主人公の置かれた境遇は物語の最初と最後でそれほど変わらない。
物語の中で主人公は大きな力を手に入れるが、それで成し遂げた事と言えば、幽閉されていた場所からいつでも抜け出せるようになった事くらい。
それだけなのだが、読み終えた後には心地の良い満足感が残った。
主人公は自身の不遇な扱いを最初は諦めに近い感覚で受け入れている。
だがやがてその境遇の中でも日々を楽しみ、前向きに生きる様になる。
その姿が読んでいてとても心地良かった。
物語の結末も、大袈裟では無く、穏やかでさりげない、とても気持ちの良い終わり方で、読み終えた後に読んで良かったと思えるような、さわやかな余韻の残る素晴らしいラストだった。
読後に心が穏やかになるような、そんな作品を読みたいと思っている方に是非お勧めしたい