前に座らされた彼は、将棋の奨励会で培われた経験とセンス、読みの力を生かして瞬く間に戦況を圧倒する。 もうこの出だしでやられてしまった。 格好いいし熱いし、言うことなしである。 また、その後の展開も実に見事だ。 チェスという日本人にはなじみの薄い競技の海外での扱いを、比較的近しい存在である将棋打ちの目を通して描いている。 戦いの火花を散らす登場人物たちも多種多彩であり、世界各国の天才秀才の立場視点から描くことで、さらにチェスというものの造形をはっきりさせることに成功している。 肝心要のチェスシーンも実にわかりやすく、戦況の推移とともにドキドキさせてくれる。 そして何より、この作品には夢がある。 読み手をわくわくさせてくれる何かが詰まっている。